🏛️ 憲法バッジ図鑑
2回正解で卒業=獲得。
今日の学習スタンプ
今日、憲法の勉強をした——1問だけでもOK、続けることが合格への近道。
ルールは「知ってる」より「守れた」が偉い。30個で台紙コンプリート!
憲法専門クイズとは
憲法専門クイズは、法学部3・4年の専門レベルの憲法を、全40問の4択で学べる無料の学習ゲームです。人権総論、精神的自由、経済的自由・社会権、統治機構、違憲審査、平和主義・憲法改正の6分野から出題し、マクリーン事件や三菱樹脂事件などの重要判例と、私人間効力・二重の基準・統治行為論をめぐる学説の対立を問います。同じ問題に2回正解すると卒業となり、憲法印が集まっていきます。
「判例と学説、どこで分かれる?」がテーマです。学説・学派が分かれる論点はどの立場も差別なく両論併記し、判例の立場と学説の批判をセットで確認できます。定期試験や法科大学院・公務員試験の基礎固めにどうぞ。
📝 問題と解説の全文(40問)
憲法専門クイズ の全40問を、解説つきで読める形に並べています。アプリを起動しなくても、ここだけで内容を確かめられます。各見出しを開くと、問題文・選択肢・正解・解説が出ます。
人権総論
マクリーン事件
外国人の人権享有主体性に関する判例(マクリーン事件)の立場はどれか。
- 基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみを対象とするものを除き外国人にも等しく及ぶが、外国人在留制度の枠内で与えられているにすぎない
- 外国人には憲法上の人権保障は一切及ばず、法律上の保護があるにとどまる
- 外国人にも日本国民と全く同一の保障が及び、在留期間の更新に際して在留中の政治活動を考慮することは許されない
- 外国人の人権は憲法ではなく条約によってのみ保障される
正解:1番
学説では憲法の文言を基準とする文言説と権利の性質を基準とする性質説が対立し、最大判昭53.10.4(マクリーン事件)は性質説を採用した。ただし保障は在留制度の枠内にとどまり、在留中の政治活動を在留期間更新の際に消極的事情として斟酌しても違法ではないとした点に、学説からの批判もある。
八幡製鉄事件
法人の人権享有主体性に関する判例(八幡製鉄事件)の立場はどれか。
- 法人には人権保障は一切及ばない
- 憲法第3章の諸規定は、性質上可能な限り内国の法人にも適用され、会社にも政治資金の寄附の自由が認められる
- 法人には経済的自由のみが保障され、政治的行為の自由は認められない
- 法人の人権は定款に記載された目的の範囲でのみ憲法上保障される
正解:2番
最大判昭45.6.24(八幡製鉄事件)は、憲法第3章の諸規定は性質上可能な限り内国法人にも適用されるとし、会社の政治資金寄附の自由を認めた。学説では、自然人の人権との差異を強調して法人の政治的行為の自由を限定的に解する見解も有力であり、構成員の思想の自由との調整が議論されている。
間接適用説
人権規定の私人間効力について「間接適用説」と呼ばれる見解はどれか。
- 人権規定は私人間にもそのまま直接適用されるとする見解
- 人権規定は国家権力のみを名宛人とし、私人間には一切適用されないとする見解
- 民法90条など私法の一般条項の解釈に憲法の趣旨を読み込むことで、人権規定の効力を私人間に間接的に及ぼす見解
- 私人の行為を国家行為と同視できる場合に限り人権規定を適用する見解
正解:3番
直接適用説は私的自治を害するおそれが、無適用説は社会的権力からの保護に欠けるおそれがそれぞれ指摘され、間接適用説は両者の中間に立つ。判例(三菱樹脂事件・最大判昭48.12.12)は間接適用説に親和的と一般に理解される。選択肢4は米国のステイト・アクション法理に相当する考え方である。
私人間効力の諸説
私人間効力に関する①直接適用説、②無適用説、③間接適用説と、㋐人権規定は私人間には適用されず私的自治に委ねられる、㋑私法の一般条項を介して人権規定の趣旨を私人間に及ぼす、㋒人権規定がそのまま私人間にも効力を持つ、の組み合わせとして正しいものはどれか。
- ①㋐ ②㋑ ③㋒
- ①㋑ ②㋒ ③㋐
- ①㋒ ②㋑ ③㋐
- ①㋒ ②㋐ ③㋑
正解:4番
直接適用説は社会的権力からの人権保護を重視し、無適用説は人権規定の対国家性と私的自治を重視し、間接適用説は一般条項を媒介に両者の調整を図る。三菱樹脂事件(最大判昭48.12.12)は、私人間の関係を直接規律しないとしつつ民法1条・90条等による調整を説き、間接適用説を採ったと理解するのが一般的だが、無適用説に近いと読む学説もある。
京都府学連事件
警察官による写真撮影が争われた京都府学連事件で、判例が憲法13条から導いた自由はどれか。
- 自己の情報の開示を国家に請求する権利
- 何人も、その承諾なしに、みだりにその容ぼう・姿態を撮影されない自由
- いかなる場合にも写真撮影を拒否できる絶対的な権利
- 報道機関の取材に応じない自由
正解:2番
最大判昭44.12.24(京都府学連事件)は、13条を根拠に承諾なくみだりに容ぼう等を撮影されない自由を認めつつ、現行犯性・証拠保全の必要性・緊急性・方法の相当性があれば無令状の撮影も許されるとした。プライバシー権を「自己情報コントロール権」と再構成する学説の展開の出発点となった判例である。
人格的利益説
憲法13条の幸福追求権の保障範囲について、人格的利益説の立場から導かれる帰結はどれか。
- 人格的生存に不可欠とはいえない行為の自由は、13条によって当然には保障されない
- 服装や趣味などあらゆる生活領域の行為の自由が13条で保障される
- 13条は個別の人権規定の解釈指針にすぎず、独自の権利を保障しない
- 13条は社会権のみを保障する
正解:1番
人格的利益説は、幸福追求権を人格的生存に不可欠な利益の総体と捉え、保障範囲を限定することで人権のインフレ化を防ごうとする。これに対し一般的自由説は、あらゆる行為の自由がひとまず保障され、制約の正当化の場面で調整すべきと考える。いずれも13条を具体的権利の根拠と認める点では共通しており、対立は保障範囲の画定方法にある。
猿払事件
国家公務員の政治的行為の禁止が争われた猿払事件における判例の立場はどれか。
- 公務員の政治的行為の禁止は一律に違憲である
- 非管理職の現業公務員の政治的行為は処罰できない
- 行政の中立的運営とこれに対する国民の信頼の確保のため、禁止が合理的で必要やむを得ない限度にとどまる限り合憲である
- 勤務時間外の政治的行為はすべて自由である
正解:3番
最大判昭49.11.6(猿払事件)は、禁止の目的の正当性、目的と禁止の合理的関連性、利益均衡の3点から合憲とし、制約は間接的・付随的なものにすぎないとした。学説にはLRAの基準等でより厳格に審査すべきとの批判が強い。堀越事件(最判平24.12.7)は「政治的中立性を損なうおそれが実質的に認められる行為」に限定解釈して無罪とした。
精神的自由
検閲の定義
憲法21条2項の「検閲」の意義に関する判例(税関検査事件)の立場はどれか。
- 公権力による表現規制はすべて検閲に当たる
- 裁判所による出版の事前差止めも検閲に当たる
- 検閲に当たる場合でも公共の福祉による例外が認められる
- 行政権が主体となって、思想内容等の表現物を対象に、発表前にその内容を審査し、不適当と認めるものの発表を禁止することをいい、これは絶対的に禁止される
正解:4番
最大判昭59.12.12(税関検査事件)は検閲を狭く定義した上で絶対的禁止と解し、税関検査は国外で既に発表済み等の理由で検閲に当たらないとした。学説には、主体を公権力一般に広げ発表後の抑制も含める広義説があり、狭義に定義して絶対的禁止とする判例の枠組みと、広く定義して例外を認める構成のいずれが表現の自由の保護に資するかが争われる。
目的効果基準
政教分離に関する津地鎮祭事件で判例が採用した判断枠組みはどれか。
- 行為の目的が宗教的意義をもち、その効果が宗教に対する援助・助長・促進又は圧迫・干渉等になるような行為を禁止するとする基準(目的効果基準)
- 国家と宗教のかかわり合いを一切禁止する完全分離の基準
- 宗教団体の側から見て強制があったか否かのみを問う基準
- 過半数の国民が容認する宗教的行為は許されるとする基準
正解:1番
最大判昭52.7.13(津地鎮祭事件)は、政教分離を制度的保障と位置づけ、かかわり合いが相当とされる限度を超えるかを目的効果基準で判断し、地鎮祭を合憲とした。学説では厳格分離説からこの基準の緩やかさへの批判が強く、愛媛玉串料事件(最大判平9.4.2)では同基準の下で違憲判断が下された。
空知太神社事件
市有地を神社に無償提供していたことが争われた空知太神社事件で、判例が採った判断方法はどれか。
- 目的効果基準を機械的に適用して合憲とした
- 信教の自由の問題として政教分離とは切り離して判断した
- 目的効果基準を用いず、施設の性格や無償提供の経緯・態様、一般人の評価など諸般の事情を考慮した総合的判断により89条等に違反するとした
- 地方公共団体には政教分離原則が適用されないとした
正解:3番
最大判平22.1.20(空知太神社事件)は、目的効果基準に明示的に依拠せず総合的判断で違憲とした。学説では、同基準は行為の宗教性が問題となる場面に妥当し、継続的な便益提供の場面では総合判断によるという使い分けと読む見解や、判例の枠組みの変化とみる見解が対立しており、後の那覇孔子廟事件(最大判令3.2.24)でも総合判断が用いられた。
明確性の理論
刑罰法規の明確性が争われた徳島市公安条例事件で、判例が示した明確性の判断基準はどれか。
- 法律の専門家が解釈して初めて意味が判明すれば足りる
- 通常の判断能力を有する一般人の理解において、具体的場合に当該行為がその適用を受けるかどうかの判断を可能ならしめる基準が読み取れるかどうかによる
- 立法者の主観的意図が明らかであれば足りる
- 少しでも多義的な文言を含む刑罰法規はすべて無効である
正解:2番
最大判昭50.9.10(徳島市公安条例事件)は一般人基準による明確性の判断枠組みを示し、「交通秩序を維持すること」という文言を合憲とした。明確性の理論は、萎縮効果の防止(21条)と罪刑法定主義(31条)の双方に根拠づけられ、学説では不明確な規定の効力を文面上無効とすべき場面と合憲限定解釈で救済できる場面の区別が論じられる。
表現規制の審査
表現の自由の規制類型①事前抑制、②表現内容規制、③表現内容中立規制と、通説的な審査の考え方㋐厳格な基準で審査する、㋑原則として許されず、許容されるには厳格かつ明確な要件を要する、㋒時・場所・方法の規制としてより緩やかな基準で審査する、の組み合わせとして適切なものはどれか。
- ①㋐ ②㋑ ③㋒
- ①㋒ ②㋐ ③㋑
- ①㋐ ②㋒ ③㋑
- ①㋑ ②㋐ ③㋒
正解:4番
事前抑制の原則的禁止は北方ジャーナル事件(最大判昭61.6.11)が名誉毀損の出版差止めについて厳格明確な要件を示した。内容規制・内容中立規制の二分は米国判例理論に由来する通説的整理だが、区別の相対性を指摘し、中立規制でも表現機会の実質的封殺があれば厳格に審査すべきとする有力な批判もある。
東大ポポロ事件
大学の自治に関する東大ポポロ事件の判例の立場はどれか。
- 学生は大学の自治の主体そのものである
- 警察官は大学構内に一切立ち入ることができない
- 大学における学生の集会であっても、実社会の政治的社会的活動に当たる行為をする場合には、大学の自治の保障を享有しない
- 学問の自由は研究者個人にのみ保障され、大学という組織には及ばない
正解:3番
最大判昭38.5.22(東大ポポロ事件)は、23条が大学における学問の自由と自治を保障するとしつつ、当該集会は真に学問的な集会ではないとして警察官の立入りを違法としなかった。学説では、学生を営造物利用者にとどめる判例の理解に対し、学生も自治の構成員と位置づける見解が対立し、警備公安活動の限界が議論される。
博多駅事件
取材フィルムの提出命令が争われた博多駅事件で、判例が報道・取材の自由について述べた内容はどれか。
- 報道の自由は21条の保障のもとにあり、取材の自由も21条の精神に照らし十分尊重に値する
- 報道の自由も取材の自由も21条で完全に保障され、提出命令は許されない
- 報道の自由は保障されるが、取材の自由には憲法上の根拠が一切ない
- 取材の自由は裁判の公正に常に劣後する
正解:1番
最大決昭44.11.26(博多駅事件)は、取材の自由を「十分尊重に値する」と述べるにとどめ、公正な裁判の実現の必要と取材の自由が妨げられる程度等を比較衡量して提出命令を許容した。学説には取材の自由も21条で保障されると解する見解が有力で、「尊重に値する」という判例の位置づけとの差が、取材源秘匿や法廷メモ(レペタ事件)などの場面で議論される。
泉佐野市民会館
集会の用に供される公の施設の利用拒否について、泉佐野市民会館事件の判例が示した基準はどれか。
- 管理者の広範な裁量により自由に不許可にできる
- 主催者の思想内容を理由に不許可にできる
- 他の利用者との公平のためであればいつでも不許可にできる
- 人の生命・身体・財産が侵害され公共の安全が損なわれる明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見される場合に限り、不許可にできる
正解:4番
最判平7.3.7(泉佐野市民会館事件)は、集会の自由の重要性から利用拒否事由を限定解釈し、危険の発生が「明らかな差し迫った危険」として具体的に予見される場合に限るとした。敵対的聴衆による混乱を理由とする拒否については、上尾市福祉会館事件(最判平8.3.15)が特別な事情がない限り許されないとしており、あわせて理解したい。
経済的自由・社会権
小売市場判決
小売市場の距離制限が争われた小売市場事件における判例の立場はどれか。
- 距離制限は職業選択の自由を侵害し違憲である
- 社会経済政策の実施の一手段としての積極目的規制は、著しく不合理であることが明白である場合に限って違憲となる(明白性の原則)
- 経済的自由の規制はすべて厳格審査に服する
- 距離制限の合憲性は行政の裁量に委ねられ司法審査が及ばない
正解:2番
最大判昭47.11.22(小売市場事件)は、中小企業保護という積極目的の規制につき立法府の裁量を広く認め、明白性の原則により合憲とした。この判決と薬事法判決を対にして規制目的二分論として整理するのが通説的理解だが、後述のとおり二分論自体への批判も有力である。
薬事法判決
薬局の距離制限が争われた薬事法距離制限事件における判例の立場はどれか。
- 許可制による職業の自由の制限は重要な公共の利益のため必要かつ合理的な措置であることを要し、国民の生命・健康への危険防止という消極目的の規制については、より緩やかな規制手段で目的を達成できないかが検討され、距離制限は違憲とされた
- 距離制限は積極目的規制であるから明白性の原則により合憲とされた
- 職業選択の自由は公共の福祉による制約を一切受けないとされた
- 距離制限の当否は統治行為であり司法審査の対象外とされた
正解:1番
最大判昭50.4.30(薬事法距離制限事件)は、不良医薬品供給の防止という消極目的に対し、距離制限は必要性・合理性を欠き、より緩やかな手段でも目的を達成できるとして違憲とした。いわゆる厳格な合理性の基準の代表例とされ、小売市場判決との対比から規制目的二分論が導かれたと理解されている。
二分論への批判
営業の自由の規制目的二分論(積極目的・消極目的で審査基準を分ける考え方)を批判する見解が挙げる論拠として、最も適切なものはどれか。
- 積極目的規制こそ最も厳格に審査すべきだから
- 経済的自由にはいかなる規制も許されないから
- 現実の規制は積極・消極の目的が複合していることが多く、二つに截然と区別して審査の厳格さを決めるのは困難だから
- 裁判所は立法目的を一切審査してはならないから
正解:3番
二分論は小売市場・薬事法両判決を整理する通説的枠組みとして支持されてきた。他方で批判説は、公衆浴場の距離制限のように目的が複合的な例や、森林法判決・証券取引法判決のように二分論に言及せず判断した判例があることを指摘し、目的だけで審査密度を決める硬直性を問題とする。双方の見解とも判例の読み方として有力に主張されている。
森林法判決
共有森林の分割請求制限が争われた森林法違憲判決に関する説明として適切なものはどれか。
- 積極目的規制として明白性の原則により合憲とされた
- 分割請求の制限は立法目的との関係で合理性・必要性を欠くとして違憲とされ、規制目的二分論を明示的には用いなかったと評されている
- 森林の共有自体が違憲とされた
- 統治行為として司法審査が回避された
正解:2番
最大判昭62.4.22(森林法違憲判決)は、森林経営の安定という目的と持分価額2分の1以下の共有者の分割請求禁止との間に合理的関連性がないとして29条2項違反とした。この判決が二分論のどちらの類型とも明示的に結びつけなかったことは、二分論を維持する読み方と、二分論の限界を示すものと読む批判説との間で評価が分かれている。
堀木訴訟
障害福祉年金と児童扶養手当の併給禁止が争われた堀木訴訟における判例の立場はどれか。
- 生存権は具体的権利であり併給禁止は直ちに違憲となる
- 25条は国の責務を定めるにとどまり裁判で援用する余地は全くない
- 併給調整は財政事情のみを理由に常に合憲である
- 25条の趣旨をどのように具体化するかは立法府の広い裁量に委ねられ、著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱・濫用と見ざるを得ない場合を除き、司法審査になじまない
正解:4番
最大判昭57.7.7(堀木訴訟)は広範な立法裁量論により併給禁止を合憲とした。朝日訴訟(最大判昭42.5.24)も傍論で厚生大臣の裁量を広く認めている。学説のプログラム規定説・抽象的権利説・具体的権利説の対立と、判例の裁量統制の緩やかさに対する批判をあわせて押さえたい。
抽象的権利説
生存権(25条)の法的性格について、抽象的権利説の立場から導かれる帰結はどれか。
- 25条を直接の根拠として国に給付を請求する訴訟を提起できる
- 25条は政治的・道義的責務を定めるにすぎず裁判規範性を全く持たない
- 立法が存在しない場合には立法不作為の違憲確認訴訟が当然に可能である
- 25条を直接の根拠に給付請求はできないが、具体化立法が存在する場合にはその解釈・適用を通じて25条違反を裁判上争うことができる
正解:4番
プログラム規定説は25条の裁判規範性を否定し、抽象的権利説は具体化立法を媒介とした裁判規範性を認め、具体的権利説は立法不作為の違憲確認まで可能と説く。現在は抽象的権利説が通説的とされるが、具体的権利説も立法の怠慢への統制手段として有力に主張される。判例は堀木訴訟のとおり広い立法裁量を認める立場である。
ため池条例事件
ため池の堤とうでの耕作を条例で禁止したことが争われた奈良県ため池条例事件で、判例が損失補償について述べた内容はどれか。
- 財産権の制限にはいかなる場合も補償が必要である
- 災害防止のための堤とう使用の禁止は財産権の内在的制約であり、当然受忍しなければならないもので、29条3項の損失補償は不要である
- 条例による財産権制限はすべて違憲である
- 補償の要否は町議会の裁量に委ねられる
正解:2番
最大判昭38.6.26(奈良県ため池条例事件)は、堤とうの使用禁止を災害防止のための内在的制約とみて補償を不要とした。補償の要否については、侵害行為の特別性を重視する形式的基準と、制約の目的・程度を重視する実質的基準を組み合わせて判断する学説が一般的で、内在的制約(警察制限)か特別の犠牲かの区別が議論の焦点となる。
統治機構
唯一の立法機関
国会が「国の唯一の立法機関」(41条)であることの内容として、通説が挙げる二つの原則の組み合わせはどれか。
- 国会中心立法の原則と国会単独立法の原則
- 議院自律の原則と会期不継続の原則
- 委任立法禁止の原則と条例制定禁止の原則
- 法律先占の原則と予算単年度の原則
正解:1番
国会中心立法の原則は国の立法権を国会が独占すること(例外:議院規則・最高裁規則)、国会単独立法の原則は立法が国会の議決のみで完結すること(例外:95条の住民投票)を意味する。「立法」の意義については形式的意味の法律に限る説と、一般的・抽象的法規範の定立と解する実質的意味説が対立し、後者が通説とされる。
独立行政委員会
人事院や公正取引委員会などの独立行政委員会を合憲とする見解の論拠として、適切なものはどれか。
- 独立行政委員会は司法権に属するから65条とは無関係である
- 行政権はすべて天皇に属するから問題は生じない
- 65条はすべての行政を内閣の直接の指揮監督下に置くことまでは要求しておらず、国会のコントロールが及ぶことや職務の性質上独立性が必要であることなどを条件に例外が許される
- 独立行政委員会は行政機関ではないから65条の適用がない
正解:3番
65条が「行政権は、内閣に属する」と定めることとの関係で、独立行政委員会の合憲性が争われる。合憲説の内部でも、65条は例外を許容する趣旨と読む説や、人事・予算を通じた内閣の統制で足りるとする説など論拠は分かれ、違憲の疑いを指摘する少数説も存在する。準立法・準司法作用を担う職務の政治的中立性が実質的な根拠とされる。
解散権の根拠
衆議院の解散の実質的決定権の根拠について、7条説の立場から導かれる帰結はどれか。
- 解散は69条の内閣不信任決議が可決された場合に限られる
- 69条の場合に限らず、内閣は7条3号の天皇の国事行為に対する助言と承認を通じて実質的に解散を決定できる
- 解散の決定権は衆議院自身にある
- 解散は最高裁判所の承認を要する
正解:2番
解散権の根拠をめぐっては、7条説のほか、69条の場合に限定する69条限定説、行政控除説から65条に求める説、制度の本質から導く制度説などが対立する。実務は7条を根拠とするいわゆる7条解散で運用されており、苫米地事件では解散の合憲性自体の判断が統治行為論により回避されたため、判例上の決着はついていない。
苫米地事件
衆議院解散の効力が争われた苫米地事件における判例の立場はどれか。
- 解散は69条の場合に限られるとして違憲と判断した
- 法律上の争訟に当たらないとして訴えを却下した
- 解散の有効性を審査した上で合憲と判断した
- 衆議院の解散は直接国家統治の基本に関する高度に政治性のある国家行為であり、法律上の争訟として有効無効の判断が法律上可能であっても、司法審査の対象外である
正解:4番
最大判昭35.6.8(苫米地事件)は、統治行為論を正面から採用し、憲法判断に立ち入らずに司法審査を否定した(いわゆる純粋型)。その根拠を司法権の内在的制約に求めるか、裁判所の自制に求めるかで学説は分かれ、法律上の争訟である以上審査すべきとする否定説も有力である。
統治行為論の型
統治行為論に関する①苫米地事件の判例、②砂川事件の判例、③統治行為論を否定する学説と、㋐一見極めて明白に違憲無効と認められない限り司法審査の範囲外とする、㋑法律上の争訟に当たる以上、司法審査を否定すべきではないとする、㋒憲法判断に立ち入ることなく司法審査の対象外とする、の組み合わせとして正しいものはどれか。
- ①㋐ ②㋒ ③㋑
- ①㋑ ②㋐ ③㋒
- ①㋒ ②㋐ ③㋑
- ①㋒ ②㋑ ③㋐
正解:3番
苫米地事件(最大判昭35.6.8)は憲法判断自体を回避する純粋型、砂川事件(最大判昭34.12.16)は「一見極めて明白に違憲無効」なら審査しうる留保付きの変形型と整理される。肯定説の内部でも根拠を司法権の内在的制約に求める内在的制約説と裁判所の政策的自制に求める自制説が対立し、否定説は司法審査からの逃避だと批判する。いずれの整理も基本書により呼称が異なる点に注意。
国政調査権
議院の国政調査権(62条)の性質について「補助的権能説」と呼ばれる見解はどれか。
- 立法・予算審議など議院に与えられた権能を実効的に行使するために認められた手段的権能とみる見解
- 国会が国権の最高機関であることから国政全般を調査できる独立の権能とみる見解
- 内閣の行政権の一部を議院が代行する権能とみる見解
- 裁判所の司法権を議院が監督する権能とみる見解
正解:1番
補助的権能説と独立権能説の対立は、41条「国権の最高機関」に法的意味を認めるか(統括機関説と政治的美称説の対立)と連動する。通説は補助的権能説だが、議院の権能は広範なので実際の調査範囲は広いと説明する。浦和事件を契機に、司法権の独立との関係で裁判批判に及ぶ調査の限界が論じられた。
富山大学事件
大学の単位不認定が争われた富山大学事件における判例の立場はどれか。
- 大学内部の紛争はすべて司法審査の対象となる
- 単位授与も専攻科修了認定もともに司法審査の対象外である
- 大学は一般市民社会とは異なる特殊な部分社会を形成しており、単位授与行為は一般市民法秩序と直接の関係を有すると認められる特段の事情のない限り司法審査の対象とならない
- 国立大学に限り司法審査が及ばない
正解:3番
最判昭52.3.15(富山大学事件)はいわゆる部分社会論により単位不認定の審査を否定しつつ、専攻科修了認定は一般市民法秩序と直接関係するとして審査対象とした。学説では、団体の性質や争われる権利の性質を問わない一般的な部分社会論に対し、結社の自由や大学の自治など個別の憲法上の根拠に即して審査の限界を画すべきとする批判が有力である。
首相の指揮監督
内閣総理大臣の職務権限が争点となったロッキード事件丸紅ルート判決で、最高裁が述べた内容はどれか。
- 内閣総理大臣は閣議決定がなければ行政各部に何らの影響も及ぼせない
- 内閣総理大臣の指揮監督権は防衛事項に限られる
- 運輸大臣への働きかけは職務権限と無関係である
- 内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針が存在しない場合でも、流動的で多様な行政需要に遅滞なく対応するため、行政各部に対し指導・助言等の指示を与える権限を有する
正解:4番
最大判平7.2.22(ロッキード事件丸紅ルート)は、72条の指揮監督権の行使(閣議決定した方針が必要・66条3項参照)とは別に、方針が存在しなくても指示を与える職務権限を認めた。内閣の首長(66条1項)としての総理大臣の地位の強化を反映した判断と評され、合議体としての内閣との権限配分をどう説明するかが学説上議論される。
違憲審査
警察予備隊訴訟
警察予備隊の設置の違憲確認を直接最高裁に求めた訴訟で、判例が示した違憲審査制の理解はどれか。
- 最高裁は憲法裁判所として抽象的審査を行うことができる
- 裁判所は、具体的な争訟事件が提起されないのに、将来を予想して憲法及びその他の法律命令等の解釈に対し抽象的な判断を下す権限を有しない
- 違憲審査は下級裁判所のみが行う
- 違憲審査は国会の要請があった場合に限り行う
正解:2番
最大判昭27.10.8(警察予備隊訴訟)は、81条の違憲審査権を付随的審査制と理解し、訴えを却下した。学説には81条が抽象的審査を排除していないと読む余地を指摘する見解もあるが、抽象的審査を認めるには手続法の整備が必要とされ、現行法上は付随的審査制であることにほぼ争いがない。
審査制の型
①付随的違憲審査制、②抽象的違憲審査制と、㋐具体的事件の解決に必要な限度で法令の合憲性を審査する、㋑憲法裁判所等が具体的事件と関係なく法令の合憲性を審査する、の組み合わせと、日本の81条に関する判例の理解として正しいものはどれか。
- ①㋐ ②㋑ であり、判例は81条を付随的審査制の定めと理解している
- ①㋑ ②㋐ であり、判例は81条を抽象的審査制の定めと理解している
- ①㋐ ②㋑ であり、判例は81条を抽象的審査制の定めと理解している
- ①㋑ ②㋐ であり、判例は81条を付随的審査制の定めと理解している
正解:1番
付随的審査制は米国型、抽象的審査制はドイツ・オーストリア型の類型である。警察予備隊訴訟(最大判昭27.10.8)以来、判例・通説は81条を付随的審査制と理解する。学説には法律で憲法裁判手続を創設できるとする説(法律事項説)もあり、81条がそれを禁じているかについては見解が分かれる。
違憲判決の効力
法令違憲判決の効力に関する①個別的効力説、②一般的効力説と、㋐当該事件に限ってその法令の適用が排除される、㋑当該法令は客観的に効力を失う、の組み合わせ及び通説の立場として正しいものはどれか。
- ①㋑ ②㋐ であり、通説は一般的効力説である
- ①㋐ ②㋑ であり、通説は一般的効力説である
- ①㋑ ②㋐ であり、通説は個別的効力説である
- ①㋐ ②㋑ であり、通説は個別的効力説である
正解:4番
個別的効力説は付随的審査制の帰結として当該事件限りの適用排除と解し、一般的効力説は法的安定性から客観的失効を認めるが、後者には41条(国会中心立法)との抵触が消極的立法として指摘される。効力を法律の定めに委ねる法律委任説もある。実際には違憲判決後、国会による改廃や政府の不適用措置で対応されることが多い。
事情判決の法理
昭和51年の衆議院議員定数不均衡違憲判決で、最高裁が採った処理はどれか。
- 行政事件訴訟法31条の基礎にある一般的な法の基本原則に従い、選挙を違法と宣言するにとどめ、選挙自体は無効としなかった
- 選挙を直ちに無効とし再選挙を命じた
- 定数配分規定のみ違憲とし選挙は完全に適法とした
- 訴え自体を統治行為として却下した
正解:1番
最大判昭51.4.14は、投票価値の平等が14条の要請であるとし、定数配分規定を違憲としつつ、選挙を無効とすると憲法の予定しない混乱が生じるため、いわゆる事情判決の法理で違法宣言にとどめた。この手法には、救済の実効性を欠くという批判と、付随的審査制の下での現実的解決と評価する見解の双方がある。
合憲限定解釈
「合憲限定解釈」と呼ばれる手法の説明として適切なものはどれか。
- 法令をまず違憲と宣言してから適用範囲を画定する手法
- 法文の意味を憲法に適合するよう限定して解釈することで違憲判断を回避する手法であり、都教組事件のいわゆる「二重のしぼり」がその例とされる
- 国会に法改正を勧告する手法
- 法令の合憲性の推定を排除する手法
正解:2番
都教組事件(最大判昭44.4.2)は地方公務員の争議行為あおり罪を二重に限定解釈して無罪としたが、全農林警職法事件(最大判昭48.4.25)は限定解釈が法文の明確性を害するとして判例変更した。学説では、違憲判断回避の準則として支持する見解と、刑罰法規では予測可能性をかえって損なうとの批判が対立している。
在外邦人選挙権
在外国民の選挙権行使の制限が争われた平成17年大法廷判決の内容はどれか。
- 選挙制度の構築は立法裁量に属するから制限は常に合憲である
- 国家賠償は認めたが違憲判断はしなかった
- 選挙権又はその行使を制限することはやむを得ない事由がない限り許されず、在外国民の選挙権行使を制限していた立法不作為等は違憲であり、例外的に国家賠償法上も違法の評価を受けるとした
- 選挙権は憲法上の権利ではないとした
正解:3番
最大判平17.9.14は、選挙権行使の制限に「やむを得ない事由」を要求する厳格な枠組みを示し、立法不作為が国賠法上違法となる例外的場合を明確化した。立法裁量を広く認めてきた従来の議員定数訴訟の枠組みとの関係が学説で議論され、選挙権の権利性を重視する方向を示した判決と位置づけられている。
平和主義・憲法改正
9条解釈の諸説
憲法9条の解釈に関する①1項全面放棄説、②2項全面放棄説、③自衛戦力合憲説と、㋐1項自体で自衛戦争を含む一切の戦争を放棄したと解する、㋑1項は侵略戦争のみを放棄するが2項ですべての戦力の保持が禁じられ、結果として一切の戦争が遂行不可能になると解する、㋒2項の「前項の目的を達するため」を侵略戦争放棄の目的と読み、自衛のための戦力保持は禁じられないと解する、の組み合わせとして正しいものはどれか。
- ①㋐ ②㋑ ③㋒
- ①㋑ ②㋐ ③㋒
- ①㋒ ②㋑ ③㋐
- ①㋐ ②㋒ ③㋑
正解:1番
学界では2項全面放棄説が通説的とされてきたが、各説はそれぞれ文言・制定経緯に根拠を持つ。政府見解はこれらと異なり、自衛権は否定されず、自衛のための必要最小限度の実力は2項の「戦力」に当たらないとする。学説の呼称・分類は基本書により異なるため、各説の論理構造で理解することが重要である。
9条の政府見解
憲法9条に関する政府見解の立場はどれか。
- 自衛権を含む一切の武力の保持と行使が禁じられる
- 9条は法規範性を持たない政治的宣言である
- 独立国として固有の自衛権は否定されておらず、自衛のための必要最小限度の実力を保持することは、2項で禁じられた「戦力」の保持に当たらない
- 国連軍への参加は無条件に認められる
正解:3番
政府見解は、自衛権行使の三要件(現在は武力行使の三要件)の下で必要最小限度の実力の保持・行使を合憲とする。学説にはこれを支持する見解のほか、2項全面放棄説の立場から自衛隊を違憲とする見解、自衛戦力合憲説などが分布し、2015年の平和安全法制による限定的な集団的自衛権の容認をめぐっても学説の評価は大きく分かれている。
長沼事件
自衛隊の合憲性が争われた長沼事件の経過に関する説明として正しいものはどれか。
- 最高裁が自衛隊を合憲と明言した
- 第一審から最高裁まで一貫して憲法判断が回避された
- 第一審が自衛隊を合憲と判断し、控訴審が違憲と判断した
- 第一審(札幌地裁)は自衛隊を9条2項の「戦力」に該当し違憲と判断したが、控訴審は訴えの利益を否定し、最高裁も憲法判断を行わなかった
正解:4番
長沼事件第一審(札幌地判昭48.9.7)は自衛隊を違憲とした著名な判決である。控訴審(札幌高判昭51.8.5)は訴えの利益なしとしつつ傍論で統治行為論に言及し、最高裁(最判昭57.9.9)は憲法判断をしなかった。砂川事件最高裁判決も在日米軍について判断したもので、自衛隊自体の合憲性に関する最高裁の判断は現在まで存在しない。
憲法改正の限界
憲法改正の限界に関する①限界説、②無限界説と、㋐国民主権・基本的人権の尊重など憲法の根本原理は96条の改正手続によっても変更できない、㋑96条の手続を経れば法的にはいかなる条項も変更できる、の組み合わせ及び通説の立場として正しいものはどれか。
- ①㋑ ②㋐ であり、通説は無限界説である
- ①㋐ ②㋑ であり、通説は限界説である
- ①㋐ ②㋑ であり、通説は無限界説である
- ①㋑ ②㋐ であり、通説は限界説である
正解:2番
限界説は憲法制定権力と改正権を区別し、改正権は憲法の同一性を破壊できないと説く。無限界説は法実証主義の立場等から法的限界を否定し、限界の問題は政治的・事実的なものにすぎないとする。限界説が通説とされるが、限界を超えた「改正」の法的効果をどう説明するかは限界説内部でも議論があり、96条の改正手続自体の改正の可否も論点となる。