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高校数学 定期テストラボ

公式を覚えるな、公式に会いに行こう。

新課程対応|講義40本+問題400問|数学Ⅰ・A・Ⅱ・B|定期テスト頻出から大学受験の土台まで

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定期テストは単元ごとに出るので、テスト範囲の単元を「まず学ぶ→挑戦する」の順で回すのが近道です。ここでは科目ごとの卒業率を出しています。金色の線が6割の目安。数学Ⅰ・Aの土台が固まっているほど、Ⅱ・Bと大学受験が楽になります

※ 解説は学習用の情報提供です。教科書・学校の指示する解法を優先してください。

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数と式・集合と論証

展開と因数分解(乗法公式・たすき掛け)

乗法公式で速く正確に展開し、その逆再生であるたすき掛けの因数分解まで、定期テストの計算問題の土台を固めます。

展開とは、(x+2)(x+3) のようなかっこの積を、x²+5x+6 のようなかっこのない形(多項式の和)に直すことです。分配法則で1つずつ掛ければ必ずできますが、毎回それでは時間が足りないので、よく出る形を乗法公式として覚えます。特に (a+b)² = a²+2ab+b² の真ん中の 2ab を忘れるミスが定期テストで最も多いので、「2倍の積の項が必ず入る」と意識してください。

因数分解は展開の逆で、多項式を積の形に戻す操作です。x²+5x+6 なら「掛けて6、足して5」になる2数(2と3)を探して (x+2)(x+3) とします。方程式や不等式を解くとき、積の形になっていると「どちらかが0」という強力な議論が使えるため、因数分解は数学Ⅰ全体で使い続ける技術です。

x²の係数が1でない 2x²+7x+3 のような式は、たすき掛けを使います。x²の係数2を 2×1、定数項3を 1×3 のように分け、斜めに掛けて足した値(2×3+1×1=7)が x の係数に一致する組合せを探します。一致したら横に読んで (2x+1)(x+3) が答えです。組合せは何通りか試すのが普通なので、「試して、展開して確かめる」まで含めて1セットの作業だと思ってください。

複雑な式は、①共通因数をくくり出す ②最低次の文字について整理する ③一部を1つのかたまり(置き換え)とみる、の順で見通しがよくなります。例えば x²−y²+4y−4 は後半3項を −(y−2)² とまとめると A²−B² の形になり、(x+y−2)(x−y+2) と因数分解できます。x⁴−5x²+4 は x²=t とおくと t²−5t+4 という見慣れた2次式になります。

たすき掛けの手順(2x²+7x+3 の場合)
2 = 2×1(x²の係数を分ける)
3 = 1×3(定数項を分ける)
斜めに掛けて足す: 2×3 + 1×1 = 7 → xの係数と一致
横に読んで (2x+1)(x+3)
検算: (2x+1)(x+3) = 2x²+6x+x+3 = 2x²+7x+3
覚えるべき乗法公式(左→右が展開、右→左が因数分解)
公式展開形注意点
(a+b)²a²+2ab+b²真ん中の 2ab を忘れない
(a−b)²a²−2ab+b²符号は真ん中だけマイナス
(a+b)(a−b)a²−b²和と差の積は2乗の差
(x+a)(x+b)x²+(a+b)x+ab足してxの係数、掛けて定数項
(ax+b)(cx+d)acx²+(ad+bc)x+bdたすき掛けの元になる形
展開
かっこの積で書かれた式を、分配法則を使ってかっこのない多項式の形に直すこと。(x+1)(x+2) → x²+3x+2 のような変形。
乗法公式
よく出る展開の結果を公式化したもの。(a+b)²=a²+2ab+b²、(a+b)(a−b)=a²−b² など。逆から読めば因数分解の公式になる。
因数分解
多項式を、いくつかの式の積の形に直すこと。展開の逆の操作で、方程式・不等式を解く準備として使う。
たすき掛け
acx²+(ad+bc)x+bd を (ax+b)(cx+d) に分解する方法。x²の係数と定数項をそれぞれ2数の積に分け、斜めに掛けて足した値が x の係数に合う組を探す。
共通因数
すべての項に共通して含まれる因数。因数分解ではまず共通因数をくくり出すのが鉄則。例: 2x²+4x = 2x(x+2)。
置き換え
式の一部を1つの文字とみなすこと。x⁴−5x²+4 で x²=t とおくと t²−5t+4 になり、見慣れた2次式として処理できる。

例題 (3x−2)(x+4) を展開せよ。

3x²+12x−2x−8 = 3x²+10x−8。外側どうし・内側どうしの積(12x と −2x)をまとめるのがポイント。

例題 3x²−10x+8 を因数分解せよ。

たすき掛けで 3=3×1、8=(−4)×(−2) と分けると、斜めの和が 3×(−2)+(−4)×1=−10 で一致。よって (3x−4)(x−2)。展開して検算すると 3x²−10x+8 に戻る。

例題 x²−y²+4y−4 を因数分解せよ。

後半を −(y²−4y+4)=−(y−2)² とまとめると x²−(y−2)²。A²−B²=(A+B)(A−B) より (x+y−2)(x−y+2)。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領」(平成30年文部科学省告示第68号)第2章第4節 数学 第2款 第1 数学Ⅰ 2 内容(1)数と式

実数と根号(絶対値・有理化・整数部分と小数部分)

√の計算ルールと分母の有理化、絶対値の外し方、√7 の整数部分・小数部分といった定期テスト頻出の処理をまとめて身につけます。

実数は、有理数(分数で書ける数)と無理数(√2 や π のように分数で書けない数)を合わせた数全体です。根号(√)の計算では √a×√b = √(ab) が基本で、√12 = √(4×3) = 2√3 のように「2乗の因数を外に出す」のが第一歩です。足し算は √27+√12 = 3√3+2√3 = 5√3 のように、外に出して同じ √ の項どうしをまとめます。√27+√12 = √39 としてはいけません。ルートの中どうしを足せるのは掛け算・割り算のときだけです。

分母に √ が残った式は、分母の有理化で整えます。1/√3 なら分母分子に √3 を掛けて √3/3。分母が 2−√3 のような2項なら、(a+b)(a−b)=a²−b² を利用して「共役な式」2+√3 を掛けます。分母は (2−√3)(2+√3) = 4−3 = 1 となり √ が消えます。この計算は (x+1/x) 型の対称式の問題の入口として定期テストで極めてよく出ます。

絶対値 |a| は数直線上での原点からの距離で、a≧0 なら |a|=a、a<0 なら |a|=−a です。√(a²) = |a| であることに注意してください。a=−3 のとき √((−3)²) = √9 = 3 = |−3| であり、−3 ではありません。|3−π| のような式は、中身の符号を先に判定し(π>3 なので 3−π<0)、|3−π| = π−3 と外します。

√7 のような無理数は、4<7<9 から 2<√7<3 と評価できるので、整数部分は 2、小数部分は「元の数から整数部分を引いた残り」√7−2 です。小数部分を 0.645… と書かず √7−2 と表すのがポイントで、この形のまま 2乗したり分母にしたりする問題が定番です。また x+1/x = 3 のような条件から x²+1/x² = (x+1/x)²−2 = 7 を求める対称式の変形も、この単元の頻出テーマです。

対称式の基本変形
x² + 1/x² = (x + 1/x)² − 2
x³ + 1/x³ = (x + 1/x)³ − 3(x + 1/x)
例: x + 1/x = 3 のとき
x² + 1/x² = 3² − 2 = 7
x³ + 1/x³ = 3³ − 3×3 = 27 − 9 = 18
根号・絶対値の計算ルールまとめ
ルール
√a×√b = √(ab)√2×√3 = √6
2乗の因数を外へ√(a²b) = a√b(a>0)√12 = 2√3
和と差の積(√a+√b)(√a−√b) = a−b(√5+√2)(√5−√2) = 3
有理化(1項)1/√a = √a/a1/√3 = √3/3
有理化(2項)1/(a−√b) は a+√b を掛ける1/(2−√3) = 2+√3
絶対値|a| = a(a≧0)、−a(a<0)|3−π| = π−3
有理数・無理数
整数の分数 p/q で表せる数が有理数、表せない数(√2、π など)が無理数。両方合わせて実数という。
根号
√ の記号。√a は「2乗すると a になる負でない数」を表す。√a×√b=√(ab)、√(a²b)=a√b(a≧0)が計算の基本。
分母の有理化
分母から √ をなくす変形。分母が √3 なら √3 を、2−√3 なら共役な 2+√3 を分母分子に掛ける。
共役な式
a+√b に対する a−√b のように、√ の符号だけを変えた式。掛けると (a)²−b となり √ が消える。
絶対値
数直線上での原点からの距離。|a| は a≧0 なら a、a<0 なら −a。中身の符号を確認してから外すのが鉄則。
整数部分・小数部分
実数 x を超えない最大の整数が整数部分 a、残りの x−a が小数部分。√7 なら整数部分 2、小数部分 √7−2。小数部分は必ず 0 以上 1 未満。
対称式
x と 1/x(または x と y)を入れ替えても変わらない式。x²+1/x² は基本対称式 x+1/x で表せる。

例題 2/(√5−√3) の分母を有理化せよ。

分母分子に √5+√3 を掛けると、分母は (√5)²−(√3)² = 5−3 = 2。よって 2(√5+√3)/2 = √5+√3。

例題 √7 の小数部分を b とするとき、b を √ を使って表せ。

4<7<9 より 2<√7<3 なので整数部分は 2。したがって b = √7−2。

例題 x = 1/(2−√3) のとき、x²+1/x² の値を求めよ。

有理化すると x = 2+√3、1/x = 2−√3。x+1/x = 4 だから x²+1/x² = 4²−2 = 14。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領」(平成30年文部科学省告示第68号)第2章第4節 数学 第2款 第1 数学Ⅰ 2 内容(1)数と式(実数・根号)

1次不等式(不等号の向き・連立・絶対値)

負の数を掛けたら不等号の向きが変わる、という1点を軸に、連立不等式と絶対値つきの方程式・不等式まで解けるようにします。

不等式は「大小関係を満たす x の範囲」を求める問題です。解き方は方程式とほぼ同じで、移項して ax > b の形に整理し、両辺を a で割ります。ただし1つだけ決定的な違いがあります。両辺に負の数を掛ける・負の数で割ると、不等号の向きが逆になることです。−2x ≦ 6 の両辺を −2 で割ると x ≧ −3 です。定期テストの失点の大半はこの向きの処理ミスなので、負の数で割った瞬間に向きを変える癖をつけてください。

連立不等式は、2つの不等式のそれぞれの解を数直線にかき、共通部分(両方を満たす範囲)を読み取ります。例えば x>2 と x≦4 なら、共通部分は 2<x≦4 です。端の点を含むか含まないか(≦ か < か)を数直線上の白丸・黒丸で区別するのがコツです。「整数解は何個あるか」という問いでは、端が含まれるかどうかで個数が変わるため、範囲を出したあとに整数を1つずつ書き出して数えるのが確実です。

絶対値を含む方程式・不等式は、距離のイメージで公式化できます。c>0 のとき、|x|=c の解は x=±c。|x|<c は「原点からの距離が c 未満」なので −c<x<c。|x|>c は「距離が c より遠い」ので x<−c または x>c です。|x−2|<3 のように中身がずれている場合は、x−2 をひとかたまりと見て −3<x−2<3、各辺に 2 を足して −1<x<5 とします。

「不等式 5x−3<2x+a の解が x<4 となるように定数 a を定めよ」のような逆向きの問題も頻出です。まず a を残したまま解いて x<(a+3)/3 とし、これが x<4 と一致する条件 (a+3)/3=4 から a=9 と求めます。解いた結果の形を条件と見比べる、という発想はこの先の2次関数でも繰り返し使います。

負の数で割ると向きが変わる
−2x + 3 ≦ 9
−2x ≦ 6
x ≧ −3(−2で割ったので向きが逆転)
絶対値不等式の例
|x−2| < 3
−3 < x−2 < 3
−1 < x < 5(各辺に2を足す)
絶対値の方程式・不等式の型(c>0)
イメージ
|X| = cX = ±c距離がちょうど c
|X| < c−c < X < c距離が c 未満(内側にはさむ)
|X| ≦ c−c ≦ X ≦ c端を含む内側
|X| > cX < −c または X > c距離が c より遠い(外側)
|X| ≧ cX ≦ −c または X ≧ c端を含む外側
不等式の性質
両辺に同じ数を足しても引いても大小関係は変わらない。正の数を掛けても変わらないが、負の数を掛ける・負の数で割ると不等号の向きが逆になる。
移項
項を符号を変えて反対側の辺に移すこと。不等式でも方程式と同じように使える。
連立不等式
2つ以上の不等式を同時に満たす x の範囲を求める問題。それぞれ解いてから数直線で共通部分をとる。
共通部分(数直線)
複数の範囲が重なっている部分。端点を含むかどうかを白丸(含まない)・黒丸(含む)で区別してかくと間違えにくい。
絶対値を含む方程式
c>0 のとき |X|=c ⇔ X=±c。中身 X が式でも同じで、|x−2|=3 なら x−2=±3。
絶対値を含む不等式
c>0 のとき |X|<c ⇔ −c<X<c、|X|>c ⇔ X<−c または X>c。「はさむ」か「外側」かを距離のイメージで判断する。

例題 連立不等式 2x−1>3、3x+2≦x+10 を解け。

前者から x>2、後者は 2x≦8 より x≦4。数直線で共通部分をとって 2<x≦4。

例題 |x+1|≧4 を解け。

外側の型なので x+1≦−4 または x+1≧4。よって x≦−5 または x≧3。

例題 不等式 5x−3<2x+a の解が x<4 となる定数 a を求めよ。

3x<a+3 より x<(a+3)/3。これが x<4 と一致するので (a+3)/3=4、よって a=9。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領」(平成30年文部科学省告示第68号)第2章第4節 数学 第2款 第1 数学Ⅰ 2 内容(1)数と式(1次不等式)

集合と論証(ド・モルガン・必要十分条件・対偶と背理法)

共通部分・和集合・補集合の記号操作から、必要条件・十分条件の判定、逆・裏・対偶、背理法まで、論証問題の得点源をつくります。

集合は「入っているかどうかが明確に決まるものの集まり」です。A∩B(共通部分)は両方に入る要素、A∪B(和集合)は少なくとも一方に入る要素、Ā(補集合)は全体集合 U のうち A に入らない要素の集合です。ド・モルガンの法則「A∪B の補集合 = Ā∩B̄」「A∩B の補集合 = Ā∪B̄」は、補集合をとると ∪ と ∩ が入れ替わる、と覚えます。ベン図をかいて塗り分ければ自分で確かめられます。

命題「p ならば q」(p ⇒ q)が真のとき、p は q であるための十分条件、q は p であるための必要条件といいます。判定のコツは、矢印を両方向に試すことです。p ⇒ q だけ真なら p は十分条件、q ⇒ p だけ真なら p は必要条件、両方真なら必要十分条件です。例えば「x=3」⇒「x²=9」は真ですが、逆は x=−3 という反例があって偽。よって x=3 は x²=9 であるための十分条件(であるが必要条件でない)です。反例を1つ見つければ偽と言い切れる、というのが論証の基本ルールです。

命題 p ⇒ q に対し、q ⇒ p を逆、「pでない ⇒ qでない」を裏、「qでない ⇒ pでない」を対偶といいます。元の命題と対偶は真偽が必ず一致します(逆・裏は一致するとは限りません)。そのため「n² が偶数ならば n は偶数」のように直接示しにくい命題は、対偶「n が奇数ならば n² は奇数」を証明すれば同じことになります。否定をつくるとき、「偶数」の否定は「奇数」、「x>0」の否定は「x≦0」のように、等号の扱いに注意してください。

背理法は、「結論が成り立たないと仮定すると矛盾が起きる」ことを示して、結論が正しいと結論づける証明法です。√2 が無理数であることの証明では、まず「√2 は有理数である」と仮定し、√2 = q/p(既約分数)とおいて計算を進めると、p も q も偶数となって既約という前提と矛盾します。よって仮定が誤り、つまり √2 は無理数です。「無理数であることの証明」「〜でないことの証明」のような否定形の主張には背理法、と覚えておくと方針が立ちます。

必要・十分の判定手順
p ⇒ q が真か調べる(真なら p は十分条件)
q ⇒ p が真か調べる(真なら p は必要条件)
両方真 → 必要十分条件
例: p: x=3、q: x²=9
p ⇒ q は真、q ⇒ p は偽(反例 x=−3)
よって p は q であるための十分条件(必要条件でない)
命題 p ⇒ q とその仲間・真偽の関係
名前元の命題との真偽
元の命題p ⇒ q
q ⇒ p一致するとは限らない
pでない ⇒ qでない一致するとは限らない
対偶qでない ⇒ pでない必ず一致する
共通部分 A∩B
A と B の両方に属する要素全体の集合。「かつ」に対応する。
和集合 A∪B
A と B の少なくとも一方に属する要素全体の集合。「または」に対応する。
補集合 Ā
全体集合 U の要素のうち、A に属さないもの全体の集合。
ド・モルガンの法則
A∪B の補集合は Ā∩B̄、A∩B の補集合は Ā∪B̄。補集合をとると ∪ と ∩ が入れ替わる。
十分条件・必要条件
p ⇒ q が真のとき、p は q の十分条件、q は p の必要条件。「⇒ の矢の根元が十分、先が必要」と覚える。
必要十分条件
p ⇒ q と q ⇒ p がともに真のとき、p は q であるための必要十分条件(p ⇔ q)。
反例
仮定は満たすのに結論を満たさない例。反例が1つでもあれば、その命題は偽。
逆・裏・対偶
p ⇒ q に対して、逆は q ⇒ p、裏は「pでない ⇒ qでない」、対偶は「qでない ⇒ pでない」。元の命題と対偶の真偽は必ず一致する。
背理法
結論を否定して仮定すると矛盾が導かれることを示し、元の結論が正しいと結論づける証明法。√2 が無理数であることの証明が代表例。

例題 「x>0」は「x>2」であるための何条件か。

x>2 ⇒ x>0 は真、x>0 ⇒ x>2 は偽(反例 x=1)。矢が向かってくる側なので、必要条件であるが十分条件でない。

例題 命題「n² が偶数ならば n は偶数」の対偶を述べよ。

対偶は仮定と結論を否定して入れ替えた「n が奇数ならば n² は奇数」。対偶を証明すれば元の命題も真といえる。

例題 √2 が無理数であることを背理法で証明するとき、最初に何を仮定するか。

「√2 は有理数である」と仮定する。既約分数 q/p とおいて進めると p、q がともに偶数となり、既約に矛盾する。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領」(平成30年文部科学省告示第68号)第2章第4節 数学 第2款 第1 数学Ⅰ 2 内容(1)数と式(集合と命題)

2次関数

2次関数のグラフと平方完成

y=ax²+bx+c を y=a(x−p)²+q に直して頂点と軸を読む平方完成と、平行移動・対称移動のルールを身につけます。

2次関数 y=ax²+bx+c のグラフは放物線です。a>0 なら下に凸(谷型)、a<0 なら上に凸(山型)で、|a| が大きいほど細くなります。グラフの最も重要な情報は頂点と軸で、これを読み取るための変形が平方完成です。y=a(x−p)²+q の形に直せば、頂点は (p, q)、軸は直線 x=p と即座に分かります。かっこの中の符号に注意してください。(x−2)² なら p=2、(x+3)²=(x−(−3))² なら p=−3 です。

平方完成の手順は、① x² の係数 a で x の項までをくくる ②かっこの中で「x の係数の半分の2乗」を足して引く ③外に出す、の3段階です。例えば y=2x²−8x+3 は、2(x²−4x)+3 = 2{(x−2)²−4}+3 = 2(x−2)²−8+3 = 2(x−2)²−5 となり、頂点 (2, −5)、軸 x=2 です。−4 を外に出すときに a=2 を掛け忘れるのが最頻出のミスなので、展開して元に戻るか必ず検算しましょう。

平行移動は式の書き換えで処理できます。y=f(x) のグラフを x 軸方向に p、y 軸方向に q 平行移動すると、式は y−q=f(x−p)、つまり x を x−p に、y を y−q に置き換えたものになります。「x 方向に +3 動かすのに式では x−3 になる」という符号の逆転が要注意ポイントです。y=x² を x 方向に 3、y 方向に −2 動かすと y=(x−3)²−2 です。

対称移動も置き換えで統一的に処理できます。x 軸に関して対称なら y を −y に(結果は y=−f(x))、y 軸に関して対称なら x を −x に(y=f(−x))、原点に関して対称なら両方を置き換えて y=−f(−x) です。例えば y=x²−2x+3 を x 軸に関して対称移動すると y=−(x²−2x+3)=−x²+2x−3 になります。どの移動でも「頂点がどこへ動くか」を追いかけると検算になります。

平方完成の手順(y = 2x²−8x+3)
y = 2(x²−4x)+3(aでくくる)
y = 2{(x−2)²−4}+3(半分の2乗を足して引く)
y = 2(x−2)²−8+3(−4×2 を外へ)
y = 2(x−2)²−5
頂点 (2, −5)、軸 x = 2
グラフの移動と式の置き換え(元の式 y=f(x))
移動置き換え結果の式
x 方向に p、y 方向に q 平行移動x→x−p、y→y−qy = f(x−p)+q
x 軸に関して対称移動y→−yy = −f(x)
y 軸に関して対称移動x→−xy = f(−x)
原点に関して対称移動x→−x、y→−yy = −f(−x)
放物線
2次関数のグラフの形。a>0 で下に凸、a<0 で上に凸。軸に関して左右対称。
頂点
放物線の折り返しの点。y=a(x−p)²+q の形で (p, q)。最大値・最小値の候補になる最重要の点。
放物線の対称軸。y=a(x−p)²+q なら直線 x=p。「x=p」という直線の式で答える。
平方完成
y=ax²+bx+c を y=a(x−p)²+q の形に直す変形。x の係数の半分の2乗を足して引くのが核心。
平行移動
グラフを形を変えずにずらすこと。x 方向に p、y 方向に q 動かすと式は x→x−p、y→y−q の置き換えになる(符号が逆になることに注意)。
対称移動
x 軸対称は y→−y、y 軸対称は x→−x、原点対称は両方を置き換える。式の置き換えで機械的に処理できる。

例題 y=x²−4x+1 の頂点と軸を求めよ。

y=(x−2)²−4+1=(x−2)²−3。頂点 (2, −3)、軸は直線 x=2。

例題 y=x² のグラフを x 軸方向に 3、y 軸方向に −2 だけ平行移動した放物線の式を求めよ。

x を x−3 に、y を y−(−2)=y+2 に置き換えて y=(x−3)²−2。x 方向の +3 が式では −3 になる点に注意。

例題 頂点が (1, 2) で、点 (0, 4) を通る放物線の式を求めよ。

y=a(x−1)²+2 とおき、(0, 4) を代入すると a+2=4 より a=2。よって y=2(x−1)²+2(展開すると y=2x²−4x+4)。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領」(平成30年文部科学省告示第68号)第2章第4節 数学 第2款 第1 数学Ⅰ 2 内容(3)二次関数(グラフと平方完成)

2次関数の最大値・最小値(定義域つき・軸が動く場合)

頂点と定義域の端の値を比べる、という一つの原則で最大最小を処理し、軸に文字が入る場合の場合分けの考え方まで学びます。

定義域に制限がなければ、2次関数の最大・最小は頂点だけで決まります。a>0 なら頂点で最小値(最大値はなし)、a<0 なら頂点で最大値(最小値はなし)です。まず平方完成して頂点を出すのがすべての出発点です。

定義域 m≦x≦n がつくと、最大・最小の候補は「頂点(軸が定義域内にあるとき)」と「定義域の両端」の最大3点に絞られます。手順は、①平方完成して軸の位置を出す ②軸が定義域の中か外かを確認する ③候補の点の y の値を計算して比べる、です。軸が定義域の外にあるときは、その区間でグラフは単調に増えるか減るかしかしないので、両端だけ比べれば済みます。グラフの略図を必ずかいて、どこが一番低く・高くなるかを目で確認しましょう。

下に凸(a>0)の場合をまとめると、最小値は「軸が定義域内なら頂点で、外なら軸に近い方の端で」とります。最大値は逆に「軸から遠い方の端で」とります。上に凸ならこの関係がそっくり入れ替わります。「最小は軸に近い側、最大は軸から遠い側」という言葉で覚えておくと、場合分けの見通しが立ちます。

y=x²−2ax のように軸 x=a に文字が入ると、軸と定義域の位置関係が a の値によって変わるため、場合分けが必要になります。定義域が 0≦x≦2 なら、(i) a<0(軸が左外)→ x=0 で最小、(ii) 0≦a≦2(軸が中)→ 頂点 x=a で最小、(iii) a>2(軸が右外)→ x=2 で最小、の3通りです。「軸が定義域の左外・中・右外」という3分割が基本の型で、定期テストの応用問題はほぼこの型で出ます。

定義域つき最大最小の手順
1. 平方完成して軸 x=p と頂点を出す
2. 軸が定義域 m≦x≦n の中か外かを見る
3. 候補(頂点・両端)の y の値を計算して比べる
例: y = x²−4x+1(0≦x≦1)、軸 x=2 は右外
区間では単調減少 → 最小 f(1)=−2、最大 f(0)=1
下に凸 y=a(x−p)²+q(a>0)、定義域 m≦x≦n の最大最小
軸 x=p の位置最小値最大値
p < m(左外)x=m(左端)x=n(右端)
m ≦ p ≦ n(定義域内)x=p(頂点)で q軸から遠い方の端
n < p(右外)x=n(右端)x=m(左端)
定義域
x の動ける範囲。0≦x≦3 のように区間で与えられる。定義域が変わると最大・最小も変わる。
最大値・最小値
定義域内で y がとる最も大きい値・小さい値。「x=◯ のとき最大値△」と、x の値とセットで答える。
端の値
定義域の両端での関数の値。定義域つきの最大最小では、頂点とともに必ず候補になる。
単調増加・単調減少
区間内で x が増えると y も増え続ける(または減り続ける)こと。軸が定義域の外なら、その区間では単調になる。
場合分け
文字の値によって状況(軸と定義域の位置関係など)が変わるとき、状況ごとに分けて調べること。「左外・中・右外」の3分割が基本。
置き換えの範囲
t=x²−2x などと置き換えたら、t の動ける範囲(t≧−1 など)を必ず確認する。範囲を忘れると誤った最小値を出してしまう。

例題 y=(x−1)²+2(0≦x≦3)の最大値と最小値を求めよ。

軸 x=1 は定義域内。最小値は頂点で x=1 のとき 2。最大値は軸から遠い端 x=3 で f(3)=4+2=6。

例題 a>2 のとき、y=x²−2ax(0≦x≦2)の最小値を a で表せ。

軸 x=a が定義域の右外にあるので、区間では単調減少。最小値は右端 x=2 で f(2)=4−4a。

例題 y=x²−2x+c(0≦x≦3)の最大値が 7 のとき、c を求めよ。

軸 x=1 から遠い端は x=3。最大値 f(3)=9−6+c=3+c=7 より c=4。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領」(平成30年文部科学省告示第68号)第2章第4節 数学 第2款 第1 数学Ⅰ 2 内容(3)二次関数(最大値・最小値)

2次方程式と判別式・グラフとの共有点

因数分解と解の公式で2次方程式を解き、判別式 D の符号で実数解の個数とグラフと x 軸の共有点の個数を判定します。

2次方程式 ax²+bx+c=0 の解き方は2本立てです。まず因数分解を試し、(x−2)(x−3)=0 のような積の形にできれば「どちらかが 0」から x=2, 3 と即答できます。因数分解できない(しにくい)ときは解の公式 x=(−b±√(b²−4ac))/2a を使います。x²−2x−1=0 なら x=(2±√8)/2=(2±2√2)/2=1±√2 です。√ の中の計算と、最後に約分する処理でのミスが多いので、この2箇所は特に丁寧に。

解の公式の √ の中身 D=b²−4ac を判別式といいます。D の符号だけで実数解の個数が決まります。D>0 なら異なる2つの実数解、D=0 ならただ1つの解(重解 x=−b/2a)、D<0 なら実数解なし、です。x の係数が偶数 2b′ のときは D/4=b′²−ac を使うと計算が軽くなります。

この判別式は、放物線 y=ax²+bx+c と x 軸の位置関係の言い換えでもあります。共有点の x 座標は ax²+bx+c=0 の実数解そのものなので、D>0 なら 2 点で交わる、D=0 なら 1 点で接する、D<0 なら共有点なし、と対応します。「x²+4x+k=0 が重解をもつ k」「y=x²−2kx+k+2 が x 軸に接する k」のような問題は、どちらも D=0 を解けばよい同じ問題です。

放物線と直線の共有点も同じ考え方で処理します。y=x²+1 と y=2x+4 の共有点なら、y を消去した x²+1=2x+4、すなわち x²−2x−3=0 を解いて x=−1, 3。この2次方程式の判別式が共有点の個数を教えてくれます。なお、2つの解の和や積を係数から読む「解と係数の関係」は数学Ⅱの内容なので、ここでは使わずに解を直接求めます。

解の公式
ax²+bx+c = 0(a≠0)のとき
x = (−b ± √(b²−4ac)) / 2a
判別式 D = b²−4ac
例: x²−2x−1 = 0
x = (2 ± √(4+4))/2 = (2 ± 2√2)/2 = 1 ± √2
判別式 D=b²−4ac と実数解・x 軸との共有点
D の符号実数解y=ax²+bx+c と x 軸
D > 0異なる2つの実数解2点で交わる
D = 0重解 x=−b/2a1点で接する
D < 0実数解なし共有点なし
2次方程式
ax²+bx+c=0(a≠0)の形の方程式。因数分解または解の公式で解く。
解の公式
x=(−b±√(b²−4ac))/2a。どんな2次方程式にも使える。√ の中身が判別式 D。
判別式 D
D=b²−4ac。D>0 で異なる2実数解、D=0 で重解、D<0 で実数解なし。x の係数が偶数なら D/4=b′²−ac が便利。
重解
D=0 のときのただ1つの解 x=−b/2a。グラフでは放物線が x 軸に接する接点の x 座標。
共有点
2つのグラフが共有する点。放物線と x 軸の共有点の x 座標は、y=0 とおいた2次方程式の実数解。
接する
共有点がただ1つで、そこで触れ合うこと。放物線と x 軸が接する条件は D=0。

例題 2x²+3x−2=0 を解け。

たすき掛けで (2x−1)(x+2)=0。よって x=1/2、−2。

例題 x²+4x+k=0 が重解をもつように k を定め、その重解を求めよ。

D=16−4k=0 より k=4。このとき x²+4x+4=(x+2)²=0 で重解 x=−2。

例題 放物線 y=x²−4x+5 と x 軸の共有点の個数を求めよ。

x²−4x+5=0 の判別式は D=16−20=−4<0。実数解がないので共有点は 0 個。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領」(平成30年文部科学省告示第68号)第2章第4節 数学 第2款 第1 数学Ⅰ 2 内容(3)二次関数(2次方程式・判別式)

2次不等式(グラフとの対応・すべての実数で成り立つ条件)

2次不等式はグラフで解く、を徹底します。D≦0 の場合や「すべての実数 x で成り立つ」条件まで、型で整理して得点源にします。

2次不等式は、放物線 y=ax²+bx+c のグラフと x 軸の関係で解くのが基本です。a>0、D>0 で x 軸との交点が x=α, β(α<β)のとき、ax²+bx+c<0 の解は「グラフが x 軸より下」の部分で α<x<β、ax²+bx+c>0 の解は「上」の部分で x<α または x>β です。「小なりは内側、大なりは外側」と覚えつつ、必ず放物線の略図をかいて確認する習慣をつけてください。x² の係数が負のときは、両辺に −1 を掛けて(不等号の向きを変えて)a>0 に直してから解くと間違えません。

D=0 や D<0 の場合は暗記よりグラフです。(x−3)²>0 は「接点 x=3 以外でグラフが x 軸より上」なので、解は 3 以外のすべての実数。(x−3)²<0 は解なし。D<0 で a>0 ならグラフ全体が x 軸より上に浮いているので、>0 の解はすべての実数、<0 の解はなし、となります。x²+2x+3>0 は D=4−12<0 なので、解はすべての実数です。

交点の x 座標が整数にならないときは、解の公式で求めた値をそのまま端に使います。x²−2x−2<0 なら x²−2x−2=0 の解 x=1±√3 を使って 1−√3<x<1+√3 です。√ を含む端の値を恐れないことが大切です。

「すべての実数 x で x²+2kx+k+6>0 が成り立つ」という条件は、グラフの言葉に翻訳すると「下に凸の放物線が常に x 軸より上、つまり x 軸と共有点をもたない」ことなので、D<0 が条件になります。D/4=k²−k−6<0 を解いて −2<k<3。このように、2次不等式の応用は「不等式の条件 → グラフの位置関係 → 判別式の条件」という翻訳の練習です。x² の係数にも文字があるときは、正負や 0 になる場合の確認も必要になります。

2次不等式の手順
1. x² の係数を正に直す(負なら −1 倍して向きを逆に)
2. ax²+bx+c=0 の解 α、β を求める
3. グラフの略図をかき、上下で範囲を読む
すべての実数で ax²+bx+c>0(a>0)⇔ D<0
例: x²+2kx+k+6>0 が常に成立 ⇔ k²−k−6<0 ⇔ −2<k<3
a>0 のときの2次不等式の解(α<β は ax²+bx+c=0 の解)
D の符号ax²+bx+c > 0 の解ax²+bx+c < 0 の解
D > 0x < α または x > β(外側)α < x < β(内側)
D = 0(重解 α)α 以外のすべての実数解はない
D < 0すべての実数解はない
2次不等式
ax²+bx+c>0 などの形の不等式。y=ax²+bx+c のグラフが x 軸より上(下)にある x の範囲として解く。
内側・外側
a>0、交点 α<β のとき、<0 の解は内側 α<x<β、>0 の解は外側 x<α または x>β。グラフの上下で確認する。
解なし・すべての実数
D≦0 のときに現れる答え方。グラフが x 軸から浮いている・接しているときは、範囲でなく「すべての実数」「解はない」「◯以外のすべての実数」の形になる。
常に成り立つ条件
すべての実数 x で ax²+bx+c>0(a>0)⇔ D<0。グラフが x 軸と共有点をもたない条件に翻訳する。
連立2次不等式
2つの不等式それぞれを解き、数直線で共通部分をとる。端点や整数解の数え方は1次のときと同じ。

例題 x²−5x+6<0 を解け。

(x−2)(x−3)=0 の解は x=2、3。下に凸で「<0 は内側」だから 2<x<3。

例題 x²−6x+9>0 を解け。

(x−3)²>0。接点 x=3 でだけ 0 になるので、解は 3 以外のすべての実数。

例題 すべての実数 x で x²+2kx+k+6>0 が成り立つ k の範囲を求めよ。

下に凸なので条件は D/4=k²−k−6<0。(k−3)(k+2)<0 より −2<k<3。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領」(平成30年文部科学省告示第68号)第2章第4節 数学 第2款 第1 数学Ⅰ 2 内容(3)二次関数(2次不等式)

図形と計量(三角比)

三角比の定義と相互関係

sin・cos・tan の定義と有名角の値、sin²θ+cos²θ=1 などの相互関係、90°−θ・180°−θ の公式の使い方が分かります。

直角三角形で、1つの鋭角 θ に注目すると、辺の比は三角形の大きさによらず θ だけで決まります。斜辺に対する対辺(θ の向かい側の辺)の比を sinθ(正弦)、斜辺に対する隣辺の比を cosθ(余弦)、隣辺に対する対辺の比を tanθ(正接)といいます。「斜辺・対辺・隣辺のどれとどれの比か」をまず図で確認するのが第一歩です。

鈍角まで広げるときは、原点中心・半径 r の円(半円)の上に角 θ の動径をとり、その先端の座標を (x, y) として sinθ=y/r、cosθ=x/r、tanθ=y/x と定義し直します。90°<θ<180° では x が負になるので、cosθ と tanθ は負、sinθ は正のままです。この「第2象限では cos と tan が負」という符号の感覚が、鈍角の三角比を間違えないコツです。

有名角 30°・45°・60° の値は、正三角形を半分にした 1:2:√3 の直角三角形と、直角二等辺三角形 1:1:√2 から読み取れます。たとえば sin30°=1/2、cos30°=√3/2、tan45°=1 です。120°・135°・150° の値は、180°−θ の公式(sin(180°−θ)=sinθ、cos(180°−θ)=−cosθ、tan(180°−θ)=−tanθ)で 60°・45°・30° の値に直して求めます。たとえば cos135°=−cos45°=−√2/2 です。

3つの三角比は独立ではなく、tanθ=sinθ/cosθ、sin²θ+cos²θ=1、1+tan²θ=1/cos²θ という相互関係で結ばれています。sin²θ+cos²θ=1 は、円の上の点 (x, y) が x²+y²=r² を満たすこと(三平方の定理)そのものです。1つの三角比の値が分かれば、これらの式で残り2つを計算できます。ただし 90°<θ<180° のときは cosθ・tanθ の符号を負にすることを忘れないでください。

90°−θ の公式(sin(90°−θ)=cosθ、cos(90°−θ)=sinθ、tan(90°−θ)=1/tanθ)は、直角三角形のもう一方の鋭角から同じ辺の比を見ると sin と cos が入れかわる、という意味です。sin55° を cos35° に直すように、45° 以下の角の三角比に直すときに使います。表やテストでは「90° をこえたら 180°−θ、90° 未満どうしの言いかえは 90°−θ」と整理しておくと迷いません。

定義: sinθ=対辺/斜辺 cosθ=隣辺/斜辺 tanθ=対辺/隣辺
相互関係①: sin²θ+cos²θ=1
相互関係②: tanθ=sinθ/cosθ
相互関係③: 1+tan²θ=1/cos²θ
90°−θ: sin(90°−θ)=cosθ cos(90°−θ)=sinθ
180°−θ: sin(180°−θ)=sinθ cos(180°−θ)=−cosθ
有名角の三角比の値(定期テスト最頻出。丸ごと書けるように)
θ30°45°60°90°120°135°150°
sinθ1/2√2/2√3/21√3/2√2/21/2
cosθ√3/2√2/21/20−1/2−√2/2−√3/2
tanθ√3/31√3なし−√3−1−√3/3
正弦(sin)
直角三角形で(対辺)/(斜辺)。座標では y/r。0°<θ<180° の範囲ではつねに正の値をとる。
余弦(cos)
直角三角形で(隣辺)/(斜辺)。座標では x/r。鈍角では x が負になるため cosθ は負になる。
正接(tan)
(対辺)/(隣辺)= sinθ/cosθ。座標では y/x。傾きと同じ意味をもち、鈍角では負になる。
相互関係
sin²θ+cos²θ=1、tanθ=sinθ/cosθ、1+tan²θ=1/cos²θ の3つ。1つの値から残りの三角比を求めるときに使う。
180°−θ の公式
sin(180°−θ)=sinθ、cos(180°−θ)=−cosθ、tan(180°−θ)=−tanθ。鈍角の三角比を鋭角の値に直す公式。
90°−θ の公式
sin(90°−θ)=cosθ、cos(90°−θ)=sinθ。直角三角形のもう一方の鋭角から見ると sin と cos が入れかわることを表す。

例題 θ が鋭角で sinθ=3/5 のとき、cosθ と tanθ を求めよ。

cos²θ=1−(3/5)²=16/25。θ は鋭角なので cosθ=4/5。tanθ=sinθ/cosθ=(3/5)÷(4/5)=3/4。3:4:5 の直角三角形を思い浮かべてもよい。

例題 sin135° の値を求めよ。

sin135°=sin(180°−45°)=sin45°=√2/2。sin は 180°−θ でそのまま、cos と tan は符号が変わる、と覚える。

例題 90°<θ<180° で cosθ=−3/5 のとき、sinθ を求めよ。

sin²θ=1−9/25=16/25。この範囲では sinθ>0 なので sinθ=4/5。cos が負でも sin は正のままである点に注意。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領」(平成30年文部科学省告示第68号)第2章第4節 数学 第2款 第1 数学Ⅰ 2 内容(2)図形と計量

正弦定理と余弦定理

外接円と結びつく正弦定理、3辺と1角を結ぶ余弦定理の使い方と、「どちらを使うか」の判断基準が分かります。

三角形 ABC では、頂点 A・B・C の角を A・B・C、その向かい側の辺の長さを a・b・c と書く約束です。正弦定理は a/sinA=b/sinB=c/sinC=2R(R は外接円の半径)という定理で、「辺とその向かいの角の sin の比は一定で、その値は外接円の直径」という意味です。円周角の定理から導かれ、辺 a を直径 2R の円で見ると a=2R sinA になっています。

正弦定理が使えるのは、「1辺とその向かいの角」のペアが分かっているときです。たとえば a と A が分かれば外接円の半径 R が求まり、さらにもう1つ角が分かれば残りの辺も比の計算で求められます。角度2つと辺1つが与えられる問題は、まず正弦定理を疑ってください。

余弦定理は a²=b²+c²−2bc·cosA という定理です。A=90° のときは cosA=0 となって三平方の定理 a²=b²+c² になるので、「三平方の定理に角度のずれを補正する項 −2bc·cosA を付けたもの」と理解できます。A が鋭角なら a² は b²+c² より小さく、鈍角なら大きくなります。

余弦定理の使い道は2つあります。①2辺とその間の角(はさむ角)から残りの辺を求める。②3辺から角を求める(cosA=(b²+c²−a²)/2bc に変形して使う)。特に②で cosA の値が負になれば A は鈍角です。3辺の長さがそろっている問題・はさむ角が与えられた問題は余弦定理、と覚えます。

使い分けの目安をまとめると、「向かい合う辺と角のペアがある・外接円が出てくる→正弦定理」「2辺とはさむ角・3辺が分かっている→余弦定理」です。どちらも三角形の合同条件(2角1辺、2辺夾角、3辺)に対応していて、三角形が1つに決まる情報がそろえば残りの要素は必ず計算で求められる、というのが2つの定理の役割です。

正弦定理: a/sinA = b/sinB = c/sinC = 2R
余弦定理: a² = b² + c² − 2bc·cosA
角を求める形: cosA = (b² + c² − a²) / 2bc
A=90° のとき cosA=0 → a²=b²+c²(三平方の定理)
正弦定理と余弦定理の使い分け(与えられた条件で選ぶ)
分かっている条件使う定理求まるもの
1辺とその向かいの角(+もう1つの角)正弦定理外接円の半径 R・残りの辺
外接円の半径 R と1つの角正弦定理その角の向かいの辺
2辺とそのはさむ角余弦定理残りの辺
3辺すべて余弦定理(cos の形)各角の余弦 → 角の大きさ
2辺と(はさまない)1角正弦定理または余弦定理残りの角・辺(解が2つの場合あり)
正弦定理
a/sinA=b/sinB=c/sinC=2R。辺とその向かいの角の sin の比が外接円の直径 2R に等しいという定理。
余弦定理
a²=b²+c²−2bc·cosA。2辺とはさむ角から残りの辺を求めたり、3辺から角の余弦を求めたりする定理。
外接円
三角形の3頂点をすべて通る円。半径 R は正弦定理 a/sinA=2R から求められる。
はさむ角(夾角)
2辺の間にある角。余弦定理 a²=b²+c²−2bc·cosA の A は、辺 b と c にはさまれた角である。
鈍角の判定
cosA=(b²+c²−a²)/2bc の符号で判定できる。分子 b²+c²−a² が負なら A は鈍角、0 なら直角。

例題 △ABC で A=30°、a=5 のとき、外接円の半径 R を求めよ。

正弦定理より 2R=a/sinA=5÷(1/2)=10。よって R=5。「向かい合う辺と角のペア→正弦定理」の典型。

例題 △ABC で b=2、c=3、A=60° のとき、a を求めよ。

余弦定理より a²=4+9−2·2·3·(1/2)=13−6=7。よって a=√7。2辺とはさむ角→余弦定理。

例題 3辺が 5、6、7 の三角形で、最大の角は鋭角か鈍角か。

最大角は最大辺 7 の向かい。cosθ=(25+36−49)/(2·5·6)=12/60=1/5>0 なので鋭角。分子の符号だけで判定できる。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領」(平成30年文部科学省告示第68号)第2章第4節 数学 第2款 第1 数学Ⅰ 2 内容(2)図形と計量

面積・内接円・空間図形への応用

面積公式 S=(1/2)bc·sinA、内接円の半径を求める S=(1/2)r(a+b+c)、測量や空間図形への応用が分かります。

三角形の面積は S=(1/2)×底辺×高さ ですが、辺 b と c がはさむ角 A が分かっていれば、高さは b·sinA(または c·sinA)と書けるので、S=(1/2)bc·sinA という公式になります。「2辺とはさむ角の sin をかけて半分」です。角が鈍角でも sin は正なので、この式はそのまま使えます。

3辺だけが分かっている三角形の面積は、①余弦定理で cosA を求める → ②sin²A=1−cos²A で sinA を求める → ③S=(1/2)bc·sinA、という3段階で計算するのが基本です(ヘロンの公式 S=√(s(s−a)(s−b)(s−c))、s=(a+b+c)/2 で検算できます)。

内接円(3辺すべてに接する円)の半径 r は、面積を使って求めます。内接円の中心 I と各頂点を結ぶと、三角形は高さがすべて r の3つの三角形に分かれるので、S=(1/2)ar+(1/2)br+(1/2)cr=(1/2)r(a+b+c) が成り立ちます。面積 S を先に求めてから r=2S/(a+b+c) と計算する流れが定番です。

測量への応用では、直接測れない高さや距離を三角比で求めます。水平方向から見上げる角を仰角、見下ろす角を俯角といい、水平距離 d と仰角 θ が分かれば高さは h=d·tanθ です。2地点から測るタイプでは、まず地上の三角形で正弦定理・余弦定理を使って距離を求め、それから tan で高さを出します。

空間図形では、立体の中から適切な三角形を取り出して、三平方の定理・余弦定理・面積公式を平面の場合と同じように使います。たとえば1辺 a の正四面体では、頂点から底面に下ろした垂線の足は底面(正三角形)の重心にあり、重心までの距離が a/√3 なので、高さは h=√(a²−a²/3)=a√(2/3) と求められます。体積は V=(1/3)×底面積×高さ です。

面積: S = (1/2)bc·sinA
内接円: S = (1/2)r(a+b+c) → r = 2S/(a+b+c)
ヘロン: s=(a+b+c)/2, S=√(s(s−a)(s−b)(s−c))
測量: 高さ h = 水平距離 d × tanθ(θ は仰角)
正四面体(1辺a): 高さ=a√6/3, 体積=(√2/12)a³
面積・円の半径のまとめ(S は面積、s=(a+b+c)/2)
求めるもの公式使う場面
面積S=(1/2)bc·sinA2辺とはさむ角が分かっている
面積(3辺)S=√(s(s−a)(s−b)(s−c))3辺だけ分かっている(ヘロン)
内接円の半径r=2S/(a+b+c)面積と3辺が分かっている
外接円の半径R=a/(2sinA)1辺とその向かいの角が分かっている
高さ(測量)h=d·tanθ水平距離 d と仰角 θ が分かっている
面積公式
S=(1/2)bc·sinA。2辺とそのはさむ角から面積を求める。sinA は鈍角でも正なのでそのまま使える。
ヘロンの公式
s=(a+b+c)/2 として S=√(s(s−a)(s−b)(s−c))。3辺から直接面積を求める公式。検算に便利。
内接円
三角形の3辺すべてに接する円。半径 r は S=(1/2)r(a+b+c) から r=2S/(a+b+c) で求める。
仰角・俯角
水平方向から上に見上げる角が仰角、下に見下ろす角が俯角。高さ=水平距離×tan(仰角) が測量の基本。
正四面体
4つの面がすべて正三角形の立体。1辺 a のとき高さは a√6/3、体積は (√2/12)a³ になる。

例題 2辺が 6、10 で、そのはさむ角が 30° の三角形の面積を求めよ。

S=(1/2)·6·10·sin30°=30·(1/2)=15。sin30°=1/2 を掛け忘れて 30 としないこと。

例題 3辺が 3、4、5 の三角形の内接円の半径を求めよ。

5²=3²+4² なので直角三角形。S=(1/2)·3·4=6。S=(1/2)r(3+4+5)=6r より r=1。

例題 木から水平に 15m 離れた地点で、木の先端の仰角が 30° だった。目の高さを無視すると木の高さは。

h=15·tan30°=15/√3=5√3(約8.7m)。tan30°=√3/3 を使う。tan60°=√3 と混同しないこと。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領」(平成30年文部科学省告示第68号)第2章第4節 数学 第2款 第1 数学Ⅰ 2 内容(2)図形と計量

データの分析

代表値と四分位数・箱ひげ図

平均値・中央値・最頻値の使い分け、四分位数と四分位範囲の求め方、箱ひげ図の読み方と外れ値の基準が分かります。

データ全体の特徴を1つの数値で代表させる値を代表値といいます。平均値はすべての値の合計をデータの個数で割った値、中央値(メジアン)はデータを小さい順に並べたときの真ん中の値、最頻値(モード)は最も多く現れる値です。平均値は計算しやすい一方で極端に大きい・小さい値(外れ値)に引きずられやすく、中央値は外れ値の影響を受けにくい、という性質の違いが重要です。

中央値は、データの個数が奇数なら真ん中の1個、偶数なら真ん中の2個の平均です。たとえば6個のデータなら、小さい方から3番目と4番目の平均が中央値になります。「並べ替えてから数える」が鉄則で、与えられた順のまま真ん中を取るのは誤りです。

データを小さい順に並べて4等分する位置の値が四分位数です。全体の中央値が第2四分位数 Q2、下半分(Q2 を除く)の中央値が第1四分位数 Q1、上半分の中央値が第3四分位数 Q3 です。Q3−Q1 を四分位範囲(IQR)といい、中央付近に全体の約半分のデータが収まる幅を表します。最大値−最小値の「範囲」と混同しないよう注意してください。

箱ひげ図は、最小値・Q1・Q2(中央値)・Q3・最大値の5つの数値を、箱とひげで表した図です。箱の左端が Q1、箱の中の線が中央値、箱の右端が Q3 で、箱の長さが四分位範囲を表します。複数のクラスの得点分布を並べて比べるときなど、散らばりのようすをひと目で比較できるのが長所です。

他の値から極端に離れた値を外れ値といいます。よく使われる基準は「Q1−1.5×IQR より小さい値、または Q3+1.5×IQR より大きい値」です。外れ値は入力ミスの場合もあれば意味のある珍しい値の場合もあるので、機械的に捨てるのではなく、まず原因を考えることが大切です。

平均値 x̄ = (x₁+x₂+…+xₙ)/n
中央値: 小さい順に並べ、奇数個→真ん中、偶数個→中央2個の平均
四分位範囲 IQR = Q3 − Q1
範囲 = 最大値 − 最小値
外れ値の基準: Q1−1.5×IQR 未満 または Q3+1.5×IQR 超
箱ひげ図の5数要約と箱の長さ
箱ひげ図の部分表す値意味
左のひげの先最小値データの最も小さい値
箱の左端第1四分位数 Q1下から25%の位置の値
箱の中の線中央値 Q2ちょうど真ん中の値
箱の右端第3四分位数 Q3下から75%の位置の値
右のひげの先最大値データの最も大きい値
箱の長さ四分位範囲 Q3−Q1中央付近50%のデータの幅
平均値
データの合計を個数で割った値。計算はしやすいが、外れ値に引きずられやすい。
中央値(メジアン)
小さい順に並べた真ん中の値。個数が偶数のときは中央2個の平均。外れ値の影響を受けにくい。
最頻値(モード)
最も多く現れる値。度数分布表では度数が最大の階級の階級値をいう。
四分位数
データを4等分する位置の値 Q1・Q2・Q3。Q2 は中央値。Q1 は下半分の、Q3 は上半分の中央値。
四分位範囲(IQR)
Q3−Q1。中央付近のデータ約50%が収まる幅で、外れ値の影響を受けにくい散らばりの尺度。
外れ値
他から極端に離れた値。Q1−1.5×IQR 未満、または Q3+1.5×IQR を超える値を外れ値とする基準がよく使われる。

例題 データ 3, 9, 4, 8, 6 の中央値を求めよ。

小さい順に並べると 3, 4, 6, 8, 9。5個(奇数)なので真ん中の3番目、中央値は 6。並べ替えずに真ん中の 4 を取るのは誤り。

例題 データ 1, 2, 4, 5, 7, 8, 10(7個)の Q1 と Q3 を求めよ。

中央値は4番目の 5。下半分 1, 2, 4 の中央値 Q1=2、上半分 7, 8, 10 の中央値 Q3=8。四分位範囲は 8−2=6。

例題 平均値と中央値のうち、外れ値の影響を受けにくいのはどちらか。

中央値。たとえば 1, 2, 3, 4, 100 では平均は 22 だが中央値は 3 のままで、極端な値 100 に引きずられない。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領」(平成30年文部科学省告示第68号)第2章第4節 数学 第2款 第1 数学Ⅰ 2 内容(4)データの分析

分散と標準偏差

散らばりを数値化する分散・標準偏差の定義と、「2乗の平均−平均の2乗」による計算、変量変換したときの変化が分かります。

各データの値から平均値を引いた差 x−x̄ を偏差といいます。偏差は平均より大きければ正、小さければ負で、偏差の総和はつねに 0 になります(平均の定義から必ずそうなる)。だから「偏差の平均」では散らばりを測れず、偏差を2乗してから平均をとります。これが分散 s² です。

分散の定義式は s²={(x₁−x̄)²+(x₂−x̄)²+…+(xₙ−x̄)²}/n です。2乗しているので単位も2乗(点² など)になってしまい、もとのデータと比べにくいため、分散の正の平方根 s=√(s²) を標準偏差といいます。標準偏差はもとのデータと同じ単位で散らばりの大きさを表し、値が大きいほど平均のまわりの散らばりが大きいことを意味します。

分散には便利な計算法「分散=(2乗の平均)−(平均の2乗)」、式で書くと s²=(x²の平均)−(x̄)² があります。定義式を展開すると導ける公式で、平均が小数になるデータでは定義式より計算がずっと楽です。定期テストでは両方の方法で計算できるようにしておき、片方を検算に使うのが安全です。

データ全体を一律に変換したときの平均・分散の変化も頻出です。全員に a を足す(y=x+a)と、平均は a だけ増えますが、散らばりは変わらないので分散・標準偏差はそのままです。全員を b 倍する(y=bx)と、平均は b 倍、標準偏差は |b| 倍、分散は b² 倍になります。まとめると y=bx+a のとき ȳ=bx̄+a、sy=|b|·sx、sy²=b²·sx² です。b が負でも標準偏差は正なので絶対値がつくことに注意してください。

偏差: x − x̄(総和はつねに 0)
分散(定義): s² = {(x₁−x̄)²+…+(xₙ−x̄)²}/n
分散(計算): s² = (x²の平均) − (x̄)²
標準偏差: s = √(分散)
変換 y=bx+a: ȳ=bx̄+a, sy²=b²sx², sy=|b|sx
y=bx+a と変換したときの平均・分散・標準偏差の変化
もとの値y=x+a(a を足す)y=bx(b 倍)y=bx+a
平均x̄+abx̄bx̄+a
分散sx²sx²(変わらない)b²·sx²b²·sx²
標準偏差sxsx(変わらない)|b|·sx|b|·sx
偏差
各値と平均値の差 x−x̄。偏差の総和はつねに 0 になるので、散らばりの尺度には2乗して使う。
分散
偏差の2乗の平均。s²=Σ(xᵢ−x̄)²/n。散らばりが大きいほど大きい値になる。
標準偏差
分散の正の平方根 s。もとのデータと同じ単位で散らばりを表す。分散が 9 なら標準偏差は 3。
分散の計算公式
s²=(x²の平均)−(平均)²。「2乗の平均−平均の2乗」。定義式の展開から導かれ、計算が速い。
変量の変換
y=bx+a と変換すると、平均は bx̄+a、標準偏差は |b|·sx、分散は b²·sx² になる。a を足すだけなら散らばりは不変。

例題 データ 2, 4, 6, 8 の分散を求めよ。

平均は 20/4=5。偏差は −3, −1, 1, 3 で、分散=(9+1+1+9)/4=5。標準偏差は √5。

例題 データ 1, 3, 5, 7 の分散を「2乗の平均−平均の2乗」で求めよ。

平均は 4。2乗の平均は (1+9+25+49)/4=84/4=21。分散=21−4²=21−16=5。定義式でも (9+1+1+9)/4=5 で一致する。

例題 テストの得点全員に 10 点を加えると、平均と標準偏差はどうなるか。

平均は 10 点増えるが、全員が同じだけ動くので散らばりは変わらず、標準偏差(と分散)はそのまま。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領」(平成30年文部科学省告示第68号)第2章第4節 数学 第2款 第1 数学Ⅰ 2 内容(4)データの分析

散布図と相関係数・仮説検定の考え方

散布図と正・負の相関、相関係数 r の意味と範囲、「相関があっても因果とは限らない」こと、仮説検定の考え方が分かります。

2つの変量 x、y の組を平面上の点で表した図が散布図です。点の並びが右上がり(x が増えると y も増える傾向)のとき正の相関、右下がりのとき負の相関、どちらの傾向もないとき相関がないといいます。点が1本の直線の近くに集まっているほど「相関が強い」と表現します。

相関の強さを数値にしたものが相関係数 r です。x と y の共分散 sxy(偏差の積 (x−x̄)(y−ȳ) の平均)を、x の標準偏差と y の標準偏差の積で割った値で、r=sxy/(sx·sy) と定義されます。割り算のおかげで単位が消え、必ず −1≦r≦1 の範囲に収まります。

r が 1 に近いほど強い正の相関、−1 に近いほど強い負の相関、0 に近いほど相関が弱いことを表します。r=1 や r=−1 になるのは、すべての点が1本の直線上に並ぶときだけです。r の符号は共分散の符号と同じで、散布図の右上がり・右下がりに対応します。ただし r は直線的な関係の強さしか測れず、曲線的な関係があっても r が 0 に近いことがあります。

相関関係と因果関係の区別は特に重要です。「アイスの売上」と「熱中症の搬送者数」には強い正の相関がありますが、アイスが熱中症を引き起こすわけではなく、背後の「気温」が両方を増やしています。このような第3の変量を意識せず「相関があるから原因だ」と結論するのは誤りです。相関は因果の証拠にはなりません。

仮説検定の考え方(新課程で数学Ⅰに入った内容)は、「主張したいことの逆の仮説を立て、その仮説のもとで観察された結果が起こる確率を調べ、確率が基準(たとえば 5%)より小さければ仮説を疑わしいとして棄却する」という判断の枠組みです。たとえば「コインは公正」と仮定して、8回投げて8回とも表が出る確率は (1/2)⁸=1/256≒0.4% と非常に小さいので、「公正」という仮説を棄却し、表が出やすいコインだと判断します。逆に確率が基準以上なら、仮説を棄却できず、判断を保留します。

共分散: sxy = {(x₁−x̄)(y₁−ȳ)+…+(xₙ−x̄)(yₙ−ȳ)}/n
相関係数: r = sxy/(sx·sy) (−1 ≦ r ≦ 1)
仮説検定: 逆の仮説を仮定 → その下で結果が起こる確率を計算
確率 < 基準(5%など) → 仮説を棄却 / 基準以上 → 棄却できない
相関係数 r の値と散布図のようす
r の値相関のようす散布図のイメージ
r=1完全な正の相関すべての点が右上がりの直線上に並ぶ
r が 1 に近い(例 0.9)強い正の相関右上がりの直線のまわりに密集
r が 0 に近い相関が弱い・ほぼない全体に散らばる(曲線関係は測れない)
r が −1 に近い(例 −0.9)強い負の相関右下がりの直線のまわりに密集
r=−1完全な負の相関すべての点が右下がりの直線上に並ぶ
散布図
2つの変量の組 (x, y) を座標平面上の点で表した図。右上がりなら正の相関、右下がりなら負の相関。
共分散
偏差の積 (x−x̄)(y−ȳ) の平均 sxy。正なら正の相関、負なら負の相関の傾向を表す。
相関係数
r=sxy/(sx·sy)。−1≦r≦1 を必ず満たし、±1 に近いほど直線的な関係が強い。単位のない量。
相関と因果
相関があっても一方が他方の原因とは限らない。気温のような第3の変量が両方に影響している場合がある。
仮説検定の考え方
逆の仮説を仮定し、観察結果が起こる確率が基準(5%など)未満なら仮説を棄却する判断の枠組み。
棄却
仮定した仮説のもとで観察結果がめったに起こらないとき、その仮説を捨てること。基準以上のときは棄却できず判断を保留する。

例題 「読書量が多い生徒ほど成績が良い」という相関から「読書させれば成績が上がる」と結論してよいか。

よくない。相関は因果の証拠にならず、学習時間や興味関心など第3の変量が両方に影響している可能性がある。

例題 x の標準偏差 2、y の標準偏差 3、共分散 4.8 のとき相関係数は。

r=4.8/(2×3)=0.8。1 に近いので強い正の相関がある。

例題 「このさいころは 1 が出やすい」と主張したい。仮説検定の考え方ではまず何を仮定するか。

主張の逆、つまり「さいころは公正で、1 の出る確率は 1/6」という仮説を仮定する。その仮定の下で観察結果が起こる確率を調べ、小さすぎれば仮説を棄却する。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領」(平成30年文部科学省告示第68号)第2章第4節 数学 第2款 第1 数学Ⅰ 2 内容(4)データの分析

場合の数と確率

場合の数の数え方(和の法則・積の法則)

「何通りあるか」をもれなく・重複なく数えるための2大ルール、和の法則と積の法則の使い分けが分かります。樹形図と集合の考え方もここで押さえます。

場合の数とは「起こりうる場合が全部で何通りあるか」です。数えるときの鉄則は「もれなく、重複なく」。そのための道具が、樹形図・和の法則・積の法則の3つです。樹形図は枝分かれの図をかいてすべての場合を書き出す方法で、数が少ないときや規則が見えにくいときの最終兵器です。

和の法則は「同時には起こらない(排反な)場合に分けて、たす」考え方です。たとえば2個のさいころで目の和が4の倍数になる場合は、「和が4」「和が8」「和が12」は同時に起こらないので、それぞれの場合の数をたせばよいのです。場合分けのキーワードは「または」。

積の法則は「続けて起こる・組み合わせて起こることは、かける」考え方です。シャツ3種類とズボン4種類の組合せは、シャツの選び方3通りそれぞれに対してズボンが4通りずつあるので3×4=12通り。キーワードは「そして」「かつ」。樹形図でいえば、枝が段ごとに同じ本数ずつ広がるときに使えます。

個数の計算では集合の記号も使います。1から100までのうち3の倍数の集合をA、5の倍数の集合をBとすると、3の倍数または5の倍数の個数は n(A∪B)=n(A)+n(B)−n(A∩B)。そのままたすと、15の倍数(両方に入る数)を2回数えてしまうので、重なりを1回分引くのがポイントです。

「少なくとも一方が偶数」のような条件は、直接数えると場合分けが多くて大変です。そこで全体から「そうでない場合(余事象的な数え方:どちらも奇数)」を引くと一発で求められます。この「全体から引く」発想は確率の余事象につながる重要テクニックです。

注意したいのは「区別があるかどうか」。大小2個のさいころなら(1,4)と(4,1)は別の場合ですが、区別のない2個なら同じ1通りです。問題文の設定(大小・色つき・同時に取り出す等)から、区別の有無をまず確認する習慣をつけましょう。

和の法則: AとBが同時に起こらないとき n(A∪B) = n(A) + n(B)
個数定理: n(A∪B) = n(A) + n(B) − n(A∩B)
積の法則: Aがa通り、その各々にBがb通り → a×b 通り
「少なくとも〜」: (全体の場合の数)−(そうでない場合の数)
和の法則と積の法則の使い分け
法則使う場面キーワード
和の法則同時に起こらない場合に分けて数える「または」目の和が4または8 → 3+5=8通り
積の法則選択を続けて行う・組み合わせる「そして」「かつ」シャツ3種×ズボン4種=12通り
樹形図規則が見えにくい・数が少ない全部書き出す硬貨の支払い方などの列挙
全体から引く「少なくとも〜」の数え上げ「少なくとも」積が偶数=全体−両方奇数
場合の数
起こりうる場合が全部で何通りあるかを表す数。「もれなく、重複なく」数えるのが鉄則。
樹形図
枝分かれの図ですべての場合を書き出す方法。数が少ないときや、規則が複雑なときに確実に数えられる。
和の法則
2つの事柄が同時に起こらないとき、どちらかが起こる場合の数は、それぞれの場合の数の和になるという法則。「または」で場合分けしてたす。
積の法則
事柄Aの起こり方がa通りあり、そのそれぞれに対して事柄Bの起こり方がb通りあるとき、AとBがともに起こる場合の数はa×b通りになるという法則。
n(A∪B)
AまたはBに入る要素の個数。n(A)+n(B)−n(A∩B)で求める。重なり分を1回引くのがポイント。
補集合を使う数え方
「少なくとも〜」の条件は、全体からそうでない場合の数を引いて求めると速い。確率の余事象と同じ発想。

例題 大小2個のさいころを投げるとき、目の和が5の倍数になるのは何通りか。

和が5になるのは(1,4),(2,3),(3,2),(4,1)の4通り、和が10になるのは(4,6),(5,5),(6,4)の3通り。同時には起こらないので和の法則で4+3=7通り。

例題 1から100までの自然数のうち、4の倍数でも6の倍数でもない数は何個あるか。

4の倍数25個、6の倍数16個、12の倍数(重なり)8個なので、4または6の倍数は25+16−8=33個。全体から引いて100−33=67個。

例題 (a+b)(x+y+z)を展開すると項は何個できるか。

aとbのどちらを選ぶかが2通り、x,y,zのどれを選ぶかが3通り。積の法則で2×3=6個。展開の項の数は積の法則そのものである。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領」(平成30年文部科学省告示第68号)第2章第4節 数学 第2款 第4 数学A 2 内容(2)場合の数と確率

順列 ― 並べる数え方(nPr・円順列・同じものを含む順列)

「区別して並べる」場合の数が順列です。nPrの計算、隣り合う・両端などの条件つき、円順列、同じものを含む順列まで、定期テストの頻出パターンを網羅します。

異なるn個からr個を取り出して1列に並べる並べ方を順列といい、ₙPᵣと書きます。先頭はn通り、次は残りの(n−1)通り、…と積の法則を使うと、ₙPᵣ = n(n−1)(n−2)…(n−r+1)(r個の積)。特に全部並べるときは n! = n(n−1)…2·1(nの階乗)です。

順列か組合せかの見分け方は「並べる順番・役割に意味があるか」。委員長と副委員長のように役割が違えば順列(P)、単に3人選ぶだけなら組合せ(C)です。ここを取り違えるのが最も多いミスなので、問題文の「選んで並べる/選ぶだけ」を必ず確認しましょう。

条件つきの順列には定番の手筋があります。「隣り合う」→隣り合うものをひとまとめにして並べ、最後にまとめの中の並べ方を掛ける。「両端が〜」「先頭が〜」→条件の強い場所から先に決める。「隣り合わない」→先に他を並べ、間と両端のすき間に入れる。この3つで大半の問題が解けます。

円順列は円形に並べる並べ方です。回転して重なる並びは同じとみなすので、1人を固定して残りを並べると考え、異なるn個の円順列は (n−1)! 通り。たとえば5人の円卓は4!=24通りです。「特定の2人が隣り合う円順列」は、2人をひとまとめにして(n−2)人+1組の円順列を作り、まとめの中の2!を掛けます。

同じものを含む順列では、同じもの同士の入れかえを重複して数えてしまうので、その分で割ります。aがp個、bがq個、cがr個の計n個を並べる並べ方は n!/(p!q!r!)。たとえばa,a,b,b,cの5文字なら 5!/(2!2!)=30通りです。

0を含む数字で整数を作る問題は要注意です。最高位(先頭)に0は置けないので、先頭だけ別に数えます。0,1,2,3,4から異なる3枚で3桁の整数を作るなら、百の位は0以外の4通り、十の位は残り4通り、一の位は残り3通りで4×4×3=48個。うっかり₅P₃=60とすると先頭0の分を数えすぎです。

ₙPᵣ = n(n−1)(n−2)…(n−r+1) (rを個数として掛ける)
ₙPₙ = n! , 0! = 1
円順列: (n−1)! (1つを固定して残りを並べる)
同じものを含む順列: n!/(p!q!r!…)
隣り合う: (塊を含めた順列)×(塊の中の順列)
順列の公式まとめ
公式
r個取って並べるₙPᵣ = n(n−1)…(n−r+1)₅P₃ = 5·4·3 = 60
全部並べるn!4! = 24
円順列(n−1)!5人の円卓 4! = 24
同じものを含むn!/(p!q!…)a,a,b,b,cは 5!/(2!2!) = 30
隣り合うひとまとめ×中の並べ方女子2人が隣り合う: 4!×2! = 48
0を含む整数先頭は0以外から決める0〜4で3桁: 4×4×3 = 48
順列
異なるn個からr個を取り出して1列に並べる並べ方。順番に意味があるときの数え方で、ₙPᵣで表す。
階乗
n! = n(n−1)(n−2)…2·1。異なるn個をすべて並べる並べ方の総数。0! = 1と定める。
円順列
円形に並べる並べ方。回転して一致するものは同じとみなすため、異なるn個では(n−1)!通りになる。
同じものを含む順列
同じものがp個、q個、…あるn個の順列は n!/(p!q!…)。同じもの同士の入れかえ分で割る。
隣り合う条件
隣り合うものをひとまとめ(1つの塊)にして並べてから、塊の中の並べ方を掛ける定番の手筋。
隣り合わない条件
先に残りを並べ、そのすき間(間と両端)に隣り合わせたくないものを入れていく手筋。

例題 6人から3人を選んで1列に並べる方法は何通りか。

並べる順番に意味があるので順列。₆P₃ = 6×5×4 = 120通り。「3人選ぶだけ」なら₆C₃=20通りになることと区別する。

例題 男子2人、女子3人が1列に並ぶとき、男子2人が隣り合わない並び方は何通りか。

全体5!=120通りから、男子2人が隣り合う並び方4!×2!=48通りを引いて72通り。または女子3人を並べ(3!)、間と両端の4か所から2か所に男子を入れる(₄P₂)で 6×12=72通り。

例題 7個の文字 s,u,u,g,a,k,u を1列に並べる方法は何通りか。

uが3個あるので、7!/3! = 5040/6 = 840通り。同じ文字の入れかえ3!通りを重複して数えているので割る。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領」(平成30年文部科学省告示第68号)第2章第4節 数学 第2款 第4 数学A 2 内容(2)場合の数と確率

組合せ ― 選ぶ数え方(nCr・組分け・道順)

順番を問わず「選ぶだけ」の数え方が組合せです。nCrの計算と性質、組分け問題の割るか割らないか、碁盤の目の道順まで、テストで差がつくところを固めます。

異なるn個からr個を取り出す選び方(順番は問わない)を組合せといい、ₙCᵣと書きます。まずr個並べる順列ₙPᵣを作ると、同じr個の選び方をr!通りずつ重複して数えているので、ₙCᵣ = ₙPᵣ/r! です。たとえば₇C₂ = 7·6/(2·1) = 21。

組合せの便利な性質が ₙCᵣ = ₙC₍ₙ₋ᵣ₎ です。「選ぶ」ことと「残す」ことは1対1に対応するからで、₈C₅は₈C₃=8·7·6/(3·2·1)=56と計算する方が速い。rが大きいときは残る方で計算しましょう。

「男子から2人、女子から2人」のように複数のグループから選ぶときは、それぞれの組合せを積の法則で掛けます。図形への応用も頻出で、n角形の対角線の本数は、2頂点の選び方ₙC₂から辺のn本を引いて ₙC₂ − n です。

組分け問題は「組に区別があるか」「人数が同じ組があるか」で決まります。9人を4人と5人に分けるのは人数が違うので₉C₄=126通りでそのまま終わり。しかし6人を2人ずつ3組に分けるとき、組に名前(A班B班C班)がなければ、₆C₂×₄C₂=90通りは同じ分け方を組の並べかえ3!通りずつ重複して数えているので、90/3!=15通りです。この「3!で割るかどうか」が最大のポイント。

碁盤の目の道順(最短経路)は同じものを含む順列と同じです。東へ4区画、北へ3区画進むなら、道順は「東東東東北北北」の並べかえで 7!/(4!3!) = ₇C₃ = 35通り。「7回の移動のうち、どの3回を北にするか」と考えても同じ式になります。

「地点Pを通る」道順は(AからPまで)×(PからBまで)の積の法則。「Pを通らない」道順は全体から「Pを通る」を引きます。場合の数でも確率でも、この「通る=掛ける、通らない=引く」のセットで覚えておくと迷いません。

ₙCᵣ = ₙPᵣ / r! = n(n−1)…(n−r+1) / r!
ₙCᵣ = ₙC₍ₙ₋ᵣ₎ (選ぶ=残す)
同じ人数k組への組分け(組に区別なし): 選ぶ式 ÷ k!
道順: 東m回・北n回 → ₍ₘ₊ₙ₎Cₙ 通り
n角形の対角線: ₙC₂ − n
PとCの使い分けと組分けの判断
問題のタイプ判断のポイント
委員長・副委員長を選ぶₙP₂役割が違う=順番に意味あり→P
代表を2人選ぶₙC₂役割が同じ=選ぶだけ→C
4人と5人に分ける₉C₄人数が違えば自動的に区別される
2人ずつA班B班C班に分ける₆C₂×₄C₂組に名前があれば割らない
2人ずつ3組に分ける(名前なし)₆C₂×₄C₂÷3!同じ人数×名前なし→組数の階乗で割る
東m・北nの道順₍ₘ₊ₙ₎Cₙ移動の並べかえ=同じものを含む順列
組合せ
異なるn個からr個を取り出す選び方(順番は問わない)。ₙCᵣ = ₙPᵣ/r! で計算する。
ₙCᵣ = ₙC₍ₙ₋ᵣ₎
r個を選ぶことと残りのn−r個を残すことは1対1対応、という性質。₈C₅は₈C₃で計算すると速い。
組分け
人をいくつかの組に分ける問題。組に区別がなく同じ人数の組がk組あるときは、k!で割って重複を消す。
最短経路(道順)
碁盤の目を遠回りせずに進む道の数。移動の文字列の並べかえとみなし、同じものを含む順列(=組合せ)で数える。
対角線の本数
n角形の対角線は、2頂点の選び方から辺を引いて ₙC₂ − n 本。
特定のものを含む選び方
「特定の2人を必ず含めてr人選ぶ」は、その2人を除いた残りからr−2人を選ぶと考える。

例題 10人から3人の掃除当番を選ぶ方法は何通りか。

当番に役割の区別はないので組合せ。₁₀C₃ = 10·9·8/(3·2·1) = 120通り。「班長・副班長・書記」なら₁₀P₃=720通りになる。

例題 8人を4人ずつの2組に分ける方法は何通りか。

₈C₄=70通りは、同じ分け方を2!回ずつ数えている(組に名前がない)ので、70/2=35通り。「A室とB室に4人ずつ」なら70通りのまま。

例題 碁盤の目状の道を、東へ3区画、北へ2区画進んでAからBへ行く最短の道順は何通りか。

5回の移動のうちどの2回を北にするかで ₅C₂ = 10通り。「東東東北北」の並べかえ 5!/(3!2!) = 10 と考えても同じ。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領」(平成30年文部科学省告示第68号)第2章第4節 数学 第2款 第4 数学A 2 内容(2)場合の数と確率

確率 ― 定義から反復試行・条件付き確率・期待値まで

確率の定義、余事象、独立な試行、反復試行の公式、条件付き確率、期待値まで。数Aの確率の全体像を「同様に確からしい」を出発点に整理します。

起こりうるどの場合も同じ程度に期待できる(同様に確からしい)とき、事象Aの確率は P(A) = (Aの場合の数)/(全体の場合の数)で定めます。分母と分子は同じ数え方でそろえるのが鉄則で、さいころ2個なら大小を区別して36通りを分母にします。確率は必ず 0 ≦ P(A) ≦ 1 です。

Aが起こらない事象をAの余事象Āといい、P(Ā) = 1 − P(A)。「少なくとも1つ」「1回も〜ない」という表現が出たら余事象の合図です。たとえば「少なくとも一方が6」は、余事象「どちらも6でない」の確率(5/6)²=25/36を1から引いて11/36と求めるのが速い。

AとBが同時に起こらないとき(排反)、P(A∪B) = P(A) + P(B)。排反でないときは P(A∪B) = P(A) + P(B) − P(A∩B) と重なりを引きます。「3の倍数または4の倍数」のような問題では、12の倍数を2回数えないよう注意。

さいころとコインのように、互いの結果に影響しない試行を独立な試行といい、ともに起こる確率は積 P(A)×P(B) になります。さらに同じ試行をn回くり返す反復試行で、1回あたり確率pの事象がちょうどr回起こる確率は ₙCᵣ pʳ(1−p)ⁿ⁻ʳ。ₙCᵣは「どのr回で起こるか」の場所の選び方です。ₙCᵣの掛け忘れが最頻出のミス。

事象Aが起こったという条件のもとでBが起こる確率を条件付き確率 P_A(B) といい、P_A(B) = P(A∩B)/P(A)。分母が「全体」から「Aが起こった場合」に縮むのがポイントです。また乗法定理 P(A∩B) = P(A)×P_A(B) を使うと、くじを順に引く問題などが順序よく計算できます。くじ引きの当たりやすさは引く順番によらない、という結果も有名です。

賞金のように値が確率的に決まる量(確率変数)について、(値×確率)の総和を期待値といいます。E = x₁p₁ + x₂p₂ + … + xₙpₙ。たとえば10本中100円が2本、50円が3本のくじの期待値は (100×2 + 50×3 + 0×5)/10 = 35円。参加費と比べて有利・不利を判断する問題が典型です(新課程では期待値は数学Aで扱います)。

P(A) = n(A) / n(U) (0 ≦ P(A) ≦ 1)
P(Ā) = 1 − P(A)
P(A∪B) = P(A) + P(B) − P(A∩B)
独立: P(A∩B) = P(A) × P(B)
反復試行: ₙCᵣ pʳ (1−p)ⁿ⁻ʳ
条件付き確率: P_A(B) = P(A∩B) / P(A)
期待値: E = x₁p₁ + x₂p₂ + … + xₙpₙ
確率の公式一覧
公式使いどころ
確率の定義P(A) = n(A)/n(U)同様に確からしいとき。分母分子は同じ数え方で
余事象P(Ā) = 1 − P(A)「少なくとも1つ」「〜でない」
加法定理P(A∪B) = P(A)+P(B)−P(A∩B)「または」。排反なら引く項は0
独立な試行P(A∩B) = P(A)P(B)さいころとコインなど別々の試行
反復試行ₙCᵣ pʳ(1−p)ⁿ⁻ʳ同じ試行のくり返しでちょうどr回
条件付き確率P_A(B) = P(A∩B)/P(A)「〜と分かっているとき」
期待値E = Σ(値×確率)くじの賞金の平均・有利不利の判断
同様に確からしい
起こりうるどの場合も同じ程度に期待できること。確率を場合の数の比で定義するための前提。
余事象
Aが起こらないという事象Ā。P(Ā)=1−P(A)。「少なくとも」ときたら余事象を考えるのが定石。
排反
2つの事象が同時には起こらないこと。排反ならP(A∪B)=P(A)+P(B)とたせる。
独立な試行
互いの結果に影響を与えない試行。ともに起こる確率は、それぞれの確率の積になる。
反復試行の確率
確率pの事象がn回中ちょうどr回起こる確率 ₙCᵣpʳ(1−p)ⁿ⁻ʳ。ₙCᵣは起こる回の場所の選び方。
条件付き確率
Aが起こったと分かったときにBが起こる確率 P_A(B)=P(A∩B)/P(A)。分母がAに縮む。
乗法定理
P(A∩B)=P(A)×P_A(B)。くじを順に引くなど、段階的に起こる事象の確率計算に使う。
期待値
確率変数の(値×確率)の総和。平均的にどれだけの値が期待できるかを表す。

例題 2個のさいころを同時に投げるとき、目の和が10以上になる確率を求めよ。

和が10:(4,6)(5,5)(6,4)、和が11:(5,6)(6,5)、和が12:(6,6)の計6通り。P = 6/36 = 1/6。分母は2個を区別した36通りにそろえる。

例題 1個のさいころを5回投げるとき、3の倍数の目がちょうど2回出る確率を求めよ。

3の倍数の目(3,6)が出る確率は1/3。反復試行の公式で ₅C₂(1/3)²(2/3)³ = 10×(1/9)×(8/27) = 80/243。

例題 当たり2本を含む8本のくじから1本ずつ2回引く(戻さない)。2本とも当たる確率を乗法定理で求めよ。

P(1本目当たり)=2/8、その条件のもとで2本目も当たる確率は1/7。乗法定理より 2/8 × 1/7 = 1/28。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領」(平成30年文部科学省告示第68号)第2章第4節 数学 第2款 第4 数学A 2 内容(2)場合の数と確率

図形の性質・数学と人間の活動

三角形の性質 ― 角の二等分線・五心・中線定理

角の二等分線と辺の比、重心・外心・内心・垂心の見分け方、中線定理、チェバ・メネラウスの定理まで。三角形の定期テスト頻出事項を整理します。

三角形の内角の二等分線には美しい比の性質があります。△ABCで∠Aの二等分線が辺BCと交わる点をDとすると、BD:DC = AB:AC。「二等分線は向かいの辺を、はさむ2辺の比に分ける」と覚えます。外角の二等分線でも同様に、BCの延長との交点EについてBE:EC=AB:ACが成り立ちます(外分)。

この性質は、ADに平行な補助線を引くか、面積比で証明できます。使うときは、BD = BC × AB/(AB+AC) のように、全体BCを AB:AC に内分する形で長さを出すのが実戦的です。比を取り違えて BD:DC = AC:AB としないよう、「Bに近い方の線分はBに近い辺ABと対応」と確認しましょう。

三角形の五心のうち数Aで頻出なのは4つ。重心Gは3本の中線(頂点と対辺の中点を結ぶ線)の交点で、中線を頂点側から2:1に内分します。外心Oは3辺の垂直二等分線の交点で、3頂点から等距離(外接円の中心)。内心Iは3つの内角の二等分線の交点で、3辺から等距離(内接円の中心)。垂心Hは3頂点から対辺に下ろした垂線の交点です。「何の交点か」「どこから等距離か」をセットで覚えます。

角度の頻出公式が2つ。内心Iについて ∠BIC = 90° + ∠A/2(∠IBC+∠ICBが(B+C)/2になることから)。外心Oについて、中心角と円周角の関係から ∠BOC = 2∠A(∠Aが鋭角のとき)。この2つは証明ごと出題されます。

中線定理(パップスの定理)は、辺BCの中点をMとすると AB² + AC² = 2(AM² + BM²)。中線の長さを2辺と底辺から計算できる公式で、座標を設定すれば証明できます。右辺のBM(半分の長さ)にBCをそのまま入れてしまうミスに注意。

線分の比にはチェバの定理とメネラウスの定理も使えます。チェバ:三角形の内部の点を通る3本の線が対辺と交わるとき (AF/FB)(BD/DC)(CE/EA)=1。メネラウス:1本の直線が3辺(またはその延長)と交わるときも同じ形の式が成り立ちます。頂点→分点→頂点→分点…と一筆書きの順に回って書くのがコツです。

角の二等分線: BD:DC = AB:AC (BD = BC×AB/(AB+AC))
重心: 中線を頂点側から 2:1 に内分
内心: ∠BIC = 90° + ∠A/2
外心: ∠BOC = 2∠A (∠Aが鋭角のとき)
中線定理: AB² + AC² = 2(AM² + BM²) (MはBCの中点)
チェバ・メネラウス: (AF/FB)(BD/DC)(CE/EA) = 1
三角形の四心の見分け方
名前何の交点か性質円との関係
重心G中線(頂点と対辺の中点)中線を2:1に内分
外心O辺の垂直二等分線3頂点から等距離/∠BOC=2∠A外接円の中心
内心I内角の二等分線3辺から等距離/∠BIC=90°+∠A/2内接円の中心
垂心H頂点から対辺への垂線鈍角三角形では外部にくる
角の二等分線の性質
∠Aの二等分線と対辺BCの交点Dについて BD:DC = AB:AC。はさむ2辺の比に対辺を内分する。
重心
3本の中線の交点G。各中線を頂点側から2:1に内分する。
外心
3辺の垂直二等分線の交点O。3つの頂点から等距離で、外接円の中心になる。
内心
3つの内角の二等分線の交点I。3辺から等距離で、内接円の中心になる。
垂心
3つの頂点から対辺(またはその延長)に下ろした垂線の交点H。
中線定理
BCの中点をMとすると AB²+AC² = 2(AM²+BM²)。中線AMの長さを求めるのに使う。
チェバの定理
三角形内部の1点で交わる3本の線について (AF/FB)(BD/DC)(CE/EA)=1。頂点と分点を交互に一周する。
メネラウスの定理
1本の直線が三角形の3辺またはその延長を切るとき (AF/FB)(BD/DC)(CE/EA)=1 が成り立つ。
辺と角の大小
三角形では、大きい辺の向かいの角ほど大きい(逆も成り立つ)。最大辺の対角が最大角。

例題 △ABCでAB=9、AC=6、BC=10。∠Aの二等分線が辺BCと交わる点をDとするとき、BDの長さを求めよ。

BD:DC=AB:AC=9:6=3:2。よってBD=10×3/5=6。Bに近い線分BDは、Bをはさむ辺ABと対応することを確認する。

例題 △ABCの重心をGとし、直線AGと辺BCの交点をMとする。GM=2のときAMの長さを求めよ。

Mは中線の足なのでAG:GM=2:1。GM=2よりAG=4、AM=AG+GM=6。

例題 △ABCでAB=4、AC=6、BC=8。辺BCの中点をMとするとき、中線AMの長さを求めよ。

中線定理より 4²+6² = 2(AM²+4²)。52=2AM²+32、AM²=10、AM=√10。BM=4(BCの半分)を使うことに注意。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領」(平成30年文部科学省告示第68号)第2章第4節 数学 第2款 第4 数学A 2 内容(1)図形の性質

円の性質 ― 円周角・接弦定理・方べきの定理

円周角の定理、円に内接する四角形、接弦定理、方べきの定理の3パターン、2円の共通接線まで。円がらみの角度と長さの計算を一気に整理します。

円周角の定理:1つの弧に対する円周角は中心角の半分で、同じ弧に対する円周角はすべて等しい。特に半円の弧(直径)に対する円周角は90°です(タレスの定理)。また、円周角の大きさは弧の長さに比例するので、円周を3:4:5に分ければ、対応する円周角(内接三角形の内角)も3:4:5になります。

円に内接する四角形では、向かい合う内角の和が180°(対角の和)。同じことですが、1つの内角は向かいの内角の外角に等しい、とも言えます。逆に、対角の和が180°の四角形は円に内接します。この「内接する条件」は証明問題でも頻出です。

接弦定理:円の接線とその接点を通る弦のなす角は、その弦に対する円周角(弦の反対側の弧に対するもの)に等しい。接線が出てきたら、接点での角を円周角に読みかえるのが定石です。また、円外の1点からその円に引いた2本の接線の長さは等しい。この性質から、内接円が辺と接する点までの長さは s−a(sは半周長)の形で表せます。

方べきの定理は3つの形をまとめて覚えます。(1)2つの弦AB、CDが円の内部の点Pで交わるとき PA·PB = PC·PD。(2)円外の点Pから2本の割線を引くとき PA·PB = PC·PD(PからみてA、Bの順、C、Dの順に円と交わる)。(3)一方が接線PTのとき PT² = PA·PB。どの形も「Pから円との交点までの2つの距離の積が一定」という同じ主張です。外部の場合、PA·PBのPBはPから遠い方の交点までの長さ(PB=PA+AB)であることに注意。

2つの円の位置関係は、中心間の距離dと半径r₁、r₂(r₁>r₂)の大小で5つに分類されます:離れている(d>r₁+r₂)、外接(d=r₁+r₂)、2点で交わる(r₁−r₂<d<r₁+r₂)、内接(d=r₁−r₂)、一方が内部(d<r₁−r₂)。共通接線の本数は順に4、3、2、1、0本です。

共通接線の長さは三平方の定理で求めます。共通外接線は ℓ = √(d²−(r₁−r₂)²)、共通内接線は ℓ = √(d²−(r₁+r₂)²)。半径の差か和か、どちらを使うかを図で確認して選びます(外接線は差、内接線は和)。

円周角 = 中心角 ÷ 2 / 直径に対する円周角 = 90°
内接四角形: 対角の和 = 180°
接弦定理: 接線と弦のなす角 = その弦に対する円周角
方べき: PA·PB = PC·PD / PT² = PA·PB
共通外接線: ℓ = √(d² − (r₁−r₂)²)
共通内接線: ℓ = √(d² − (r₁+r₂)²)
方べきの定理 3つの形
状況注意点
内部交点型2弦が円の内部の点Pで交わるPA·PB = PC·PDPから4つの交点までの距離の積
外部割線型円外のPから2本の割線PA·PB = PC·PDPBはPから遠い交点まで(PB=PA+AB)
接線型円外のPから接線PTと割線PT² = PA·PB接線の長さの2乗になる
円周角の定理
1つの弧に対する円周角は中心角の半分。同じ弧に対する円周角は等しい。直径に対する円周角は90°。
円に内接する四角形
向かい合う内角の和が180°。逆に対角の和が180°なら、その四角形は円に内接する。
接弦定理
接線と弦のなす角は、その弦に対する円周角に等しい。接点の角を円周角に読みかえる道具。
方べきの定理
点Pを通る直線が円と2点で交わるとき、Pから2交点までの距離の積は直線の取り方によらず一定。PA·PB=PC·PD。
方べき(接線型)
円外の点Pからの接線PTと割線について PT² = PA·PB。接線の長さを求めるのに使う。
接線の長さ
円外の1点からその円に引いた2本の接線の長さは等しい。内接円の問題の基本になる。
2円の位置関係
中心間の距離dと半径の和・差の大小で、離れる・外接・交わる・内接・内部の5パターンに分類される。
共通接線の長さ
外接線は√(d²−(r₁−r₂)²)、内接線は√(d²−(r₁+r₂)²)。三平方の定理から導かれる。

例題 円Oの周上に3点A、B、Cがあり、弧BC(Aを含まない方)に対する中心角∠BOC=140°である。∠BACを求めよ。

円周角は中心角の半分なので ∠BAC=140°÷2=70°。

例題 円に内接する四角形ABCDで∠B=110°のとき、∠Dを求めよ。

内接四角形の対角の和は180°なので ∠D=180°−110°=70°。

例題 円の2つの弦AB、CDが点Pで交わり、PA=6、PB=2、PC=3のとき、PDを求めよ。

方べきの定理より PA·PB=PC·PD。6×2=3×PD だから PD=4。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領」(平成30年文部科学省告示第68号)第2章第4節 数学 第2款 第4 数学A 2 内容(1)図形の性質

整数の性質 ― 約数と倍数・互除法・n進法・不定方程式

素因数分解と約数、最大公約数を求めるユークリッドの互除法、n進法と10進法の相互変換、不定方程式 ax+by=c の整数解。数学と人間の活動の計算パターンを固めます。

整数の性質の出発点は素因数分解です。どんな自然数も素数の積として(順序を除き)ただ1通りに表せます。540=2²×3³×5 のように指数の形で書けば、正の約数の個数は(各指数+1)の積で求められます。2つの数の最大公約数Gは共通の素因数の指数の小さい方、最小公倍数Lは大きい方を取ったもの。そして2つの自然数a、bについて G×L = a×b が成り立ちます。

大きい数の最大公約数はユークリッドの互除法で求めます。原理は「a = bq + r のとき、gcd(a, b) = gcd(b, r)」。割られる数と割る数の最大公約数は、割る数と余りの最大公約数に等しいので、余りが0になるまで割り算をくり返し、最後の割る数(=最後の0でない余り)が最大公約数です。319と143なら、319=143×2+33、143=33×4+11、33=11×3 なので gcd=11。

n進法は、位が上がるごとに値がn倍になる記数法です。n進数を10進数に直すには、各位にnの累乗を掛けてたします:110101₂ = 32+16+4+1 = 53。10進数をn進数に直すには、nで割った商と余りを余りが主役になるように並べます:nで割り続けて、出てきた余りを下から順に読む。123を5で割ると商24余り3、24を5で割ると商4余り4、4を5で割ると商0余り4なので、123 = 443₅。余りを上から読んでしまう(344₅とする)のが典型的なミスです。

1次不定方程式 ax+by=c は、a、bの最大公約数がcの約数のときに整数解をもちます。解き方は、(1)まず1組の解(x₀, y₀)を見つける(互除法を逆にたどるか、小さい数の代入で探す)。(2)ax+by=c から ax₀+by₀=c を辺々引くと a(x−x₀) = −b(y−y₀)。aとbが互いに素なら、x−x₀ はbの倍数となるので、整数kを使って x = x₀+bk、y = y₀−ak がすべての整数解です。xにはbの係数、yにはaの係数がつくこと、符号が逆になることを、もとの式に代入して確認する習慣をつけましょう。

割り算の余りで整数を分類する考え方も重要です。「7で割ると3余る数」は7k+3と表せます。2つの条件「7で割ると3余り、13で割ると5余る」を満たす数は、一方を代入して不定方程式に帰着させて求めます。解は91(=7×13)ごとに現れるので、最小の解を見つければ全体は91m+31の形に書けます。

このほか、倍数の判定法(2の倍数は一の位が偶数、3の倍数は各位の和が3の倍数、4の倍数は下2桁が4の倍数、5の倍数は一の位が0か5、9の倍数は各位の和が9の倍数)も基本として押さえておきましょう。

約数の個数: N = pᵃqᵇrᶜ → (a+1)(b+1)(c+1) 個
G×L = a×b (G:最大公約数, L:最小公倍数)
互除法: a = bq + r ⇒ gcd(a, b) = gcd(b, r)
n進→10進: 各位 × nᵏ の和 / 10進→n進: nで割って余りを下から読む
ax+by=c: 1組の解(x₀,y₀)を見つけ、x = x₀+bk, y = y₀−ak(a,b互いに素)
整数分野の計算手順まとめ
テーマ手順
約数の個数素因数分解して(指数+1)の積720=2⁴·3²·5 → 5·3·2=30個
互除法余りが0になるまで割り、最後の割る数319→143→33→11→0 で gcd=11
n進→10進各位×nの累乗の和110101₂=32+16+4+1=53
10進→n進nで割り続け、余りを下から読む123÷5の余り3,4,4 → 443₅
不定方程式1組の解+一般解 x=x₀+bk, y=y₀−ak3x+5y=1 → x=2+5k, y=−1−3k
素因数分解
自然数を素数の積で表すこと。表し方は順序を除きただ1通り(素因数分解の一意性)。
約数の個数
N=pᵃqᵇrᶜ…のとき、正の約数の個数は(a+1)(b+1)(c+1)…個。
最大公約数と最小公倍数
2つの自然数a、bの最大公約数Gと最小公倍数Lには G×L=a×b の関係がある。
ユークリッドの互除法
a=bq+r のとき gcd(a,b)=gcd(b,r) を利用して、割り算をくり返して最大公約数を求める方法。
互いに素
最大公約数が1である2つの整数。不定方程式の解の議論で「aとbは互いに素」が効いてくる。
n進法
位が上がるごとに値がn倍になる記数法。n進→10進は累乗を掛けてたす、10進→n進は割って余りを下から読む。
1次不定方程式
ax+by=c を満たす整数(x,y)を求める問題。1組の解を見つけ、x=x₀+bk、y=y₀−ak と一般解を書く。
余りによる分類
整数をnで割った余りで n 種類に分類する考え方。「7で割ると3余る数」は7k+3と表す。

例題 294と126の最大公約数を、互除法で求めよ。

294=126×2+42、126=42×3+0。余りが0になったので最大公約数は42。

例題 10進数の45を2進法で表せ。

45÷2=22余り1、22÷2=11余り0、11÷2=5余り1、5÷2=2余り1、2÷2=1余り0、1÷2=0余り1。余りを下から読んで101101₂。検算: 32+8+4+1=45。

例題 方程式 2x+7y=1 のすべての整数解を求めよ。

x=4、y=−1が1組の解(2×4−7=1)。よって x=4+7k、y=−1−2k(kは整数)。代入すると 2(4+7k)+7(−1−2k)=8+14k−7−14k=1 で確認できる。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領」(平成30年文部科学省告示第68号)第2章第4節 数学 第2款 第4 数学A 2 内容(3)数学と人間の活動

式と証明・複素数と方程式

式と証明(3次式の公式・二項定理・恒等式・不等式の証明)

3次式の展開・因数分解、二項定理、恒等式の係数決定から、相加平均・相乗平均を使う不等式の証明まで、数学Ⅱの計算と論証の土台を作ります。

数学Ⅰの乗法公式を3次に広げます。(a+b)³ = a³+3a²b+3ab²+b³ は「係数が 1,3,3,1 と並ぶ」のが目印で、真ん中の 3a²b と 3ab² を落とすミスが定期テストで最も多いところです。因数分解では a³+b³ = (a+b)(a²−ab+b²)、a³−b³ = (a−b)(a²+ab+b²) を使います。かっこの中の符号が「最初のかっこと逆」になる(+なら−ab、−なら+ab)ことをセットで覚えてください。

(a+b)ⁿ を一気に展開する道具が二項定理です。一般項は C(n,r)·aⁿ⁻ʳ·bʳ(C(n,r) は組合せの数)で、「係数を知りたい項だけ取り出せる」のが強みです。例えば (x+2)⁵ の x³ の係数なら、x³ になるのは r=2 の項なので C(5,2)·2² = 10×4 = 40。b の側の累乗(ここでは 2²)を掛け忘れるミスが頻出なので、「係数は C(n,r) × 数の累乗」まで含めて1セットです。

分数式は数の分数と同じルールで、まず分母・分子を因数分解して約分し、足し算・引き算は通分してから行います。恒等式は「x にどんな値を入れても成り立つ等式」で、係数を決めるには①両辺の同じ次数の係数を比較する(係数比較法)②都合のよい値を代入する(数値代入法)の2つの方法があります。数値代入法で求めた値は、本来は逆に代入して恒等式になることを確かめるのが正式な手順です。

等式 A=B の証明は「左辺−右辺を計算して 0 を示す」か「両辺を同じ形に変形する」のが基本です。不等式では、a>0, b>0 のとき (a+b)/2 ≧ √(ab)(相加平均≧相乗平均、等号は a=b のとき)が最重要で、「正の数どうしの和の最小値」を求める問題で威力を発揮します。例えば x>0 のとき x+9/x ≧ 2√(x·9/x) = 6 のように、積が定数になる2項の和に使うのが典型パターンです。

二項定理: (a+b)ⁿ = C(n,0)aⁿ + C(n,1)aⁿ⁻¹b + … + C(n,n)bⁿ
例: (x+2)⁵ の x³ の係数
一般項 = C(5,r)·x⁵⁻ʳ·2ʳ で x³ になるのは r=2
C(5,2)·2² = 10×4 = 40
相加相乗平均の使い方: x>0 のとき x + 9/x ≧ 2√(x·9/x) = 2√9 = 6
等号成立: x = 9/x すなわち x=3 のとき
3次式の公式と二項定理(左→右が展開、右→左が因数分解)
公式注意点
(a+b)³a³+3a²b+3ab²+b³係数は 1,3,3,1。中央2項を忘れない
(a−b)³a³−3a²b+3ab²−b³符号が交互に − + − となる
a³+b³(a+b)(a²−ab+b²)後ろのかっこは −ab(符号が逆)
a³−b³(a−b)(a²+ab+b²)後ろのかっこは +ab(符号が逆)
二項定理の一般項C(n,r)·aⁿ⁻ʳ·bʳb 側の累乗の掛け忘れに注意
相加相乗平均(a+b)/2 ≧ √(ab)a>0, b>0 が条件。等号は a=b
3次式の乗法公式
(a+b)³=a³+3a²b+3ab²+b³ など3次の展開公式。係数 1,3,3,1 の並びと、中央2項の落とし忘れに注意する。
二項定理
(a+b)ⁿ = Σ C(n,r)aⁿ⁻ʳbʳ という展開の公式。特定の項の係数だけを一般項 C(n,r)aⁿ⁻ʳbʳ から取り出せる。
分数式
多項式を多項式で割った形の式。約分・通分など、数の分数と同じ規則で計算する。まず分母・分子を因数分解するのが鉄則。
恒等式
含まれる文字にどんな値を代入しても成り立つ等式。係数比較法か数値代入法で未知の係数を決定する。方程式(特定の値でのみ成立)との区別が重要。
相加平均・相乗平均
a>0, b>0 のとき (a+b)/2 ≧ √(ab)。等号成立は a=b のとき。積が一定の2つの正の数の和の最小値を求めるときに使う。
組合せ C(n,r)
n 個から r 個を選ぶ場合の数。二項定理の係数(二項係数)として現れる。C(5,2)=10、C(6,3)=20 など。

例題 (x+2)³ を展開せよ。

(a+b)³=a³+3a²b+3ab²+b³ に a=x, b=2 を代入して x³+3·x²·2+3·x·4+8 = x³+6x²+12x+8。係数 1,3,3,1 の並びを確認する。

例題 a(x+1)+b(x−1) = 3x+5 が x の恒等式となるように a, b を定めよ。

左辺を整理すると (a+b)x+(a−b)。係数比較で a+b=3, a−b=5。2式を足して 2a=8 より a=4、よって b=−1。

例題 x>0 のとき x + 4/x の最小値を求めよ。

x>0, 4/x>0 なので相加相乗平均より x+4/x ≧ 2√(x·4/x) = 2√4 = 4。等号は x=4/x つまり x=2 のとき成立するので、最小値は 4。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領」(平成30年文部科学省告示第68号)第2章第4節 数学 第2款 第2 数学Ⅱ 2 内容(1)いろいろな式

複素数と2次方程式(i の計算・判別式・解と係数の関係)

2乗して −1 になる数 i を導入し、複素数の四則計算、2次方程式の虚数解、判別式、そして頻出の「解と係数の関係」までを固めます。

i² = −1 となる数 i(虚数単位)を導入すると、どんな2次方程式も解をもつようになります。a+bi(a, b は実数)の形の数を複素数といい、b≠0 のものを虚数と呼びます。計算は i を文字のように扱い、i² が出たら −1 に置き換えるだけです。例えば (2+i)(3−2i) = 6−4i+3i−2i² = 6−i+2 = 8−i。i² の処理を忘れる・符号を誤るのが定番ミスです。

a+bi と a−bi を互いに共役な複素数といいます。割り算は分母の共役を分母・分子に掛けて、分母を実数 a²+b² に直します。また、負の数の平方根は √(−a) = √a·i(a>0)と i を使って表しますが、√(−8)·√(−2) のような積は先に i に直してから計算します。√(−8)·√(−2) = 2√2i·√2i = 4i² = −4 であり、√16 = 4 としてはいけません(√a·√b=√(ab) は負の数では使えない)。

2次方程式 ax²+bx+c=0 の解は解の公式で x = (−b±√(b²−4ac))/2a。D = b²−4ac を判別式といい、D>0 なら異なる2つの実数解、D=0 なら重解、D<0 なら異なる2つの虚数解をもちます。D<0 のときの2つの虚数解は互いに共役です。「重解をもつように定数を定めよ」は D=0 を解く、が決まった手順です。

解と係数の関係は定期テスト最頻出です。ax²+bx+c=0 の2解を α, β とすると α+β = −b/a、αβ = c/a。方程式を解かずに α²+β² = (α+β)²−2αβ、α³+β³ = (α+β)³−3αβ(α+β) などの対称式の値が計算できます。逆に、2数 α, β を解にもつ2次方程式は x²−(α+β)x+αβ = 0 です。α+β の符号(−b/a のマイナス)を落とすミスに注意してください。

割り算: (1+i)/(3−i) = (1+i)(3+i)/{(3−i)(3+i)} = (2+4i)/10 = (1+2i)/5
負の平方根: √(−a) = √a·i(a>0)。積は先に i に直す
対称式の変形:
α²+β² = (α+β)² − 2αβ
α³+β³ = (α+β)³ − 3αβ(α+β)
(α−β)² = (α+β)² − 4αβ
判別式と解と係数の関係のまとめ(ax²+bx+c=0)
項目式・条件意味
判別式D = b²−4ac解の種類を判定する
D > 0異なる2つの実数解グラフは x 軸と2点で交わる
D = 0重解 x=−b/2aグラフは x 軸に接する
D < 0異なる2つの虚数解互いに共役な複素数になる
解の和α+β = −b/aマイナスを忘れない
解の積αβ = c/a2数を解にもつ方程式は x²−(和)x+(積)=0
虚数単位 i
i²=−1 となる数。i の累乗は i, −1, −i, 1 の周期4で繰り返す。
複素数
a+bi(a, b は実数)の形の数。a を実部、b を虚部という。b≠0 のとき虚数、a=0 かつ b≠0 のとき純虚数。
共役な複素数
a+bi に対する a−bi。和 2a と積 a²+b² はともに実数になる。割り算では分母の共役を分母・分子に掛ける。
判別式 D
2次方程式 ax²+bx+c=0 の D=b²−4ac。D>0 で異なる2実数解、D=0 で重解、D<0 で異なる2虚数解。
解と係数の関係
ax²+bx+c=0 の2解 α, β について α+β=−b/a、αβ=c/a。解を求めずに対称式の値を計算する道具。
対称式
α と β を入れ替えても変わらない式。すべて基本対称式 α+β と αβ で表せる。例: α²+β²=(α+β)²−2αβ。

例題 2次方程式 x²+2x+5=0 を解け。

解の公式で x = (−2±√(4−20))/2 = (−2±√(−16))/2 = (−2±4i)/2 = −1±2i。D<0 なので共役な虚数解のペアになる。

例題 x²−5x+3=0 の2解を α, β とするとき α²+β² を求めよ。

解と係数の関係で α+β=5, αβ=3。α²+β²=(α+β)²−2αβ = 25−6 = 19。方程式を解かずに求められるのがポイント。

例題 2数 2, −3 を解にもつ2次方程式を1つ作れ。

和 = −1、積 = −6 なので x²−(−1)x+(−6) = 0、すなわち x²+x−6=0。x²−(和)x+(積)=0 の符号に注意。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領」(平成30年文部科学省告示第68号)第2章第4節 数学 第2款 第2 数学Ⅱ 2 内容(1)いろいろな式

高次方程式(剰余の定理・因数定理・組立除法)

多項式の割り算の余りを一瞬で求める剰余の定理、因数を見つける因数定理、計算を速くする組立除法を使って、3次以上の方程式を解きます。

多項式 P(x) を1次式 x−k で割った余りは P(k) に等しい。これが剰余の定理です。割り算を実行しなくても、代入1回で余りが出ます。理由は、P(x) = (x−k)Q(x) + R(R は定数)と書いて x=k を代入すると (x−k) の部分が 0 になり P(k)=R となるからです。「x+1 で割る」ときは x−(−1) とみて P(−1) を計算します。符号の読み違いが最頻出ミスです。

余りが 0 になる場合が因数定理です。P(k)=0 ⇔ x−k は P(x) の因数。3次式の因数分解では、P(k)=0 となる k を「±(定数項の約数)/(最高次係数の約数)」の中から探します。例えば P(x)=x³−7x+6 なら P(1)=0 なので x−1 が因数だと分かります。

因数が見つかったら割り算で商を求めますが、1次式で割るときは組立除法が速くて確実です。係数だけを並べ、k を掛けて足す操作を繰り返すと、最後の数が余り、その前までが商の係数になります。抜けている次数の係数 0 を書き忘れないことが注意点です。

3次方程式は「因数定理で1次因数を見つける → 組立除法で2次式に落とす → 2次方程式を解く」の3段階で解きます。x³=8 のような形も x³−8=0 として a³−b³ の公式で (x−2)(x²+2x+4)=0 と分解すれば、実数解 2 と虚数解 −1±√3i がすべて求められます。また、実数係数の方程式が虚数解 p+qi をもてば、共役 p−qi も必ず解になります。この性質は「1つの虚数解から係数を決める」応用問題で使います。

剰余の定理: P(x) を x−k で割った余り = P(k)
組立除法(x³−4x²+x+6 ÷ (x−2)):
係数 1  −4   1   6 を並べ、2 を掛けて足していく
1 → 1×2=2 を −4 に足して −2 → −2×2=−4 を 1 に足して −3 → −3×2=−6 を 6 に足して 0
商 x²−2x−3、余り 0
P(x) を (x−p)(x−q) で割った余りは1次以下: mx+n とおいて P(p), P(q) で連立
3次方程式を解く手順(例: x³−7x+6=0)
手順やることこの例では
① 因数を探すP(k)=0 となる k を定数項の約数から探すP(1)=1−7+6=0 → x−1 が因数
② 割り算組立除法で P(x)÷(x−k) の商を求める商は x²+x−6
③ 分解P(x)=(x−k)×(2次式) と書く(x−1)(x²+x−6)=0
④ 2次を解く因数分解または解の公式(x−1)(x+3)(x−2)=0
⑤ 解をそろえる1次因数の解をすべて並べるx = 1, 2, −3
剰余の定理
多項式 P(x) を x−k で割った余りは P(k)。x+a で割るなら P(−a)。割り算せずに余りが求められる。
因数定理
P(k)=0 ⇔ x−k は P(x) の因数。高次式の因数分解の出発点。k の候補は ±(定数項の約数)/(最高次係数の約数)。
組立除法
多項式を x−k で割る割り算を、係数だけで行う速算法。最後に出る数が余り、その前までが商の係数。
高次方程式
3次以上の方程式。因数定理で1次因数を見つけ、次数を下げて解くのが基本手順。
1の3乗根 ω
x³=1 の虚数解の1つ。ω³=1、ω²+ω+1=0 を満たす。この2つの関係式で ω の式の値を計算する。
共役解の性質
実数係数の方程式が虚数解 p+qi をもつなら、共役な p−qi も解。虚数解は必ずペアで現れる。

例題 P(x)=x³−2x²+3x−1 を x−2 で割った余りを求めよ。

剰余の定理より余りは P(2) = 8−8+6−1 = 5。実際に割り算する必要はない。

例題 3次方程式 x³−7x+6=0 を解け。

P(1)=0 より x−1 が因数。組立除法で商 x²+x−6 = (x+3)(x−2)。よって (x−1)(x+3)(x−2)=0 から x=1, 2, −3。

例題 x³=8 を複素数の範囲で解け。

x³−8=(x−2)(x²+2x+4)=0。x²+2x+4=0 は解の公式で x=−1±√3i。よって x=2, −1±√3i の3つ。実数解だけで止めないこと。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領」(平成30年文部科学省告示第68号)第2章第4節 数学 第2款 第2 数学Ⅱ 2 内容(1)いろいろな式

図形と方程式

点と直線(内分・外分、距離、直線の方程式、平行と垂直)

座標平面上の点と直線を式で扱う基礎。内分点・外分点、2点間の距離、直線の方程式、平行・垂直条件、点と直線の距離公式まで一気に整理します。

2点 A(x₁, y₁), B(x₂, y₂) を結ぶ線分 AB を m:n に内分する点は ((nx₁+mx₂)/(m+n), (ny₁+my₂)/(m+n))。分子で「相手側の比を掛ける」(x₁ には n、x₂ には m)ことに注意してください。外分点は n を −n に置き換えて ((−nx₁+mx₂)/(m−n), (−ny₁+my₂)/(m−n)) です。内分と外分の取り違え、比の順序の逆転が定期テストの2大ミスです。中点は 1:1 の内分で ((x₁+x₂)/2, (y₁+y₂)/2)、三角形 ABC の重心は3頂点の座標の平均 ((x₁+x₂+x₃)/3, (y₁+y₂+y₃)/3) になります。

2点間の距離は三平方の定理そのもので AB = √((x₂−x₁)²+(y₂−y₁)²)。x の差と y の差をそれぞれ2乗してから足すこと(差を足してから2乗しない)が要注意点です。

直線の方程式は、傾き m で点 (x₁, y₁) を通るなら y−y₁ = m(x−x₁)。2点を通るなら、まず傾き = (y₂−y₁)/(x₂−x₁) を求めてこの形に持ち込みます。一般形 ax+by+c=0 は傾きが定義できない縦の直線 x=k も表せる万能な形です。2直線の関係は、平行 ⇔ 傾きが等しい、垂直 ⇔ 傾きの積が −1。一般形どうしなら a₁b₂−a₂b₁=0 で平行、a₁a₂+b₁b₂=0 で垂直と覚えます。

点 (x₁, y₁) と直線 ax+by+c=0 の距離は d = |ax₁+by₁+c| / √(a²+b²)。分子は「点の座標を左辺に代入して絶対値」、分母は「係数の2乗和のルート」です。√(a²+b²) で割り忘れるミスが非常に多いので、公式を一つの分数として覚えてください。この公式は次のレッスンで円と直線の位置関係を調べる主役になります。

内分点: A(1,2), B(7,5) を 2:1 に内分
x = (1·1+2·7)/(2+1) = 15/3 = 5
y = (1·2+2·5)/(2+1) = 12/3 = 4 → (5, 4)
点と直線の距離: 点(1,2) と 3x+4y−1=0
d = |3·1+4·2−1| / √(3²+4²) = |10| / 5 = 2
点と直線の公式一覧(A(x₁,y₁), B(x₂,y₂))
項目公式注意点
内分点(m:n)((nx₁+mx₂)/(m+n), (ny₁+my₂)/(m+n))相手側の比を掛ける
外分点(m:n)((−nx₁+mx₂)/(m−n), (−ny₁+my₂)/(m−n))n を −n に置き換える
2点間の距離√((x₂−x₁)²+(y₂−y₁)²)差を2乗してから足す
直線(傾きm, 点(x₁,y₁))y−y₁ = m(x−x₁)y₁ を引くのは左辺
平行・垂直平行: 傾き等しい/垂直: 傾きの積 −1垂直は m₁m₂=−1
点と直線の距離|ax₁+by₁+c| / √(a²+b²)√(a²+b²) で割り忘れない
内分点
線分 AB を m:n に内分する点。座標は ((nx₁+mx₂)/(m+n), (ny₁+my₂)/(m+n))。x₁ に n、x₂ に m と相手側の比を掛ける。
外分点
線分 AB を m:n に外分する点。内分の公式の n を −n にした ((−nx₁+mx₂)/(m−n), (−ny₁+my₂)/(m−n))。線分の外側にある。
重心
三角形の3つの中線の交点。座標は3頂点の座標の平均で、((x₁+x₂+x₃)/3, (y₁+y₂+y₃)/3)。
傾き
直線の傾き具合を表す数。2点を通るなら (y の増加量)/(x の増加量)。平行 ⇔ 傾きが等しい、垂直 ⇔ 傾きの積が −1。
点と直線の距離
点 (x₁,y₁) から直線 ax+by+c=0 に下ろした垂線の長さ。d = |ax₁+by₁+c|/√(a²+b²)。
一般形
直線の方程式の ax+by+c=0 という形。y=mx+n で表せない縦の直線 x=k も表現できる。

例題 2点 A(−1,3), B(2,−1) の間の距離を求めよ。

AB = √((2−(−1))²+(−1−3)²) = √(3²+(−4)²) = √25 = 5。x の差、y の差をそれぞれ2乗してから足す。

例題 点 (3,−1) を通り、直線 2x+3y+1=0 に平行な直線を求めよ。

平行な直線は 2x+3y+c=0 とおける。(3,−1) を代入して 6−3+c=0 より c=−3。よって 2x+3y−3=0。係数 a, b を変えないのがコツ。

例題 A(2,3), B(−1,4), C(5,−1) を頂点とする三角形の重心を求めよ。

重心は座標の平均で ((2−1+5)/3, (3+4−1)/3) = (2, 2)。3 で割ることを忘れない。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領」(平成30年文部科学省告示第68号)第2章第4節 数学 第2款 第2 数学Ⅱ 2 内容(2)図形と方程式

円の方程式と円と直線の位置関係・接線

円を式で表し、一般形から中心と半径を読み取り、円と直線の位置関係を「中心からの距離 d と半径 r の比較」で判定します。接線の公式も頻出です。

中心 (a, b)、半径 r の円の方程式は (x−a)²+(y−b)² = r²。中心が (2, −3) なら (x−2)²+(y+3)² となり、かっこの中の符号は中心の座標と逆になることに注意します。右辺は r そのものではなく r² です。展開した x²+y²+lx+my+n=0 の形(一般形)で与えられたら、x と y それぞれで平方完成して標準形に戻すと中心と半径が読めます。

円と直線の位置関係は、円の中心から直線までの距離 d と半径 r の大小で決まります。d<r なら異なる2点で交わる、d=r なら接する、d>r なら共有点なし。前レッスンの点と直線の距離公式がここで活躍します。連立して判別式 D の符号で調べる方法もあり、D>0・D=0・D<0 が同じ3つの場合に対応します。比較するのは d と r(どちらも1乗)である点に注意してください。

円 x²+y² = r² 上の点 (x₁, y₁) における接線は x₁x+y₁y = r²。x² の一方を x₁ に、y² の一方を y₁ に置き換えた形で、そのまま使える便利な公式です。円外の点から引いた接線は、接線を y=m(x−p)+q とおいて「中心から接線までの距離 = 半径」の式から傾き m を求めるのが標準手順です。

弦の長さは、中心から直線までの距離 d と半径 r から、三平方の定理で 弦の長さ = 2√(r²−d²) と求まります。また「直線に接するように半径を定めよ」という問題は、半径 = 中心から直線までの距離、と読み替えるだけです。d と r の関係に持ち込む、が円の問題の合言葉です。

一般形 → 標準形: x²+y²−4x+6y−3=0
(x²−4x+4) + (y²+6y+9) = 3+4+9
(x−2)² + (y+3)² = 16 → 中心 (2,−3)、半径 4
位置関係: 円 x²+y²=5 と直線 2x−y+5=0
d = |2·0−0+5| / √(2²+(−1)²) = 5/√5 = √5 = r → 接する
円と直線の位置関係(d = 中心から直線までの距離、r = 半径)
d と r の関係共有点の個数判別式でいうと
d < r2個(異なる2点で交わる)D > 0
d = r1個(接する)D = 0
d > r0個(共有点なし)D < 0
弦の長さ2√(r²−d²)三平方の定理から
円の方程式(標準形)
中心 (a,b)、半径 r の円は (x−a)²+(y−b)²=r²。かっこ内の符号は中心座標と逆、右辺は半径の2乗。
一般形
x²+y²+lx+my+n=0 の形。平方完成して標準形に直すと中心と半径が分かる。
位置関係の判定
中心から直線までの距離 d と半径 r を比べる。d<r で2点で交わる、d=r で接する、d>r で共有点なし。
接線
円とただ1点を共有する直線。x²+y²=r² 上の点 (x₁,y₁) における接線は x₁x+y₁y=r²。
円と直線が2点で交わるときの、2交点を結ぶ線分。長さは 2√(r²−d²)。
平方完成
x²+lx を (x+l/2)²−(l/2)² と変形する操作。一般形の円から中心・半径を読み取るのに使う。

例題 円 x²+y²=25 上の点 (3,4) における接線を求めよ。

公式 x₁x+y₁y=r² より 3x+4y=25。点 (3,4) が円上にあること(9+16=25)を確認してから使う。

例題 円 x²+y²=4 と直線 x+y=3 の共有点の個数を求めよ。

中心 (0,0) から直線 x+y−3=0 までの距離は d = |−3|/√2 = 3/√2 = (3√2)/2 ≈ 2.12。半径 r=2 より d>r なので共有点なし(0個)。

例題 円 x²+y²=25 が直線 x=3 から切り取る弦の長さを求めよ。

中心から直線 x=3 までの距離は d=3。弦の長さ = 2√(r²−d²) = 2√(25−9) = 2×4 = 8。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領」(平成30年文部科学省告示第68号)第2章第4節 数学 第2款 第2 数学Ⅱ 2 内容(2)図形と方程式

軌跡と領域(軌跡の求め方・不等式の表す領域・最大最小)

条件を満たす点の集まり=軌跡を式で求める手順と、不等式が表す領域の図示、領域の中で式の最大・最小を求める考え方を学びます。

軌跡とは、与えられた条件を満たす点全体が作る図形です。求め方は決まっていて、①求める点を P(x, y) とおく ②条件を x, y の式で表す ③式を整理して図形を読み取る ④(正式には)逆にその図形上の点が条件を満たすことを確かめる、の4段階です。2点から等距離の点の軌跡は垂直二等分線、2点 A, B からの距離の比が m:n(m≠n)の点の軌跡は円(アポロニウスの円)になります。距離の条件は2乗して扱うのがコツです。

動く点に連動する点の軌跡では、連動する点を (x, y)、もとの動点を (s, t) とおき、s, t を x, y で表してから、もとの点が満たす式(円の方程式など)に代入します。「つなぎの文字を消去して x, y だけの式にする」のが軌跡の本質です。

不等式の表す領域は、まず境界線(直線や円)をかき、どちら側かを判断します。y > f(x) なら曲線の上側、y < f(x) なら下側。円 x²+y²<r² は内部、> は外部です。不等号に等号が付けば境界を含み、付かなければ含みません。判断に迷ったら、領域内かどうか調べたい点(原点が便利)を代入して真偽を確かめるのが確実です。連立不等式なら、それぞれの領域の共通部分をとります。

領域における最大・最小は、求めたい式を k とおいて図形的に考えます。例えば x+y=k は傾き −1 の直線で、k はその y 切片。直線を平行移動して領域と共有点をもつ範囲で k の最大・最小を探すと、直線の場合は領域の頂点(境界の交点)で、円の場合は接するときに最大・最小になります。「k とおいて図形として動かす」がこの分野の決め手です。

軌跡の手順
① 求める点を P(x, y) とおく
② 条件を x, y の式で表す(距離は2乗して扱う)
③ 式を整理して図形を読む
④ 逆の確認(その図形上の点が条件を満たすか)
例: A(0,0), B(3,0) に AP:BP=2:1 → x²+y²=4{(x−3)²+y²} → (x−4)²+y²=4
軌跡と領域の要点まとめ
問題のタイプ手順・結果注意点
2点から等距離垂直二等分線になるAP²=BP² と2乗で処理
距離の比 m:n (m≠n)円(アポロニウスの円)AP²:BP²=m²:n² で整理
連動する点の軌跡動点の座標を消去するもとの点の式に代入
y > f(x) の領域曲線 y=f(x) の上側等号なしは境界含まず
x²+y² < r² の領域円の内部≦ なら周も含む
領域での最大最小式 = k とおき直線・円を動かす頂点・接点が候補
軌跡
与えられた条件を満たす点全体が作る図形。点を (x,y) とおいて条件を式にし、整理して図形を読み取る。
垂直二等分線
2点から等距離にある点の軌跡。線分の中点を通り、線分に垂直な直線。
アポロニウスの円
2点 A, B からの距離の比が m:n(m≠n)である点の軌跡。AP²:BP²=m²:n² と2乗して整理すると円の方程式になる。
領域
不等式を満たす点全体の集合。境界線をかき、上下・内外のどちら側かを代入で確かめて図示する。
境界
領域のふちとなる直線や円。不等号が ≦, ≧ なら境界を含み、<, > なら含まない。
線形計画法の考え方
領域内で ax+by の最大最小を求める手法。ax+by=k とおいた直線を平行移動し、領域と交わる範囲の端(多くは頂点)で最大・最小をとる。

例題 2点 A(−2,0), B(4,0) から等距離にある点の軌跡を求めよ。

P(x,y) とおくと AP²=BP² より (x+2)²+y²=(x−4)²+y²。整理すると 4x+4=−8x+16 より 12x=12、x=1。線分 AB の垂直二等分線 x=1 になる。

例題 点 (0,0) は領域 y ≦ 3x−4 に含まれるか。

x=0, y=0 を代入すると 0 ≦ −4 となり不成立。よって含まれない。境界のどちら側か迷ったら点を代入して確かめる。

例題 x≧0, y≧0, x+y≦4 の領域の面積を求めよ。

3つの不等式の共通部分は (0,0), (4,0), (0,4) を頂点とする直角三角形。面積は 4×4÷2 = 8。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領」(平成30年文部科学省告示第68号)第2章第4節 数学 第2款 第2 数学Ⅱ 2 内容(2)図形と方程式

三角関数

一般角と弧度法・三角関数の定義とグラフ

角を回転の量としてとらえ直し、度に代わる弧度法(ラジアン)を導入します。扇形の弧長・面積、単位円による三角関数の定義、グラフと周期までを固めます。

角を「回転の量」と考えると、360° を超える角や負の角(時計回り)も扱えます。これが一般角です。さらに数学Ⅱでは角の単位を度からラジアン(弧度法)に切り替えます。半径 1 の円で弧の長さが 1 になる中心角が 1 ラジアンで、180° = π ラジアンが変換の基本です。60° = π/3、90° = π/2、30° = π/6、45° = π/4 は即答できるようにしてください。度→ラジアンは ×(π/180)、ラジアン→度は ×(180/π) です。

弧度法の利点は公式が簡単になることです。半径 r、中心角 θ(ラジアン)の扇形で、弧の長さは l = rθ、面積は S = (1/2)r²θ = (1/2)rl。度のときの「×(中心角/360°)」という比の計算が消えます。面積の 1/2 を忘れる、弧長と面積の公式を混同する、が定番ミスです。

三角関数は単位円で定義し直します。原点中心・半径 1 の円周上で、角 θ の動径と円の交点を P とすると、P の x 座標が cosθ、y 座標が sinθ、そして tanθ = sinθ/cosθ(動径の傾き)です。この定義なら θ がどんな一般角でも値が決まります。各象限での符号(第2象限は sin だけ正、第3象限は tan だけ正、第4象限は cos だけ正)と、sin²θ+cos²θ=1 などの相互関係は数学Ⅰから引き続き使います。

y = sinθ のグラフは波の形(正弦曲線)で、2π ごとに同じ形を繰り返します。この 2π を周期といいます。y = cosθ も周期 2π、y = tanθ は周期 π です。y = sin kθ の周期は 2π/k となる(k 倍速く回るので波が縮む)こと、y = A sinθ の A は振幅(波の高さ)でグラフを縦に A 倍することをおさえてください。y = sin(θ−p) は θ 軸方向に p だけ平行移動したグラフです。

変換: 度 × (π/180) = ラジアン、ラジアン × (180/π) = 度
例: 60° = 60×(π/180) = π/3、5π/6 = (5π/6)×(180/π) = 150°
扇形(半径 r、中心角 θ ラジアン)
弧長 l = rθ
面積 S = (1/2)r²θ = (1/2)rl
周期: y=sin kθ の周期は 2π/k(例: sin 2θ は π)
度とラジアンの対応表(180°=π が基本)
ラジアンsincos
30°π/61/2√3/2
45°π/4√2/2√2/2
60°π/3√3/21/2
90°π/210
120°2π/3√3/2−1/2
150°5π/61/2−√3/2
180°π0−1
一般角
回転の向きと量で表した角。反時計回りが正、時計回りが負。360°(2π)を超える角も表せる。
弧度法(ラジアン)
半径1の円の弧の長さで角を測る方法。180°=π ラジアン。度→ラジアンは ×(π/180)。
扇形の弧長と面積
半径 r、中心角 θ(ラジアン)のとき、弧長 l=rθ、面積 S=(1/2)r²θ=(1/2)rl。
単位円
原点中心・半径1の円。角 θ の動径との交点の x 座標が cosθ、y 座標が sinθ。三角関数の定義の土台。
周期
グラフが同じ形を繰り返す最小の間隔。sinθ, cosθ は 2π、tanθ は π。sin kθ の周期は 2π/k。
振幅
y=A sinθ の A。波の高さを表し、グラフは −A から A の間を往復する。

例題 半径 6、中心角 π/3 の扇形の弧の長さと面積を求めよ。

弧長 l = rθ = 6×π/3 = 2π。面積 S = (1/2)r²θ = (1/2)×36×π/3 = 6π。面積の 1/2 を忘れないこと。

例題 sin(7π/6) の値を求めよ。

7π/6 = π+π/6 なので動径は第3象限。sin は負で、大きさは sin(π/6)=1/2。よって sin(7π/6) = −1/2。単位円で y 座標を読む。

例題 y = cos(θ/2) の周期を求めよ。

y=cos kθ の周期は 2π/k。k=1/2 なので周期は 2π÷(1/2) = 4π。ゆっくり回る分、波は横に伸びる。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領」(平成30年文部科学省告示第68号)第2章第4節 数学 第2款 第2 数学Ⅱ 2 内容(4)三角関数

加法定理と2倍角・半角・三角関数の合成

三角関数の最重要公式・加法定理から出発し、2倍角・半角の公式、そして a sinθ+b cosθ を1つの sin にまとめる合成までを使いこなします。

加法定理は sin(α±β) = sinαcosβ ± cosαsinβ、cos(α±β) = cosαcosβ ∓ sinαsinβ。sin は「シンコス・コスシン」で同符号、cos は「コスコス・シンシン」で逆符号(∓)になるのが覚えどころです。tan(α+β) = (tanα+tanβ)/(1−tanαtanβ) も分母の符号(1 −)に注意。75° = 45°+30° のように、30°, 45°, 60° の組合せで表せる角の値が計算できるようになります。

加法定理で β=α とおくと2倍角の公式が出ます。sin2α = 2sinαcosα、cos2α = cos²α−sin²α = 1−2sin²α = 2cos²α−1。cos2α の3つの形は sin²α+cos²α=1 で相互に書き換えたもので、問題に応じて使い分けます(sin だけで表したいなら 1−2sin²α)。sin2α の係数 2 を忘れるのが定番ミスです。

cos2α = 1−2sin²α を逆に解くと半角の公式 sin²(α/2) = (1−cosα)/2、cos²(α/2) = (1+cosα)/2 が得られます。22.5° や π/8 のような半端な角の値はこれで求めます。sin² の方が (1−cosα)、cos² の方が (1+cosα) という符号の対応に注意してください。

a sinθ + b cosθ は、1つの正弦にまとめられます: a sinθ + b cosθ = √(a²+b²) sin(θ+α)。ここで α は cosα = a/√(a²+b²), sinα = b/√(a²+b²) を満たす角で、点 (a, b) の偏角です。例えば sinθ+√3cosθ = 2sin(θ+π/3)。合成すると最大値 √(a²+b²)、最小値 −√(a²+b²) が即座に読め、次のレッスンの方程式・最大最小問題の決定打になります。√(a²+b²) を a²+b² のままにする、点 (a,b) の取り方を (b,a) と逆にする、がありがちなミスです。

sin75° = sin(45°+30°) = sin45°cos30° + cos45°sin30°
= (√2/2)(√3/2) + (√2/2)(1/2) = (√6+√2)/4
合成: sinθ + √3cosθ
√(1²+(√3)²) = 2、点 (1,√3) の偏角は π/3
= 2sin(θ+π/3) → 最大値 2、最小値 −2
加法定理から派生する公式のまとめ
公式導き方・注意
sin の加法定理sin(α±β)=sinαcosβ±cosαsinβシンコス・コスシン、同符号
cos の加法定理cos(α±β)=cosαcosβ∓sinαsinβコスコス・シンシン、逆符号
tan の加法定理tan(α+β)=(tanα+tanβ)/(1−tanαtanβ)分母 1−積 に注意
2倍角(sin)sin2α=2sinαcosα係数 2 を忘れない
2倍角(cos)cos2α=1−2sin²α=2cos²α−13つの形を使い分ける
半角sin²(α/2)=(1−cosα)/2sin² が 1−cos の側
合成a sinθ+b cosθ=√(a²+b²)sin(θ+α)α は点 (a,b) の偏角
加法定理
sin(α+β)=sinαcosβ+cosαsinβ、cos(α+β)=cosαcosβ−sinαsinβ など。三角関数の公式群の出発点。
2倍角の公式
sin2α=2sinαcosα、cos2α=cos²α−sin²α=1−2sin²α=2cos²α−1。加法定理で β=α とおくと導ける。
半角の公式
sin²(α/2)=(1−cosα)/2、cos²(α/2)=(1+cosα)/2。cos2α の式を逆に解いて導く。π/8 などの値を求めるのに使う。
三角関数の合成
a sinθ+b cosθ=√(a²+b²) sin(θ+α)。α は点 (a,b) の偏角。最大値・最小値が √(a²+b²) 単位で読める。
偏角
点 (a,b) と原点を結ぶ動径が x 軸の正の向きとなす角。合成の α はこの角。(1,√3) なら π/3。
tan の加法定理
tan(α+β)=(tanα+tanβ)/(1−tanαtanβ)。分母は 1 から積を引く形。

例題 加法定理を用いて sin75° の値を求めよ。

75°=45°+30° と分けて sin75° = sin45°cos30°+cos45°sin30° = (√6+√2)/4。(√6−√2)/4 は sin15°(引き算のとき)になる。

例題 sinα = 3/5, cosα = 4/5 のとき sin2α を求めよ。

2倍角の公式で sin2α = 2sinαcosα = 2×(3/5)×(4/5) = 24/25。係数 2 を忘れて 12/25 としないこと。

例題 sinθ − cosθ を合成せよ。

a=1, b=−1 なので √(1+1)=√2、点 (1,−1) の偏角は −π/4。よって sinθ−cosθ = √2 sin(θ−π/4)。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領」(平成30年文部科学省告示第68号)第2章第4節 数学 第2款 第2 数学Ⅱ 2 内容(4)三角関数

三角関数の方程式・不等式と最大・最小

単位円を使って sinθ=a 型の方程式・不等式を解き、2次式型や合成を使う応用、置き換えによる最大・最小問題まで、三角関数の総仕上げをします。

sinθ = a の方程式は、単位円上で y 座標が a になる点を探します。0≦θ<2π では解は原則2個で、例えば sinθ=1/2 なら θ=π/6, 5π/6(y=1/2 の水平線と単位円の2交点)。cosθ = a なら x 座標が a になる点(縦線との交点)、tanθ = a なら傾き a の直線との交点で、tan の解は π ずつ離れた2個になります。「もう1つの解」を対称性(sin なら π−θ、cos なら −θ すなわち 2π−θ)で出せるようにしてください。

不等式は方程式の解を境目にして、単位円のどの範囲が条件を満たすかを読みます。sinθ > 1/2 なら y 座標が 1/2 より大きい弧の部分で π/6 < θ < 5π/6。cosθ ≦ 1/2 なら x 座標が 1/2 以下の部分で π/3 ≦ θ ≦ 5π/3。等号の有無(境目を含むか)まで確認して答えます。

2sin²θ−sinθ−1=0 のような式は、sinθ = t とおくと 2t²−t−1=0 という2次方程式になります。t の範囲が −1≦t≦1 に制限されることを忘れずに、t の解それぞれについて θ を求めます。cos2θ が混ざった式は、2倍角の公式 cos2θ=1−2sin²θ で sin だけの式に統一してから置き換えるのが定石です。

最大・最小も置き換えが主役です。y = sin²θ+sinθ のような式は t=sinθ(−1≦t≦1)とおいて 2次関数の最大・最小に帰着させ、頂点が範囲内かを確認します。a sinθ+b cosθ の形は合成して √(a²+b²) sin(θ+α) とすれば、最大 √(a²+b²)・最小 −√(a²+b²)。ただし θ に範囲があるときは θ+α の動く範囲を先に求め、その範囲での sin の値域を単位円で読み取ります。範囲の端も最大・最小の候補になることに注意してください。

2次式型: 2sin²θ − sinθ − 1 = 0
sinθ = t とおく(−1 ≦ t ≦ 1)
2t² − t − 1 = (2t+1)(t−1) = 0 → t = 1, −1/2
sinθ = 1 → θ = π/2
sinθ = −1/2 → θ = 7π/6, 11π/6
解: θ = π/2, 7π/6, 11π/6
0≦θ<2π での基本方程式の解(単位円で確認)
方程式見方
sinθ = 1/2θ = π/6, 5π/6y=1/2 の水平線との2交点
sinθ = 1θ = π/2 のみ頂点でだけ接するので1個
cosθ = −1/2θ = 2π/3, 4π/3x=−1/2 の縦線との2交点
tanθ = 1θ = π/4, 5π/4傾き1の直線、π ずつ離れる
sinθ > 1/2π/6 < θ < 5π/6y 座標が 1/2 より上の弧
cosθ ≦ 1/2π/3 ≦ θ ≦ 5π/3x 座標が 1/2 以下の弧
三角方程式
sinθ=a などの方程式。単位円上で y 座標(cos なら x 座標)が a になる点の角を読み取って解く。
三角不等式
sinθ>a などの不等式。方程式の解を境目に、単位円上で条件を満たす弧の範囲を答える。
置き換え
sinθ=t とおいて 2次方程式・2次関数に帰着させる手法。t の範囲 −1≦t≦1 を必ず付ける。
解の対称性
sinθ=a の解が θ₁ なら π−θ₁ も解。cosθ=a の解が θ₁ なら 2π−θ₁ も解。もう1つの解を素早く出す道具。
合成による最大最小
a sinθ+b cosθ を √(a²+b²)sin(θ+α) に直すと、値域が [−√(a²+b²), √(a²+b²)] と読める。
角の範囲の追跡
θ に範囲があるとき、置き換えた角 θ+α の動く範囲を先に求めること。範囲の端が最大・最小を与えることもある。

例題 0≦θ<2π のとき、方程式 cosθ = −1/2 を解け。

単位円で x 座標が −1/2 になるのは第2・第3象限。基準の π/3 から θ = π−π/3 = 2π/3 と π+π/3 = 4π/3。

例題 0≦θ<2π のとき、不等式 sinθ > 1/2 を解け。

sinθ=1/2 の解 π/6, 5π/6 が境目。y 座標が 1/2 を超えるのはその間の上側の弧なので π/6 < θ < 5π/6。

例題 y = sinθ + √3cosθ(0≦θ≦π/2)の最大値と最小値を求めよ。

合成して y = 2sin(θ+π/3)。θ+π/3 は π/3 から 5π/6 まで動くので、sin の値は最大 1(θ+π/3=π/2)、最小 1/2(θ+π/3=5π/6)。よって最大値 2、最小値 1。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領」(平成30年文部科学省告示第68号)第2章第4節 数学 第2款 第2 数学Ⅱ 2 内容(4)三角関数

指数関数・対数関数

指数の拡張と指数関数

0乗・負の指数・分数の指数まで指数の世界を広げ、指数法則で計算を統一し、指数関数のグラフと大小比較まで定期テストの基本を固めます。

中学までの指数は「2³=2を3回掛ける」でしたが、数学Ⅱでは指数を0・負の数・分数にまで広げます。広げ方の原則はただ1つ、「指数法則 aᵐ×aⁿ=aᵐ⁺ⁿ がそのまま成り立つように決める」です。例えば a³×a⁰=a³ が成り立つには a⁰=1 しかなく、a³×a⁻³=a⁰=1 が成り立つには a⁻³=1/a³ しかありません。「0乗は1、マイナス乗は逆数」は暗記ではなく、法則を守った必然の定義です。

分数の指数は累乗根と結びつきます。(a^(1/3))³ = a^(3/3) = a となるはずなので、a^(1/3) は3乗して a になる数、つまり3乗根√a です。一般に a^(m/n) = n乗根√(aᵐ) で、例えば 8^(2/3) は「8の3乗根が2、その2乗で4」と読みます。指数計算のコツは、16=2⁴、8=2³ のように底をそろえて指数だけの足し算・引き算・掛け算に持ち込むことです。

指数関数 y=aˣ(a>0, a≠1)のグラフは必ず点(0, 1)を通り、x軸より上(y>0)にあります。底 a>1 なら右上がりの増加、0<a<1 なら右下がりの減少で、x軸は漸近線です。この「底が1より大きいか小さいか」は、後で不等式の不等号の向きを決める最重要ポイントになります。

大小比較は「底をそろえて指数を比べる」が鉄則です。√2=2^(1/2)、3乗根√4=2^(2/3)、4乗根√8=2^(3/4) のように全部を2の累乗で表せば、底2>1 だから指数 1/2 < 2/3 < 3/4 の順がそのまま値の大小になります。底が 0<a<1 のときは指数の大小と値の大小が逆になることに注意してください。

底をそろえる計算の型(16^(3/4) の場合)
16 = 2⁴ と底2で表す
16^(3/4) = (2⁴)^(3/4) = 2^(4×3/4) = 2³
よって 16^(3/4) = 8
大小比較も同じ: すべて aˣ の形にして指数を比べる(a>1 なら指数が大きいほど大きい)
指数の拡張と指数法則のまとめ(a>0, b>0、m・n は有理数)
定義・法則
0乗a⁰ = 15⁰ = 1
負の指数a⁻ⁿ = 1/aⁿ2⁻³ = 1/8
分数の指数a^(m/n) = n乗根√(aᵐ)8^(2/3) = 4
aᵐ × aⁿ = aᵐ⁺ⁿ2³×2² = 2⁵
aᵐ ÷ aⁿ = aᵐ⁻ⁿ2⁵÷2³ = 2²
累乗の累乗(aᵐ)ⁿ = aᵐⁿ(2³)² = 2⁶
0乗・負の指数
a≠0 のとき a⁰=1、a⁻ⁿ=1/aⁿ。指数法則 aᵐ×aⁿ=aᵐ⁺ⁿ が指数0や負の数でも成り立つように定めた定義。
有理数の指数
a>0 のとき a^(m/n)=n乗根√(aᵐ)。分母が累乗根の指数、分子が累乗を表す。例: 8^(2/3)=(3乗根√8)²=4。
指数法則
aᵐ×aⁿ=aᵐ⁺ⁿ、aᵐ÷aⁿ=aᵐ⁻ⁿ、(aᵐ)ⁿ=aᵐⁿ、(ab)ⁿ=aⁿbⁿ。指数を拡張してもすべて成り立つ。
指数関数
y=aˣ(a>0, a≠1)の形の関数。必ず点(0, 1)を通り、つねに y>0。a>1 で増加、0<a<1 で減少。
漸近線
グラフが限りなく近づくが交わらない直線。指数関数 y=aˣ では x軸(直線 y=0)が漸近線になる。
累乗根
n乗すると a になる数を a の n乗根といい、正の実数の範囲では n乗根√a と書く。a^(1/n) と同じもの。

例題 16^(3/4) の値を求めよ。

16=2⁴ より 16^(3/4)=(2⁴)^(3/4)=2³=8。底をそろえてから指数の掛け算 4×3/4=3 をするのがポイント。

例題 (1/4)^(−3/2) の値を求めよ。

負の指数は逆数にして (1/4)^(−3/2)=4^(3/2)=(2²)^(3/2)=2³=8。「マイナス乗=逆数」「分数乗=累乗根」を順に処理する。

例題 3つの数 2^0.5、2^0.3、2^0.8 を大きい順に並べよ。

底2>1 なので指数が大きいほど値も大きい。よって 2^0.8 > 2^0.5 > 2^0.3。底が1より小さいときは逆順になることに注意。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領」(平成30年文部科学省告示第68号)第2章第4節 数学 第2款 第2 数学Ⅱ 2 内容(3)指数関数・対数関数

対数の定義と性質(積・商・累乗、底の変換)

「2を何乗したら8になるか」に答える数が対数です。定義と3つの性質、底の変換公式で、定期テスト頻出のlog計算を確実に処理します。

log_2 8(「ログ2の8」と読みます)は「2を何乗したら8になるか」という問いの答えで、2³=8 だから log_2 8=3 です。一般に a>0, a≠1, M>0 のとき、aᵖ=M ⇔ p=log_a M と定義します。a を底、M を真数といい、真数は必ず正でなければなりません(aᵖ はつねに正なので)。この「指数と対数の言い換え」が全ての出発点です。

対数の3性質、①log_a MN = log_a M + log_a N(積は和に)②log_a M/N = log_a M − log_a N(商は差に)③log_a Mᵏ = k log_a M(累乗は係数に)は、すべて指数法則の翻訳です。例えば aᵐ×aⁿ=aᵐ⁺ⁿ の両辺を対数で読み替えると①になります。掛け算を足し算に変える性質こそ、対数が計算道具として生まれた理由です。

よくあるミスは log_a (M+N) を log_a M + log_a N としてしまうことです。和の対数を分解する公式はありません。分解できるのは真数の積・商・累乗だけ、と強く意識してください。逆に log_2 8 + log_2 4 のような和は、真数の積 log_2 32 にまとめてから計算すると速く正確です。

底が異なる対数は、底の変換公式 log_a b = log_c b / log_c a で共通の底 c にそろえます。例えば log_4 8 は底2にそろえて log_2 8 / log_2 4 = 3/2 と計算できます。分子が「真数側」、分母が「底側」で、逆にすると逆数になってしまうのが定番ミスです。log_a b × log_b a = 1 という逆数の関係も覚えておくと検算に使えます。

log計算の型(log_2 8 + log_2 4 の場合)
和は真数の積にまとめる: log_2 (8×4) = log_2 32
32 = 2⁵ なので log_2 32 = 5
別解: log_2 8=3、log_2 4=2 を先に求めて 3+2=5
注意: log_a(M+N) は分解できない(積・商・累乗だけ)
対数の定義と性質のまとめ(a>0, a≠1, M>0, N>0)
性質
定義aᵖ = M ⇔ p = log_a M2³=8 ⇔ log_2 8=3
1の対数log_a 1 = 0log_3 1 = 0
底自身の対数log_a a = 1log_5 5 = 1
積の対数log_a MN = log_a M + log_a Nlog_2 8+log_2 4=log_2 32=5
商の対数log_a M/N = log_a M − log_a Nlog_3 18−log_3 2=log_3 9=2
累乗の対数log_a Mᵏ = k log_a Mlog_2 √8=(1/2)log_2 8=3/2
底の変換log_a b = log_c b / log_c alog_4 8=log_2 8/log_2 4=3/2
対数
aᵖ=M となる指数 p のこと。p=log_a M と書き、「a を底とする M の対数」と読む。指数の言い換えにすぎない。
底・真数
log_a M の a が底、M が真数。底は a>0 かつ a≠1、真数は M>0 という条件(真数条件)が必要。
真数条件
対数 log_a M が定義されるための条件 M>0。対数方程式・不等式では、解く前に必ず確認する。
積・商・累乗の公式
log_a MN=log_a M+log_a N、log_a M/N=log_a M−log_a N、log_a Mᵏ=k log_a M。指数法則を対数の言葉に翻訳したもの。
底の変換公式
log_a b = log_c b / log_c a。底の違う対数を共通の底 c にそろえる公式。分子が真数側・分母が底側。

例題 log_10 4 + log_10 25 の値を求めよ。

真数の積にまとめて log_10 (4×25)=log_10 100=2。10²=100 だから。バラバラのままでは求められない値でも、まとめると整数になる典型例。

例題 log_2 12 − log_2 3 の値を求めよ。

商にまとめて log_2 (12/3)=log_2 4=2。真数を引いて log_2 9 とするのは誤り。差は「真数の割り算」に対応する。

例題 log_9 27 の値を求めよ。

底の変換公式で底3にそろえる。log_9 27=log_3 27/log_3 9=3/2。9=3²、27=3³ と、9と27がどちらも3の累乗であることに注目する。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領」(平成30年文部科学省告示第68号)第2章第4節 数学 第2款 第2 数学Ⅱ 2 内容(3)指数関数・対数関数

指数・対数の方程式・不等式と常用対数

底をそろえて指数・真数を比べるのが基本方針。底が1より小さいときの不等号の向き、真数条件、桁数問題まで定期テストの頻出を押さえます。

指数方程式は「底をそろえて指数を比べる」で解きます。4ˣ=8 なら両辺を底2で表して 2²ˣ=2³、指数を比べて 2x=3、x=3/2 です。4ˣ−3·2ˣ−4=0 のような式は 2ˣ=t(t>0)と置き換えると t の2次方程式になります。このとき t>0 の条件を忘れず、負の解は捨てるのが定番の注意点です。

対数方程式 log_a x = p は定義どおり x = aᵖ に直すだけです。ただし解く前に必ず真数条件(真数>0)を確認します。log_3 (x−1)=2 なら x−1>0 のもとで x−1=3²=9、x=10 です。真数条件を書き忘れても答えが合うことはありますが、余分な解を含んでしまう問題で失点します。

不等式では底の大きさが決定的です。底 a>1 のときは大小の向きがそのまま保たれますが、0<a<1 のときは指数関数・対数関数が減少するため、指数・真数を比べる際に不等号の向きが逆転します。例えば (1/2)ˣ < 1/8 = (1/2)³ は、底1/2<1 なので x > 3 です。「底が1より小さければひっくり返す」を作業手順として固定しましょう。

10を底とする対数を常用対数といい、桁数の問題で活躍します。Nの整数部分が k 桁 ⇔ 10^(k−1) ≦ N < 10ᵏ ⇔ k−1 ≦ log_10 N < k なので、「log_10 N の整数部分+1が桁数」です。例えば log_10 2=0.3010 とすると log_10 2¹⁰=3.010 なので 2¹⁰ は4桁(実際1024)。小数のときは (1/2)ⁿ<0.001 のように常用対数をとって n の範囲を求めます。

桁数問題の型(2⁵⁰ の桁数、log_10 2=0.3010)
log_10 2⁵⁰ = 50 × log_10 2 = 50 × 0.3010 = 15.05
15 ≦ log_10 2⁵⁰ < 16 なので 10¹⁵ ≦ 2⁵⁰ < 10¹⁶
よって 2⁵⁰ は 16桁
覚え方: 常用対数の整数部分 15 に 1 を足す
方程式・不等式・桁数の解き方のまとめ
手順
指数方程式底をそろえ、指数を比較4ˣ=8 → 2²ˣ=2³ → x=3/2
対数方程式真数条件→定義で指数の形にlog_3(x−1)=2 → x−1=9 → x=10
指数不等式(底>1)指数の大小はそのまま2ˣ<2³ → x<3
指数不等式(底<1)不等号の向きを逆転(1/2)ˣ<(1/2)³ → x>3
対数不等式(底<1)真数条件+向きを逆転log_(1/3)x>−2 → 0<x<9
桁数log_10 N の整数部分+1log_10 2¹⁰=3.010 → 4桁
指数方程式・不等式
aˣ を含む方程式・不等式。底をそろえて指数を比較する。0<a<1 の不等式では不等号の向きが逆転する。
対数方程式・不等式
log_a x を含む方程式・不等式。真数条件を確認してから、定義で指数の形に直す。底<1 なら向きが逆転。
置き換え(2ˣ=t)
4ˣ−3·2ˣ−4=0 型で 2ˣ=t とおくと t の2次方程式になる。2ˣ>0 なので t>0 の解だけを採用する。
常用対数
10を底とする対数 log_10 N。log_10 2=0.3010、log_10 3=0.4771 などの近似値が問題で与えられる。
桁数
k−1 ≦ log_10 N < k のとき N の整数部分は k 桁。「常用対数の整数部分+1」が桁数になる。

例題 方程式 9ˣ = 27 を解け。

底3にそろえて 3²ˣ=3³、2x=3 より x=3/2。9=3²、27=3³ と、両辺を同じ底の累乗で表すのが第一手。

例題 方程式 log_2 (x+1) = 3 を解け。

真数条件 x+1>0 のもとで、定義から x+1=2³=8、よって x=7。これは x+1=8>0 を満たすので適する。

例題 3ⁿ が 10000 を超える最小の自然数 n を求めよ(log_10 3=0.4771)。

3ⁿ>10⁴ の両辺の常用対数をとると 0.4771n>4、n>8.38…。よって n=9。検算: 3⁸=6561 は超えず、3⁹=19683 で超える。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領」(平成30年文部科学省告示第68号)第2章第4節 数学 第2款 第2 数学Ⅱ 2 内容(3)指数関数・対数関数

微分と積分

微分係数と導関数・接線の方程式

平均変化率の極限として微分係数を定義し、xⁿ の微分公式で導関数を機械的に求め、定期テスト最頻出の接線の方程式まで仕上げます。

関数 f(x) で x が a から b まで変わるときの平均変化率は (f(b)−f(a))/(b−a)、つまり2点を結ぶ直線の傾きです。b を a に限りなく近づけたときの極限値が微分係数 f′(a) で、これは y=f(x) のグラフの x=a における接線の傾きを表します。「平均の傾きを1点に凝縮したものが微分係数」というイメージが土台です。

各点 x に微分係数 f′(x) を対応させる関数を導関数といい、f(x) から f′(x) を求めることを微分するといいます。公式は (xⁿ)′=nxⁿ⁻¹(指数を前に下ろして次数を1つ下げる)、定数の微分は0、そして (kf+lg)′=kf′+lg′ の線形性です。例えば y=3x²−4x+5 なら y′=6x−4 で、定数項5は消えます。

接線の方程式は「傾きと通る点」で決まります。曲線 y=f(x) 上の点 (a, f(a)) における接線は、傾き f′(a) だから y−f(a)=f′(a)(x−a) です。手順は①微分して f′(x) を作る ②x=a を代入して傾きを出す ③点と傾きで直線の式を書く、の3ステップに固定しましょう。

曲線外の点から引く接線では、接点が分からないので接点の x座標を t とおきます。接点 (t, f(t)) での接線 y−f(t)=f′(t)(x−t) が与えられた点を通る条件から t の方程式を作って解くのが定石です。t が2つ出れば接線も2本あります。

接線の方程式の3ステップ(y=x²、点(1, 1) の場合)
① 微分する: y′ = 2x
② 傾きを出す: x=1 を代入して f′(1) = 2
③ 点と傾きで書く: y − 1 = 2(x − 1)
整理して y = 2x − 1
微分の基本公式のまとめ(k, l は定数)
対象公式
xⁿ の微分(xⁿ)′ = nxⁿ⁻¹(x³)′=3x²
定数の微分(c)′ = 0(5)′=0
定数倍・和(kf+lg)′ = kf′+lg′(3x²−4x)′=6x−4
微分係数f′(a) = x=a での接線の傾きf(x)=x²−3x なら f′(2)=1
接線y−f(a) = f′(a)(x−a)y=x² の (1,1) で y=2x−1
平均変化率
x が a から b まで変わるときの (f(b)−f(a))/(b−a)。グラフ上の2点を結ぶ直線の傾き。
極限値
h を限りなく0に近づけたときに式が近づく値。lim_h→0 (f(a+h)−f(a))/h の形で微分係数を定める。
微分係数 f′(a)
x=a における接線の傾き。平均変化率の b→a の極限値で、その点での瞬間の変化の割合を表す。
導関数
各 x に微分係数を対応させた関数 f′(x)。求める操作を「微分する」という。(xⁿ)′=nxⁿ⁻¹、定数の微分は0。
接線の方程式
曲線上の点 (a, f(a)) における接線は y−f(a)=f′(a)(x−a)。傾きが微分係数 f′(a) になる。

例題 y = x² − 4x を微分せよ。

y′=2x−4。x² は指数2を前に下ろして 2x、−4x は係数だけ残って −4、定数項があれば消える。

例題 f(x) = 2x² のとき f′(3) を求めよ。

f′(x)=4x なので f′(3)=12。まず導関数を作り、それから x=3 を代入する順番を守る(先に代入すると定数になり微分できない)。

例題 曲線 y = x³ 上の点 (1, 1) における接線の方程式を求めよ。

y′=3x² より傾きは f′(1)=3。y−1=3(x−1) を整理して y=3x−2。x=1 を代入すると y=1 で、確かに点(1, 1)を通る。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領」(平成30年文部科学省告示第68号)第2章第4節 数学 第2款 第2 数学Ⅱ 2 内容(5)微分・積分の考え

関数の増減と極値・最大最小

導関数の符号から増減表を作り、極大・極小を読み取ります。区間つきの最大最小は「極値と端点をぜんぶ並べて比べる」が鉄則です。

導関数 f′(x) の符号は接線の傾きの符号なので、f′(x)>0 の区間で f(x) は増加し、f′(x)<0 の区間で減少します。この対応を表にしたものが増減表です。f′(x)=0 となる x を境に符号を調べ、x・f′(x)・f(x) の3段で矢印(増加↗・減少↘)を書き込みます。

f′(x) の符号が正から負に変わる点で f(x) は極大、負から正に変わる点で極小となります。例えば y=x³−3x は y′=3(x+1)(x−1) なので、x=−1 で極大値2、x=1 で極小値−2 です。注意すべきは f′(a)=0 だけでは極値と言えないこと。y=x³ は x=0 で y′=0 ですが符号が変わらないので極値ではありません。

極値は「その点の近くでいちばん大きい(小さい)」という局所的な概念で、最大値・最小値は「範囲全体でいちばん」という大域的な概念です。定義域に制限のある最大最小問題では、①区間内の極値 ②区間の両端の値、の候補をすべて計算して比べます。3次関数では端点が極値より大きい(小さい)ことがよくあり、極値だけ見ると失点します。

文字係数を含む問題では、「極値をもつ ⇔ f′(x)=0 が異なる2つの実数解をもつ ⇔ 判別式D>0」が頻出です。D=0 では重解となり符号が変わらないため極値をもちません。また「極小値が与えられて係数を決める」問題は、極小となる x を求めて代入し、方程式を解きます。

増減・極値の手順(y = x³ − 3x の場合)
① 微分: y′ = 3x² − 3 = 3(x+1)(x−1)
② y′=0 を解く: x = −1, 1
③ 符号を調べる: x<−1 で+、−1<x<1 で−、x>1 で+
④ 増減表から x=−1 で極大値 2、x=1 で極小値 −2
最大最小は、極値と区間の端点の値をすべて比べる
y = x³ − 3x の増減表(y′=3(x+1)(x−1))
x−11
y′+00+
y極大 2極小 −2
増減表
f′(x)=0 の点で区切り、各区間の f′(x) の符号と f(x) の増減(↗↘)を整理した表。グラフの概形の設計図。
極大・極小
f′(x) の符号が正→負に変わる点が極大、負→正が極小。その点の近くでの最大・最小を表す局所的な概念。
極値
極大値と極小値の総称。f′(a)=0 は必要だが、符号が変わらなければ極値ではない(例: y=x³ の x=0)。
最大値・最小値
定義域全体でいちばん大きい・小さい値。区間つきなら極値と端点の値をすべて比べて決める。
極値をもつ条件
3次関数 f(x) が極値をもつ ⇔ f′(x)=0 が異なる2実数解をもつ ⇔ 判別式 D>0。D=0 は重解で極値なし。

例題 y = x³ − 12x の極値を求めよ。

y′=3x²−12=3(x+2)(x−2)。x=−2 で極大値 (−8)+24=16、x=2 で極小値 8−24=−16。増減表で符号の変化(+→−が極大、−→+が極小)を確認する。

例題 f(x) = x³ − 3x² + 2(0 ≦ x ≦ 3)の最大値・最小値を求めよ。

f′=3x(x−2)。候補は f(0)=2、f(2)=−2、f(3)=2。よって最大値2(x=0, 3)、最小値−2(x=2)。端点も必ず候補に入れるのがポイント。

例題 y = x³ + ax² + 3x が極値をもたないような a の範囲を求めよ。

y′=3x²+2ax+3 が符号を変えなければよいので判別式 D/4=a²−9≦0、つまり −3≦a≦3。極値を「もつ」条件 D>0 の否定として考える。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領」(平成30年文部科学省告示第68号)第2章第4節 数学 第2款 第2 数学Ⅱ 2 内容(5)微分・積分の考え

3次関数のグラフと方程式への応用

3次方程式の実数解の個数は、グラフと直線の共有点の個数として目で数えます。極値の符号・定数分離という2大手法を身につけます。

3次関数 y=ax³+… のグラフは、a>0 なら左下から右上へ、a<0 なら左上から右下へ進みます。極値をもつ場合は山と谷が1つずつでき、もたない場合(y=x³ など)は一方向に進み続けます。y=x³ のグラフは原点に関して対称で、つねに増加することも押さえておきましょう。

方程式 f(x)=0 の異なる実数解の個数は、y=f(x) のグラフと x軸の共有点の個数です。極値をもつ3次関数では、(極大値)×(極小値)の符号で分類できます: 極大値と極小値が異符号なら3個、どちらかが0なら2個(x軸に接する)、同符号なら1個。例えば x³−3x+1=0 は極大値3>0、極小値−1<0 なので実数解は3個です。

文字定数 a を含む方程式は、a を片側に分離して f(x)=a の形にする「定数分離」が強力です。解の個数は y=f(x) のグラフと水平な直線 y=a の共有点の個数になり、a を動かしながら本数を数えられます。x³−3x=a なら極大2・極小−2 なので、−2<a<2 のとき3個、a=±2 のとき2個、それ以外は1個です。

端の値を含むかどうかのミスが頻出です。a が極大値・極小値と一致するときは重解が生じて解の個数が減るので、「3個」の答えに等号を含めてはいけません。また「異なる実数解」と言われたら、重解は1個と数えることにも注意してください。

定数分離の手順(x³ − 3x = a の場合)
① 左辺を f(x)=x³−3x とおき、y=f(x) と y=a の共有点を考える
② f′=3(x+1)(x−1) → 極大 f(−1)=2、極小 f(1)=−2
③ 水平線 y=a を上下に動かして共有点を数える
−2 < a < 2 のとき 3個 / a=±2 のとき 2個 / それ以外 1個
3次方程式 f(x)=0 の異なる実数解の個数(極値をもつ場合)
極大値と極小値グラフとx軸実数解の個数
異符号(極大>0 かつ 極小<0)3点で交わる3個
一方が 01点で接し1点で交わる2個
同符号1点で交わる1個
極値をもたない1点で交わる1個
3次関数のグラフ
x³の係数が正なら左下から右上へ。極値をもてば山と谷が1つずつ。y=x³ は原点対称でつねに増加。
共有点
2つのグラフが共有する点。方程式 f(x)=g(x) の実数解は y=f(x) と y=g(x) の共有点の x座標。
極値の符号による分類
3次方程式 f(x)=0 の異なる実数解は、極大値と極小値が異符号なら3個、一方が0なら2個、同符号なら1個。
定数分離
f(x)=a の形に直し、y=f(x) と水平線 y=a の共有点で解の個数を数える方法。a の範囲問題の定石。
重解
グラフが x軸に接するときに生じる解。「異なる実数解の個数」では1個と数える。

例題 方程式 x³ − 3x² + 1 = 0 の異なる実数解の個数を求めよ。

f(x)=x³−3x²+1 は f′=3x(x−2) で、極大 f(0)=1>0、極小 f(2)=−3<0。極値が異符号なので3個。

例題 方程式 x³ = 3x + a が異なる2個の実数解をもつ a の値を求めよ。

x³−3x=a と分離。極大2・極小−2 なので、y=a が山頂か谷底をちょうど通る a=2、a=−2 のとき2個(1つは重解)。

例題 y = x³ のグラフと y = x³ − 3x のグラフの違いを説明せよ。

y=x³ は y′=3x²≧0 でつねに増加し極値をもたないが、y=x³−3x は y′=0 が2解をもち極大・極小が現れる。同じ3次でも導関数の符号変化の有無で形が変わる。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領」(平成30年文部科学省告示第68号)第2章第4節 数学 第2款 第2 数学Ⅱ 2 内容(5)微分・積分の考え

不定積分・定積分と面積

微分の逆演算として積分を導入し、積分定数・定積分の計算を固めます。面積は「上の式から下の式を引いて積分」、放物線と直線には1/6公式も紹介します。

微分すると f(x) になる関数を f(x) の不定積分(原始関数)といい、∫f(x)dx と書きます。(x³)′=3x² の逆読みで ∫3x²dx=x³+C です。微分すると消える定数の分だけ答えに幅があるので、積分定数 C を必ず添えます。公式は ∫xⁿdx=xⁿ⁺¹/(n+1)+C、「指数を1つ上げて、上げた指数で割る」です。C の書き忘れは定期テストの定番減点です。

定積分 ∫[a→b]f(x)dx は、不定積分の1つを F(x) として F(b)−F(a) で計算します。[F(x)] の記号で上端の値から下端の値を引きます。下端の代入を忘れる・引き算の符号を間違えるのが2大ミスです。定積分は値が1つに決まるので積分定数は不要です。

曲線 y=f(x) と x軸の間の面積は、f(x)≧0 の区間では S=∫f(x)dx ですが、f(x)≦0 の区間では積分値が負になるため S=−∫f(x)dx とします。2曲線の間の面積は「(上の式)−(下の式)」を交点から交点まで積分します。どちらが上かをグラフの概形か代入で確認してから立式するのが安全です。

放物線 y=ax²+… と直線が x=α, β(α<β)で交わるとき、囲まれた面積は S=|a|(β−α)³/6 という1/6公式で速算できます。これは ∫(x−α)(β−x)dx を計算した結果を公式化したもので、検算や時間短縮に非常に有効です。ただし記述式では積分の式を書いてから使うのが無難です。

面積の手順(y=x² と y=x+2 の場合)
① 交点: x² = x+2 → x²−x−2=0 → (x+1)(x−2)=0 → x=−1, 2
② 上下確認: −1<x<2 では直線 x+2 が上(x=0 で 2>0)
③ S = ∫[−1→2]{(x+2)−x²}dx = 9/2
1/6公式の検算: |1|×(2−(−1))³/6 = 27/6 = 9/2
積分の公式のまとめ(C は積分定数、α<β)
対象公式
xⁿ の積分∫xⁿdx = xⁿ⁺¹/(n+1) + C∫3x²dx = x³+C
定積分∫[a→b]f(x)dx = F(b)−F(a)∫[1→3]2xdx = 9−1 = 8
x軸との面積 (f≧0)S = ∫[a→b]f(x)dxy=x² の 0〜2 は 8/3
x軸との面積 (f≦0)S = −∫[a→b]f(x)dxy=x²−4 と x軸は 32/3
2曲線の間S = ∫[α→β]{(上)−(下)}dxy=x+2 と y=x² は 9/2
1/6公式S = |a|(β−α)³/6(2−(−1))³/6 = 27/6 = 9/2
不定積分
微分すると f(x) になる関数の全体。∫f(x)dx=F(x)+C と書く。積分定数 C を忘れない。
積分定数
不定積分に付く任意の定数 C。定数は微分すると消えるため、原始関数には C の分の幅がある。
定積分
∫[a→b]f(x)dx = F(b)−F(a)。上端の値から下端の値を引いた1つの数値。a を下端、b を上端という。
面積と定積分
f(x)≧0 の区間では曲線とx軸の間の面積が ∫f(x)dx。f(x)≦0 ではマイナスを付けて面積にする。
1/6公式
放物線 y=ax²+… と直線が x=α, β で交わるとき、囲む面積は |a|(β−α)³/6。∫(x−α)(β−x)dx の計算結果。

例題 ∫(6x² − 2x)dx を求めよ。

6x²→6·x³/3=2x³、−2x→−2·x²/2=−x²。よって 2x³−x²+C。C を忘れずに書く。微分して 6x²−2x に戻ることを確かめると安心。

例題 ∫[0→2](x² + 1)dx を求めよ。

[x³/3+x] の 0 から 2 で (8/3+2)−0=14/3。上端・下端の順に代入し、引き算の向きを間違えない。

例題 放物線 y = x² − 2x と x軸で囲まれた図形の面積を求めよ。

交点は x=0, 2 で、この区間では y≦0。S=∫[0→2](2x−x²)dx=[x²−x³/3] の 0 から 2 で 4−8/3=4/3。1/6公式でも (2−0)³/6=8/6=4/3 と一致。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領」(平成30年文部科学省告示第68号)第2章第4節 数学 第2款 第2 数学Ⅱ 2 内容(5)微分・積分の考え

数列

等差数列の一般項と和

等差数列の一般項 aₙ=a₁+(n−1)d と和の公式 Sₙ=n(a₁+aₙ)/2 の意味・導き方・使い方が分かります。

隣り合う項の差がつねに一定の数列を等差数列といい、その一定の差 d を公差といいます。初項(最初の項)を a₁ とすると、a₂=a₁+d、a₃=a₁+2d、…と、第 n 項までに d を (n−1) 回足すので、一般項は aₙ=a₁+(n−1)d です。「n 回」ではなく「n−1 回」であることが最大の注意点で、aₙ=a₁+nd としてしまうのが典型的なミスです。

一般項は n の1次式になります。逆に、aₙ=3n+1 のような1次式で表される数列は、n の係数 3 が公差の等差数列です。2つの項の値(たとえば a₃=10 と a₇=22)が与えられたら、項数の差に注目して d=(22−10)/(7−3)=3 のように公差を先に求めるのが定石です。

等差数列の和の公式は Sₙ=n(a₁+aₙ)/2 です。これは、和を順方向と逆方向に2通り書いて足すと (a₁+aₙ) が n 個できる、という有名なガウスの方法から導かれます。「(初項+末項)×項数÷2」と言葉で覚えておくと台形の面積の式と同じ形で思い出せます。aₙ=a₁+(n−1)d を代入した Sₙ=n{2a₁+(n−1)d}/2 の形も、末項が分からないときに使います。

応用として、和 Sₙ が最大になる n を求める問題があります。公差が負の等差数列では、項が正の間は足すほど和が増え、負の項を足し始めると和は減るので、「aₙ≧0 となる最後の n」までの和が最大です。また、数列の和 Sₙ から一般項を求めるときは、aₙ=Sₙ−Sₙ₋₁(n≧2)を使い、a₁=S₁ だけ別に確かめます。

一般項: aₙ = a₁ + (n−1)d
和①: Sₙ = n(a₁ + aₙ)/2
和②: Sₙ = n{2a₁ + (n−1)d}/2
1+2+…+n = n(n+1)/2
Sₙ から一般項: aₙ = Sₙ − Sₙ₋₁ (n≧2), a₁=S₁
等差数列の基本公式(a₁: 初項、d: 公差、aₙ: 第 n 項)
項目公式覚え方・注意
一般項aₙ=a₁+(n−1)dd を足すのは (n−1) 回。nd としない
等差中項a, b, c が等差 ⇔ 2b=a+c真ん中は両端の平均
和(末項あり)Sₙ=n(a₁+aₙ)/2(初項+末項)×項数÷2
和(公差で)Sₙ=n{2a₁+(n−1)d}/2末項が不明のときに使う
和→一般項aₙ=Sₙ−Sₙ₋₁(n≧2)a₁=S₁ は別に確認する
等差数列
隣り合う項の差(公差 d)が一定の数列。一般項は n の1次式 aₙ=a₁+(n−1)d になる。
初項・公差
初項 a₁ は数列の最初の項、公差 d は隣り合う項の差 aₙ₊₁−aₙ。この2つで等差数列は完全に決まる。
一般項
第 n 項 aₙ を n の式で表したもの。n に具体的な番号を入れるとその項の値が得られる。
等差中項
3つの数 a, b, c がこの順で等差数列になるとき、b=(a+c)/2。真ん中の項は両端の平均になる。
和の公式
Sₙ=n(a₁+aₙ)/2=n{2a₁+(n−1)d}/2。(初項+末項)×項数÷2 と覚える。

例題 初項 5、公差 3 の等差数列の一般項と第 10 項を求めよ。

aₙ=5+(n−1)·3=3n+2。a₁₀=3·10+2=32。5+10×3=35 とするのは (n−1) を n にした誤り。

例題 1 から 100 までの自然数の和を求めよ。

S=100×(1+100)/2=5050。(初項+末項)×項数÷2。ガウスの方法で 1+100、2+99、…と 101 が 50 組できると考えてもよい。

例題 等差数列 a₃=10、a₇=22 の公差と初項を求めよ。

a₇−a₃=4d=12 より d=3。a₁=a₃−2d=10−6=4。項数の差(7−3=4 個分)で割るのがポイント。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領」(平成30年文部科学省告示第68号)第2章第4節 数学 第2款 第5 数学B 2 内容(1)数列

等比数列とΣ記号・Σ公式

等比数列の一般項 aₙ=a₁·rⁿ⁻¹ と和の公式、Σ記号の意味と Σk・Σk² などの公式の使い方が分かります。

隣り合う項の比がつねに一定の数列を等比数列といい、その一定の比 r を公比といいます。初項 a₁ に r を (n−1) 回かけて第 n 項になるので、一般項は aₙ=a₁·rⁿ⁻¹ です。等差の「(n−1) 回足す」が「(n−1) 回かける」に変わっただけで、指数を n にしてしまう aₙ=a₁·rⁿ が典型的なミスであることも共通です。

等比数列の和は、r≠1 のとき Sₙ=a₁(rⁿ−1)/(r−1) です。これは Sₙ と rSₙ を並べて引くと途中の項が全部消える、という導き方が重要で、この「ずらして引く」考え方は後の応用でも使います。r=1 のときは全項が a₁ なので Sₙ=n·a₁ です。また、3つの数 a, b, c がこの順で等比数列になる条件は b²=ac(等比中項)で、b は ±√(ac) の2つがありえます。

Σ(シグマ)記号は和を簡潔に書くための記号で、Σₖ₌₁ⁿ aₖ は「k を 1 から n まで動かして aₖ を全部足す」という意味です。読み方は「シグマ k=1 から n まで」。Σ には (定数倍・和・差を分けられる) という線形性があり、Σ(2k+1)=2Σk+Σ1 のように分解して公式に帰着させます。

覚えるべきΣ公式は、Σₖ₌₁ⁿ c=cn(定数)、Σₖ₌₁ⁿ k=n(n+1)/2、Σₖ₌₁ⁿ k²=n(n+1)(2n+1)/6、Σₖ₌₁ⁿ k³={n(n+1)/2}² の4つです。Σk は等差数列の和そのもの、Σk³ は Σk の2乗の形になっているのが覚えるコツです。計算後は n=1 や n=2 を代入して検算する習慣をつけると、展開ミスにすぐ気づけます。

一般項: aₙ = a₁·rⁿ⁻¹
和: Sₙ = a₁(rⁿ−1)/(r−1) (r≠1)
等比中項: a, b, c が等比 ⇔ b² = ac
Σk = n(n+1)/2  Σk² = n(n+1)(2n+1)/6
Σk³ = {n(n+1)/2}²  Σc = cn
Σ公式のまとめ(k は 1 から n まで)
公式結果覚えるコツ
Σ c(定数)cnc を n 個足すだけ
Σ kn(n+1)/21 から n の和(ガウスの方法)
Σ k²n(n+1)(2n+1)/66 で割る。n=2 で 5 になるか検算
Σ k³{n(n+1)/2}²Σk の2乗と同じ形
Σ a₁rᵏ⁻¹a₁(rⁿ−1)/(r−1) (r≠1)等比数列の和の公式そのもの
等比数列
隣り合う項の比(公比 r)が一定の数列。一般項は aₙ=a₁·rⁿ⁻¹。指数は n−1 であることに注意。
公比
隣り合う項の比 aₙ₊₁/aₙ。負の数にもなり、そのとき項の符号は交互に変わる。
等比中項
a, b, c がこの順で等比数列 ⇔ b²=ac。b=±√(ac) と正負の2つがありうる。
等比数列の和
r≠1 のとき Sₙ=a₁(rⁿ−1)/(r−1)。Sₙ−rSₙ を計算する「ずらして引く」方法で導く。
Σ記号
Σₖ₌₁ⁿ aₖ は a₁+a₂+…+aₙ の略記。定数倍・和・差は Σ の外・項ごとに分けられる(線形性)。

例題 初項 5、公比 2 の等比数列の一般項と第 6 項を求めよ。

aₙ=5·2ⁿ⁻¹。a₆=5·2⁵=160。指数は n ではなく n−1。5·2⁶=320 としない。

例題 1+2+4+8+…+128(初項 1、公比 2、8 項)の和を求めよ。

S₈=1·(2⁸−1)/(2−1)=255。公比 2 の和は「次の項−1」になると覚えておくと速い(128×2−1=255)。

例題 Σₖ₌₁ⁿ (3k−1) を計算せよ。

3Σk−Σ1=3·n(n+1)/2−n=(3n²+3n−2n)/2=n(3n+1)/2。n=1 で 2、n=2 で 7 となり、2+5=7 と一致するので正しい。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領」(平成30年文部科学省告示第68号)第2章第4節 数学 第2款 第5 数学B 2 内容(1)数列

階差数列・部分分数・漸化式と数学的帰納法

階差数列から一般項を求める方法、部分分数分解による和、漸化式の基本2型の解き方、数学的帰納法の証明の流れが分かります。

数列 {aₙ} の隣り合う項の差 bₙ=aₙ₊₁−aₙ が作る数列を階差数列といいます。もとの数列の一般項は、n≧2 のとき aₙ=a₁+Σₖ₌₁ⁿ⁻¹ bₖ(初項に階差を n−1 個分足す)で求められます。Σ の上端が n ではなく n−1 であること、得られた式が n=1 でも成り立つかを最後に確認すること、の2点が注意どころです。

分数の数列の和では、部分分数分解が活躍します。1/(k(k+1))=1/k−1/(k+1) と差の形に直すと、和をとったとき隣どうしが次々に打ち消し合い(望遠鏡式の和)、最初と最後だけが残ります。Σₖ₌₁ⁿ 1/(k(k+1))=1−1/(n+1)=n/(n+1) が代表例です。分母の差が 2 のときは 1/(k(k+2))=(1/2){1/k−1/(k+2)} のように 1/2 を忘れないことが大切です。

漸化式は「前の項から次の項を作る規則」で数列を定める方法です。基本の2型は、aₙ₊₁=aₙ+d(毎回 d を足す→公差 d の等差数列、aₙ=a₁+(n−1)d)と、aₙ₊₁=r·aₙ(毎回 r をかける→公比 r の等比数列、aₙ=a₁·rⁿ⁻¹)です。漸化式を見たら、まず「足しているのか、かけているのか」を見分けます。

発展形の aₙ₊₁=p·aₙ+q(p≠1)は、特性方程式 α=pα+q の解 α を使って aₙ₊₁−α=p(aₙ−α) と変形すると、{aₙ−α} が公比 p の等比数列になって解けます。たとえば aₙ₊₁=2aₙ+1 は α=−1 なので aₙ₊₁+1=2(aₙ+1) と変形できます。

数学的帰納法は、自然数 n についての命題を「①n=1 のとき成り立つことを示す」「②n=k のとき成り立つと仮定して、n=k+1 のときも成り立つことを示す」の2段階で証明する方法です。①がドミノの最初の1枚を倒すこと、②が「どの1枚が倒れても次が倒れる」ことに対応し、2つ合わせてすべての自然数で成り立つと結論できます。①と②の両方が必要で、片方だけでは証明になりません。

階差: aₙ = a₁ + Σₖ₌₁ⁿ⁻¹ bₖ (n≧2)
部分分数: 1/(k(k+1)) = 1/k − 1/(k+1)
→ Σₖ₌₁ⁿ 1/(k(k+1)) = 1 − 1/(n+1) = n/(n+1)
等差型: aₙ₊₁=aₙ+d → aₙ=a₁+(n−1)d
等比型: aₙ₊₁=r·aₙ → aₙ=a₁·rⁿ⁻¹
帰納法: ① n=1 で成立 ② n=k を仮定し n=k+1 を示す
漸化式の基本パターンと解き方
漸化式の形数列の正体一般項
aₙ₊₁=aₙ+d公差 d の等差数列aₙ=a₁+(n−1)d
aₙ₊₁=r·aₙ公比 r の等比数列aₙ=a₁·rⁿ⁻¹
aₙ₊₁=aₙ+f(n)階差が f(n)aₙ=a₁+Σₖ₌₁ⁿ⁻¹ f(k)(n≧2)
aₙ₊₁=p·aₙ+q{aₙ−α} が等比(α=pα+q)aₙ−α=(a₁−α)pⁿ⁻¹
階差数列
bₙ=aₙ₊₁−aₙ が作る数列。n≧2 で aₙ=a₁+Σₖ₌₁ⁿ⁻¹ bₖ。上端は n−1、n=1 の確認を忘れない。
部分分数分解
1/(k(k+1))=1/k−1/(k+1) のように差の形に直すこと。和で隣どうしが打ち消し合う。
漸化式
aₙ₊₁ を aₙ で表す規則。aₙ₊₁=aₙ+d は等差型、aₙ₊₁=r·aₙ は等比型。
特性方程式
aₙ₊₁=p·aₙ+q に対する α=pα+q。解 α で aₙ₊₁−α=p(aₙ−α) と変形し等比数列に帰着させる。
数学的帰納法
n=1 で成立を示し、n=k での成立を仮定して n=k+1 での成立を示す、2段階の証明法。ドミノ倒しのイメージ。

例題 数列 1, 2, 4, 7, 11, … の第 6 項を求めよ。

階差は 1, 2, 3, 4 と自然数の列なので、次の階差は 5。a₆=11+5=16。一般項は aₙ=1+(n−1)n/2。

例題 a₁=3、aₙ₊₁=aₙ+2 で定まる数列の一般項を求めよ。

毎回 2 を足す等差型なので、公差 2 の等差数列。aₙ=3+(n−1)·2=2n+1。

例題 Σₖ₌₁⁹⁹ 1/(k(k+1)) を求めよ。

1/k−1/(k+1) の望遠鏡式の和で、1−1/100=99/100。途中がすべて打ち消し合うのがポイント。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領」(平成30年文部科学省告示第68号)第2章第4節 数学 第2款 第5 数学B 2 内容(1)数列