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民法専門クイズとは
民法専門クイズは、法学部3・4年の専門レベルの民法を、全40問の4択で学べる無料の学習ゲームです。総則(意思表示・代理)、物権、債権総論、契約、不法行為、家族法の6分野から出題し、94条2項の類推適用、無権代理と相続、177条の「第三者」といった判例・学説の山場に加え、2020年の債権法改正で何が変わったかも確認できます。同じ問題に2回正解すると卒業となり、民法印が集まっていきます。
「改正でどう変わった?対立はどう残った?」がテーマです。学説・学派が分かれる論点はどの立場も差別なく両論併記し、判例の立場と学説の批判をセットで押さえられます。定期試験や法科大学院・資格試験の基礎固めにどうぞ。
📝 問題と解説の全文(40問)
民法専門クイズ の全40問を、解説つきで読める形に並べています。アプリを起動しなくても、ここだけで内容を確かめられます。各見出しを開くと、問題文・選択肢・正解・解説が出ます。
総則(意思表示・代理)
94条2項の第三者
虚偽表示の無効を対抗できない「善意の第三者」(94条2項)の保護要件に関する判例の立場はどれか。
- 善意に加えて無過失であることが必要である
- 善意に加えて登記を備えていることが必要である
- 善意であれば足り、無過失や登記の具備までは要しない
- 有償で取得した者に限られる
正解:3番
判例は善意で足りるとし(無過失不要)、対抗要件としての登記も権利保護要件としての登記も不要とする(最判昭44.5.27等)。学説には、権利外観法理の観点から本人の帰責性との均衡上無過失を要求する説や登記を要求する説もあるが、94条2項の文言が善意のみを掲げることなどから判例は要件を加重しない立場である。
錯誤の効果
錯誤(95条)の効果に関する2017年改正(2020年施行)前後の対比として正しいものはどれか。
- 改正前は「無効」とされていたが、現行法は「取り消すことができる」ものと改められた
- 改正前は「取消し」とされていたが、現行法は「無効」と改められた
- 改正の前後を通じて一貫して「無効」である
- 改正により錯誤の規定自体が削除された
正解:1番
改正前95条の「無効」については、表意者保護の趣旨から主張権者を表意者側に限定する取消的無効と解する学説が有力であり、現行法はこれを踏まえ取消しに改めた。動機の錯誤(基礎事情の錯誤)についても、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り取り消しうるとする判例法理が95条2項に明文化された。
94条2項類推
通謀虚偽表示が存在しない場合における94条2項類推適用に関する判例の立場はどれか。
- 通謀がない以上、いかなる場合も94条2項を用いることはできない
- 第三者は無過失かつ登記を備えた場合に限り保護される
- 外観を作出した本人は常に無効を主張できる
- 本人が虚偽の外観の作出に関与し又はこれを承認していた場合、その外観を信頼した善意の第三者は94条2項の類推適用により保護される
正解:4番
94条2項類推適用は、虚偽の外観・本人の帰責性・第三者の信頼を要件とする権利外観法理の現れと理解されている。本人が作出・承認した外形どおりの外観を第三者が信頼した意思外形対応型では、善意であれば足り無過失は不要とされる(最判昭45.9.22)。不動産登記に公信力がないことを補う法理として学説上も広く支持されている。
類推適用の類型
94条2項類推適用に関する判例法理の類型①意思外形対応型(本人が作出・承認した外形どおりの外観が存在する場合)、②意思外形非対応型(第三者の信頼した外観が本人の関与した外形を超える場合)と、第三者の保護要件の組み合わせとして正しいものはどれか。
- ①では善意かつ登記が必要であり、②では善意で足りる
- ①では94条2項の類推適用により善意で足り、②では94条2項と110条の(重畳)類推適用により善意無過失が必要である
- ①②いずれも善意で足りる
- ①では善意無過失が必要であり、②では善意で足りる
正解:2番
意思外形対応型では善意で足りる(最判昭45.9.22)のに対し、非対応型では本人の帰責性が外形を超える部分に及ばないため110条の法意を併用し善意無過失を要求する(最判昭43.10.17)。さらに最判平18.2.23は、本人の帰責性が「自ら外観の作出に積極的に関与した場合やこれを知りながらあえて放置した場合と同視しうるほど重い」場合に94条2項・110条の類推適用を認めた。学説はこれらを外観法理として統一的に説明する。
代理権の濫用
代理権の濫用に関する2017年改正前後の対比として正しいものはどれか。
- 改正の前後を通じて明文の規定は存在しない
- 改正前は明文規定があったが、改正で削除された
- 改正前から107条に明文規定があり、内容の変更はない
- 改正前は判例が93条ただし書の類推適用により処理していたが、現行107条は相手方が濫用の目的を知り又は知ることができたときは無権代理行為とみなすと定めた
正解:4番
改正前の判例(最判昭42.4.20)は心裡留保の規定の類推で相手方が悪意・有過失の場合に本人への効果帰属を否定したが、代理人に効果不帰属の意思はないとの学説の批判が強かった。現行107条は無権代理とみなす構成を採用し、本人の追認(113条)や相手方の催告・取消しなど無権代理の規律で処理されることになった。
無権代理人の相続
無権代理人が本人を単独相続した場合に関する判例の立場はどれか。
- 相続後も追認を拒絶して無効を主張できる
- 相手方が改めて意思表示をしない限り契約は失効する
- 本人が自ら法律行為をしたのと同様の法律上の地位が生じ、追認を拒絶することは信義則上許されない
- 契約は当然に取り消される
正解:3番
最判昭40.6.18は、無権代理人が本人を単独相続した場合、追認拒絶は信義則上許されず無権代理行為は当然に有効になるとした。理論構成をめぐっては、相続により両資格が融合するとみる資格融合説と、両資格は併存するが信義則により追認拒絶が封じられるとみる資格併存説(信義則説)が対立し、共同相続の場合の処理(最判平5.1.21は追認が共同相続人全員に不可分に帰属するとする)とあわせて議論される。
本人相続型
本人が無権代理人を相続した場合に関する判例の立場はどれか。
- 本人は追認を拒絶しても信義則に反せず、無権代理行為は当然には有効とならないが、無権代理人が負っていた117条の責任は相続により承継しうる
- 無権代理行為は当然に有効となる
- 本人は追認を拒絶でき、117条の責任も一切承継しない
- 相手方の善意悪意を問わず契約は無効となる
正解:1番
最判昭37.4.20は、自ら無権代理行為をしていない本人の追認拒絶は信義則に反しないとした。他方、最判昭48.7.3は無権代理人の117条責任の相続を認める。学説では、相続により当然有効とする資格融合説と、両資格の併存を前提に本人相続型では追認拒絶を認める資格併存説が対立し、判例は無権代理人相続型(当然有効)と本人相続型(拒絶可)で結論を分ける点に特徴がある。
消滅時効の期間
債権の消滅時効に関する2017年改正後の原則的な規律はどれか。
- 一律に権利を行使できる時から10年である
- 債権者が権利を行使することができることを知った時から5年、権利を行使することができる時から10年のいずれか早い経過により時効が完成し、職業別の短期消滅時効は廃止された
- 一律に5年である
- 商事債権のみ5年で、その他は20年である
正解:2番
改正法は主観的起算点(知った時から5年)と客観的起算点(行使できる時から10年)の二重期間構成を採用し、飲食料・宿泊料などの職業別短期消滅時効と商法の商事消滅時効(5年)を廃止して規律を統一した。人の生命・身体の侵害による損害賠償請求権については、客観的起算点からの期間が20年に伸長される特則(167条)が置かれている。
物権
意思主義と対抗
不動産物権変動に関する176条・177条の規律として正しいものはどれか。
- 物権変動は登記をしなければ当事者間でも効力を生じない
- 物権変動は当事者の意思表示のみによって効力を生じ、登記は物権変動を第三者に対抗するための要件である
- 物権変動には公正証書の作成が必要である
- 登記には公信力があり、登記を信頼した者は常に保護される
正解:2番
日本民法は意思主義(176条)と対抗要件主義(177条)を採用し、登記に公信力はない。物権変動の時期については、契約時に移転するとの判例(最判昭33.6.20)に対し、代金支払・登記・引渡し時と解する有力説(段階的移転説等)が対立する。公信力の欠如を補う機能を94条2項類推適用が果たしている点もあわせて理解したい。
177条の第三者
177条の「第三者」の範囲に関する判例(大連判明41.12.15)の立場はどれか。
- 当事者以外のすべての者を含む(無制限説)
- 善意の者に限られる
- 対抗要件を先に備えた者に限られる
- 当事者とその包括承継人以外の者であって、登記の欠缺を主張する正当の利益を有する者に限られる(制限説)
正解:4番
かつての判例は無制限説を採ったが、大連判明41.12.15が制限説に変更し、以後確立した。これにより無権利者・不法占拠者・不法行為者などは第三者に含まれない。学説も制限説を支持するが、「正当の利益」の内実をめぐり、対抗問題が生じる場面を物権変動の両立可能な競合関係に限定する見解など、範囲画定の理論構成には争いがある。
背信的悪意者
177条の第三者と悪意者の関係に関する判例の立場はどれか。
- 悪意者はすべて第三者から排除される
- 善意悪意を問わずすべての者が第三者に含まれ、例外はない
- 単純な悪意者は自由競争の範囲内として「第三者」に含まれるが、登記の欠缺を主張することが信義に反すると認められる背信的悪意者は排除される
- 背信的悪意者も登記を備えれば常に優先する
正解:3番
判例(最判昭43.8.2等)は、177条が善意悪意を区別しないことを前提に、信義則により背信的悪意者を排除する。学説には、公信力説などの立場から単純悪意者も排除すべきとする悪意者排除説が有力に主張されており、自由競争の限界をどこに引くかという評価の対立がある。背信性は害意・不当利得目的など諸事情の総合判断による。
転得者の地位
背信的悪意者からさらに不動産を取得した転得者に関する判例の立場はどれか。
- 転得者自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り、転得者は177条の「第三者」として保護される(相対的構成)
- 背信的悪意者は無権利者であるから転得者も常に権利を取得できない(絶対的構成)
- 転得者は善意無過失かつ登記を備えた場合に限り保護される
- 転得者は背信的悪意者の地位をそのまま承継する
正解:1番
最判平8.10.29は、背信的悪意者も物権変動自体は有効に取得しうる(無権利者ではない)ことを前提に、転得者ごとに背信性を判断する相対的構成を採った。学説では、法律関係の簡明さから絶対的構成を支持する見解と、信義則違反は個別的評価であるとして判例の相対的構成を支持する見解が対立している。
取消後の第三者
詐欺を理由に売買を取り消した後、登記を回復する前に売主から買主が第三者に不動産を転売した場合の処理に関する判例の立場はどれか。
- 取消しにより買主から売主への復帰的物権変動があったとみて、取消後の第三者との関係は177条の対抗問題として登記の先後で決する
- 取消しの遡及効により第三者は常に権利を取得できない
- 第三者は善意無過失であれば96条3項により保護される
- 取消後の第三者は常に保護される
正解:1番
判例(大判昭17.9.30)は、取消前の第三者は96条3項(善意・判例により無過失も要求)で、取消後の第三者は復帰的物権変動を観念した177条の対抗問題で処理する。学説には、遡及効(121条)と論理が一貫しないとの批判から、取消後も無権利者からの取得と構成し94条2項類推適用(善意・無過失等)で保護すべきとする有力説がある。
占有改定と即時取得
即時取得(192条)の要件である占有の取得に関する判例の立場はどれか。
- 占有改定によっても即時取得は成立する
- 占有改定による占有取得では即時取得は成立しない
- 指図による占有移転では即時取得は成立しない
- 現実の引渡しがあっても即時取得は成立しない場合が多い
正解:2番
最判昭35.2.11は、一般外観上従来の占有状態に変更を生じない占有改定では即時取得は成立しないとした(否定説)。学説には、192条は占有取得の態様を限定していないとする肯定説、占有改定で一応成立するが現実の引渡しを受けるまで確定しないとする折衷説があり、原権利者と譲受人のいずれの静的・動的安全を重視するかで対立する。
抵当権と妨害排除
抵当不動産の占有者に対する抵当権者の妨害排除請求に関する判例の立場はどれか。
- 抵当権は非占有担保であるから妨害排除請求は一切認められない
- 妨害排除は債権者代位によってのみ可能である
- 妨害排除請求は認められるが明渡しの相手は常に所有者に限られる
- 抵当権の交換価値の実現が妨げられ優先弁済請求権の行使が困難となる状態があるときは、抵当権に基づく妨害排除請求が認められ、一定の場合には抵当権者への直接の明渡しも請求できる
正解:4番
かつての判例(最判平3.3.22)は否定的だったが、最大判平11.11.24が債権者代位構成と併せて抵当権に基づく妨害排除の可能性を認め、最判平17.3.10は占有権原の設定に競売手続を妨害する目的が認められるなどの場合に直接の妨害排除請求を認め、適切な維持管理が期待できないときは抵当権者への明渡しも認めた。判例変更の流れとして重要である。
債権総論
法定利率
法定利率に関する2017年改正前後の対比として正しいものはどれか。
- 年5%の固定制が維持された
- 年6%の固定制に統一された
- 年5%の固定制から、年3%を出発点として3年ごとに見直される変動制に改められ、商事法定利率(年6%)は廃止された
- 法定利率の制度自体が廃止された
正解:3番
市中金利との乖離が問題視され、改正法は404条で変動制を導入した。中間利息の控除(417条の2)にも法定利率が用いられるため、損害賠償実務への影響が大きい。適用される利率は利息が生じた最初の時点(遅延損害金は遅滞に陥った時点)のものに固定される点にも注意が必要である。
代位権の転用
債権者代位権のいわゆる転用に関する判例・現行法の立場はどれか。
- 転用は判例上一貫して否定されてきた
- 転用は2017年改正によりすべて禁止された
- 判例は古くから登記請求権を保全するための債権者代位権の行使(転用)を認めており、現行423条の7はこれを明文化した
- 転用は金銭債権の保全に限って認められる
正解:3番
大判明43.7.6以来、判例は中間者の登記請求権の代位行使を認め、賃借人による妨害排除請求権の代位行使(大判昭4.12.16)などにも転用を広げた。学説には責任財産保全という制度趣旨からの逸脱と批判する見解と、簡便な救済手段として支持する見解が対立していた。改正法は登記・登録請求権の類型のみ明文化し、その他の転用の可否は引き続き解釈に委ねられている。
無資力要件
債権者代位権における債務者の無資力要件に関する判例・通説の理解として正しいものはどれか。
- 本来型・転用型を問わず常に無資力が必要である
- 本来型・転用型を問わず無資力は不要である
- 転用型でのみ無資力が必要である
- 金銭債権の保全を目的とする本来型では債務者の無資力が必要であるが、登記請求権など特定債権の保全を目的とする転用型では無資力は不要である
正解:4番
無資力要件は、責任財産の保全という制度目的から、債務者の財産管理への干渉を正当化するために要求される(大判明39.11.21等)。転用型では被保全債権の実現がまさに当該権利の行使にかかっているため無資力は不要とされる(最判昭50.3.6等)。学説には転用を本来の制度目的からの逸脱と批判する見解もあったが、423条の7は登記請求権型の転用を明文で承認した。
詐害行為取消権
詐害行為取消権(424条以下)の行使方法に関する現行法の規律として正しいものはどれか。
- 裁判外でも意思表示により行使できる
- 必ず裁判上行使しなければならず、受益者等を被告とする訴えを提起した債権者は、遅滞なく債務者に対して訴訟告知をしなければならない
- 債務者を被告としなければならない
- 行使期間に制限はない
正解:2番
詐害行為取消権は取引安全への影響が大きいため裁判上の行使が要求される(424条1項)。改正法は被告を受益者又は転得者とし(424条の7第1項)、認容判決の効力が債務者にも及ぶこと(425条)との関係で債務者への訴訟告知を義務づけた(同条2項)。出訴期間は債務者が詐害行為を知って行為をしたことを債権者が知った時から2年、行為の時から10年である(426条)。
連帯債務の絶対効
連帯債務者の一人に対する履行の請求の効力に関する2017年改正前後の対比として正しいものはどれか。
- 改正前は他の連帯債務者にも効力が及ぶ絶対的効力事由とされていたが、現行法はこれを相対的効力に改めた
- 改正の前後を通じて絶対的効力事由である
- 改正前は相対的効力であったが、現行法で絶対的効力に改められた
- 現行法では履行の請求自体ができなくなった
正解:1番
改正法は、履行の請求・免除・時効の完成を絶対的効力事由から外して相対的効力とし(441条本文)、絶対的効力事由は弁済等のほか更改・相殺・混同に整理された。他の債務者の関知しないところで時効中断(完成猶予)等の不利益が及ぶことへの批判に応えたものである。債権者と他の債務者の合意で異なる定めをすることは可能である(441条ただし書)。
個人根保証
個人根保証契約に関する2017年改正後の規律として正しいものはどれか。
- 極度額の定めは貸金等根保証契約に限って必要である
- 個人根保証契約は、書面(又は電磁的記録)で極度額を定めなければ効力を生じない
- 極度額の定めは口頭でもよい
- 法人が保証人となる根保証にも極度額の定めが必要である
正解:2番
改正前は極度額規制が貸金等根保証に限られていたが、改正法は不動産賃借人の債務の保証など個人根保証一般に拡大した(465条の2)。また、事業のために負担した貸金等債務を主債務とする第三者個人保証には、公正証書による保証意思宣明が必要とされた(465条の6)。保証人保護の強化が改正の大きな柱の一つである。
譲渡制限特約
譲渡制限特約に反する債権譲渡の効力に関する2017年改正前後の対比として正しいものはどれか。
- 改正前の判例・通説は特約違反の譲渡を原則として無効と解していたが(物権的効力説)、現行466条2項は譲渡自体は有効とした上で、悪意・重過失の譲受人に対しては債務者が履行を拒絶し譲渡人への弁済等を対抗できるものとした
- 改正の前後を通じて特約違反の譲渡は絶対的に無効である
- 改正前から譲渡は完全に有効であり、変更はない
- 現行法は譲渡制限特約自体を無効とした
正解:1番
改正前は、特約により債権の譲渡性自体が失われるとする物権的効力説が判例・通説で、善意(判例により無重過失)の譲受人にのみ対抗できないと処理されていた。学説では当事者間の債権的効力にとどまるとする債権的効力説が対立していた。現行法は資金調達の円滑化のため譲渡を有効とし、債務者保護は履行拒絶・供託(466条の2)等で図る。預貯金債権には旧法類似の特則がある(466条の5)。
第三者弁済
第三者による弁済(474条)に関する現行法の規律として正しいものはどれか。
- いかなる第三者も自由に弁済できる
- 第三者は債権者の同意がない限り弁済できない
- 弁済をするについて正当な利益を有しない第三者は、債務者の意思に反して弁済することができないのが原則である
- 物上保証人は債務者の意思に反して弁済できない
正解:3番
「正当な利益」を有する第三者(物上保証人・抵当不動産の第三取得者など)は債務者の意思に反しても弁済でき、弁済による代位も当然に生じる。正当な利益のない第三者の弁済は債務者の意思に反するとできないが、債権者がそのことを知らなかったときは有効となる(474条2項ただし書)。改正で「利害関係」の文言が「正当な利益」に整理され、債権者の受領拒絶の規律(同条3項)も明文化された。
契約
瑕疵担保の性質論
改正前の売主の瑕疵担保責任(旧570条)の法的性質をめぐる①法定責任説、②契約責任説の内容と、2017年改正による帰結の組み合わせとして正しいものはどれか。
- ①は債務不履行責任の特則と解し、②は法定の責任と解した。現行法は法定責任説を明文化した
- ①②とも債務不履行責任と解しており、対立は存在しなかった
- ①は瑕疵担保責任を否定し、②は無過失責任を主張した。現行法は責任を廃止した
- ①は特定物売買では瑕疵のない物の給付義務はない(特定物ドグマ)ことを前提に信頼利益の賠償を認める法定の責任と解し、②は債務不履行責任の特則と解した。現行法は契約不適合責任として債務不履行責任の枠組みに一元化し、追完請求権・代金減額請求権を明文で認めた
正解:4番
法定責任説(かつての通説)と契約責任説の対立は、特定物ドグマの当否、損害賠償の範囲(信頼利益か履行利益か)、追完請求の可否などに帰結の差を生んだ。現行法は562条以下で「契約の内容に適合しない」ことを基準とし、追完・代金減額・損害賠償・解除の救済体系を整備して、契約責任説的な構成で立法的に解決した。学説対立が改正により決着した代表例である。
危険負担
危険負担に関する2017年改正前後の対比として正しいものはどれか。
- 改正の前後を通じて特定物売買では債権者が危険を負担する
- 改正により危険負担の制度自体が完全に削除され、規律は存在しない
- 現行法では反対給付の債務が当然に消滅する構成が採られた
- 特定物に関する債権者主義(旧534条)は削除され、当事者双方の責めに帰することができない事由による履行不能の場合、債権者は反対給付の履行を拒むことができるとする構成(536条1項)に改められた
正解:4番
旧534条の債権者主義は、支配の移転がないのに買主が代金危険を負う点で学説の批判が強く、適用範囲を限定する解釈(制限説)が支配的だった。現行法はこれを削除し、履行拒絶権構成を採用した。反対債務を消滅させたい場合は解除による(改正法では帰責事由不要)。売買では目的物の引渡しにより危険が移転する旨の567条も新設された。
解除の要件
契約の解除に関する2017年改正後の規律として正しいものはどれか。
- 債務者の帰責事由は解除の要件ではなくなり、催告解除では催告後相当期間経過時の不履行が軽微であるときは解除できないとされた
- 解除には常に債務者の帰責事由が必要である
- 催告なしにはいかなる場合も解除できない
- 軽微な不履行でも催告すれば常に解除できる
正解:1番
改正法は解除を「債務不履行をした債務者への制裁」ではなく「契約の拘束力からの債権者の解放」の制度と位置づけ、帰責事由を不要とした(541条・542条)。他方、債権者に帰責事由がある場合は解除できない(543条)。損害賠償(415条)では引き続き債務者の免責事由の有無が問題となる点で、解除と賠償の要件が分離されたことが改正の重要ポイントである。
通常損耗の負担
賃貸借終了時の原状回復と通常損耗に関する判例・現行法の立場はどれか。
- 通常損耗の回復費用は常に賃借人が負担する
- 賃借人に通常損耗の原状回復義務を負わせる特約は、その旨が契約書の条項自体に具体的に明記されるなど明確に合意されていない限り認められず、現行621条も通常の使用収益による損耗や経年変化を原状回復義務の対象から除外している
- 通常損耗の負担は賃貸人と賃借人が常に折半する
- 原状回復義務は現行法で廃止された
正解:2番
最判平17.12.16は、通常損耗の回復は本来賃料に含まれて回収されるべきものであるから、賃借人に負担させるには明確な合意が必要とした。2017年改正はこの判例法理を踏まえ、621条で通常損耗・経年変化が原状回復の対象外であることを明文化した。敷金についても622条の2が定義と返還時期を明文化しており、実務上も重要な改正点である。
定型約款
定型約款(548条の2以下)に関する現行法の規律として正しいものはどれか。
- 約款は相手方が現実に内容を認識しない限り一切拘束力を持たない
- 約款のすべての条項が無条件で契約内容となる
- 定型取引の合意をし、定型約款を契約の内容とする旨の合意等があれば個別条項について合意したものとみなされるが、相手方の権利を制限し又は義務を加重する条項であって信義則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものは、合意をしなかったものとみなされる
- 定型約款の変更には常に相手方全員の個別の同意が必要である
正解:3番
改正前は約款の拘束力の根拠をめぐり契約説・白地商慣習説などの学説対立があり、明文規定を欠いていた。現行法はみなし合意の仕組み(548条の2第1項)と不当条項・不意打ち条項の排除(同条2項)を定め、一定の要件の下で相手方の同意なく約款を変更できる制度(548条の4)も設けて、立法的に解決を図った。
請負の報酬
請負における報酬に関する2017年改正後の規律として正しいものはどれか。
- 仕事が完成しなかった場合でも、既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分は仕事の完成とみなされ、請負人は注文者の受ける利益の割合に応じて報酬を請求できる(634条)
- 仕事が完成しない限りいかなる場合も報酬は一切請求できない
- 報酬は常に仕事の完成前に前払いされなければならない
- 建物の請負契約は完成後も自由に解除できるとされた
正解:1番
改正法は割合的報酬請求権を明文化した(注文者の責めに帰すべき事由による履行不能の場合は536条2項で全額請求の余地がある)。また、建物その他土地の工作物については瑕疵があっても解除できないとしていた旧635条ただし書は削除され、契約不適合の一般規律(559条による売買規定の準用)で処理されることになった。請負人の担保責任の期間制限は不適合を知った時から1年の通知(637条)である。
手付と履行の着手
解約手付による契約解除(557条)に関する判例・現行法の立場はどれか。
- 当事者のどちらかが履行に着手すれば双方とも解除できなくなる
- 自らが履行に着手した後は相手方が未着手でも解除できない
- 「履行の着手」後に解除できなくなるのは相手方が履行に着手した場合であり、自らが履行に着手していても相手方が着手していなければ手付解除ができる
- 手付解除には相手方の承諾が必要である
正解:3番
最大判昭40.11.24は、557条の趣旨を履行に着手した当事者が被る不測の損害の防止と解し、着手による解除権喪失は相手方が着手した場合に限るとした。現行557条1項ただし書は「相手方が契約の履行に着手した後」と明文化してこの判例法理を採用した。また売主からの解除には手付の倍額を現実に提供することが必要である点も、判例法理を踏まえて明文化されている。
不法行為
過失の概念
不法行為(709条)における過失の捉え方に関する①伝統的見解、②現在の通説・裁判実務の組み合わせとして正しいものはどれか。
- ①は結果回避義務違反と捉え、②は主観的心理状態と捉える
- ①②とも故意と過失を区別しない
- ①は無過失責任を原則とし、②は過失責任を原則とする
- ①は過失を意思の緊張を欠いた主観的な心理状態と捉え、②は予見可能性を前提とした結果回避義務違反という客観的な行為義務違反と捉える
正解:4番
過失概念は主観的心理状態説から客観的過失(結果回避義務違反)へと展開したと整理される。大審院の大阪アルカリ事件判決(大判大5.12.22)は「事業の性質に従い相当なる設備」を施したかを問う枠組みを示し、結果回避義務的判断の先駆と位置づけられる。もっとも同判決には企業活動保護に傾くとの批判もあり、差戻審は設備の不十分を認定して賠償を認めた。義務違反の判断構造(ハンドの定式等)も学説上議論される。
大学湯事件
709条の「権利侵害」要件に関する大学湯事件判決の立場はどれか。
- 厳密な意味での所有権等の権利の侵害がなければ不法行為は成立しない
- 「権利侵害」は厳密な意味の権利の侵害に限られず、法的保護に値する利益の侵害があれば不法行為が成立しうる
- 営業上の利益は法的保護の対象にならない
- 契約関係がある場合には不法行為は成立しない
正解:2番
大判大14.11.28(大学湯事件)は、老舗(暖簾)という利益の侵害について権利侵害要件を緩和した。その後、権利侵害を違法性と読み替え、被侵害利益の種類と侵害行為の態様を相関的に判断する相関関係説が通説化したが、違法性概念の要否や過失との関係(一元説・二元説)をめぐる学説対立が続いている。2004年の民法現代語化で709条に「法律上保護される利益」が明文化された。
関連共同性
共同不法行為(719条1項前段)の「共同」(関連共同性)に関する判例の立場はどれか。
- 共謀があった場合にのみ共同不法行為が成立する
- 行為者間に客観的な関連共同があれば足り、共謀や共同の認識があることを要しない
- 各行為者の行為がそれぞれ単独でも損害全部と因果関係を持つ場合には共同不法行為は成立しない
- 関連共同性の要件は現行法で廃止された
正解:2番
判例(最判昭43.4.23・山王川事件)は客観的関連共同説を採る。学説では、連帯責任という効果の重さから主観的な共同(共謀・認識)を要求する主観説や、関連共同性の強弱により減責・寄与度に応じた責任の可否を分ける類型論(公害訴訟で展開され、大気汚染訴訟の下級審裁判例にも影響)が有力に主張され、719条1項前段の存在意義をめぐる議論が続いている。
外形理論
使用者責任(715条)の「事業の執行について」に関する判例の立場はどれか。
- 被用者の職務行為そのものに限られる
- 勤務時間内の行為に限られる
- 使用者が現実に指示した行為に限られる
- 行為の外形から観察して、あたかも被用者の職務の範囲内の行為に属すると認められる場合を含む(外形理論)
正解:4番
最判昭40.11.30は手形の偽造的発行の事案で外形理論を適用した。外形理論は取引的不法行為における相手方の信頼保護を根拠とするため、相手方が職務外であることにつき悪意・重過失の場合は保護されない(最判昭42.11.2)。自動車事故など事実的不法行為では、外形標準よりも事業の執行との密接関連性で判断する枠組みが用いられる。使用者の免責(715条1項ただし書)は実務上ほとんど認められない。
工作物責任
土地の工作物責任(717条)に関する規律として正しいものはどれか。
- 占有者は損害の発生を防止するのに必要な注意をしたことを証明すれば免責されるが(中間責任)、所有者は免責の余地のない無過失責任を負う
- 占有者も所有者もともに無過失責任を負う
- 占有者も所有者もともに過失が立証されない限り責任を負わない
- 所有者は注意をしたことを証明すれば免責される
正解:1番
717条は第一次的に占有者に中間責任を課し、占有者が免責されるときに所有者が補充的に無過失責任を負う構造である。その根拠は危険物を支配・保有する者が危険の実現に責任を負うべきとする危険責任の法理に求められる。「設置又は保存の瑕疵」は通常有すべき安全性の欠如を意味し、国家賠償法2条の営造物責任と同様の判断枠組みが用いられる。
被害者側の過失
過失相殺(722条2項)における「被害者側の過失」に関する判例の立場はどれか。
- 被害者本人の過失以外は一切考慮できない
- 被害者を監督するすべての者の過失が考慮される
- 被害者と身分上ないし生活関係上一体をなすとみられるような関係にある者の過失に限り、被害者側の過失として考慮できる
- 加害者の使用者の過失も被害者側の過失となる
正解:3番
最判昭42.6.27は、保育士(保母)の過失は被害者側の過失に含まれないとし、最判昭51.3.25は夫婦の一方の運転上の過失を他方の損害額算定で考慮できるとした。損害の公平な分担という過失相殺の趣旨と、賠償請求権者と過失ある者の間で最終的な求償の循環を避ける実質的考慮に基づく基準である。被害者が責任能力を欠く幼児でも事理弁識能力があれば過失相殺は可能とされる(最大判昭39.6.24)。
家族法
嫡出推定の改正
嫡出推定制度に関する令和4年民法改正(令和6年4月施行)の内容として正しいものはどれか。
- 女性の再婚禁止期間が180日に延長された
- 嫡出推定制度自体が廃止された
- 女性の再婚禁止期間は廃止され、婚姻の解消等の日から300日以内に生まれた子であっても母が再婚していれば再婚後の夫の子と推定されることになった
- 嫡出否認の訴えは父のみが提起できるものとされた
正解:3番
改正は無戸籍者問題の解消を主眼とし、再婚後の出生子は再婚後の夫の子と推定する例外を設けて推定の重複を回避したため、再婚禁止期間(旧733条)は不要となり廃止された。嫡出否認権も父のみから子・母(一定の場合は前夫)に拡大され、出訴期間も原則1年から3年に伸長された。改正前の制度を前提とした判例・学説の議論と区別して理解する必要がある。
財産分与と詐害行為
離婚に伴う財産分与と詐害行為取消権の関係に関する判例の立場はどれか。
- 財産分与は常に詐害行為取消しの対象となる
- 財産分与は、768条3項の趣旨に反して不相当に過大であり、財産分与に仮託してされた財産処分であると認めるに足りる特段の事情のない限り、詐害行為とはならない
- 財産分与はいかなる場合も詐害行為とならない
- 財産分与は債権者の同意がなければ効力を生じない
正解:2番
最判昭58.12.19は、財産分与が清算・扶養・慰謝料の性質を持つ身分行為に伴う給付であることを踏まえ、原則として詐害行為とならないとしつつ、不相当に過大な部分についての例外を認めた。最判平12.3.9は、不相当に過大な部分に限って取消しの対象となりうるとしている。離婚給付と債権者保護の調整という観点から学説上も議論される論点である。
遺留分の改正
遺留分制度に関する2018年相続法改正(2019年7月施行)の内容として正しいものはどれか。
- 遺留分減殺請求により目的財産について当然に共有関係が生じる仕組みから、受遺者等に対して金銭の支払を請求する遺留分侵害額請求権へと改められた
- 遺留分制度自体が廃止された
- 遺留分の割合が全相続人につき2分の1に統一された
- 遺留分侵害額請求権に期間制限はなくなった
正解:1番
改正前の遺留分減殺請求は物権的効果を生じ、事業用資産や自社株が共有状態となって事業承継の支障となる問題が指摘されていた。改正法は権利を金銭債権化し(1046条)、この問題に立法的に対応した。行使期間は相続の開始及び遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことを知った時から1年、相続開始の時から10年である(1048条)。兄弟姉妹に遺留分がない点は変わらない。
相続と対抗要件
相続による権利の承継と対抗要件に関する2018年相続法改正後の規律として正しいものはどれか。
- 相続による権利の承継はいかなる場合も登記なくして第三者に対抗できる
- 相続による権利の承継はすべて登記がなければ相続人間でも効力を生じない
- 遺産分割による取得のみ登記が不要とされた
- 相続による権利の承継は、法定相続分を超える部分については、登記・登録その他の対抗要件を備えなければ第三者に対抗できない(899条の2)
正解:4番
改正前の判例は、「相続させる」旨の遺言による承継は登記なくして第三者に対抗できるとしていた(最判平14.6.10)。しかしこれでは遺言の内容を知り得ない相続債権者・債務者等の取引安全を害するとの批判があり、899条の2は法定相続分を超える部分につき対抗要件を要求して判例法理を立法的に変更した。法定相続分の範囲内の承継は従来どおり登記なくして対抗できる。